自民党改憲案「緊急事態条項」の危険性ーもう国会は要らない?!ー
2021年11月13日、自民党の茂木幹事長が、衆院選で憲法改正に前向きな日本維新の会や国民民主党が議席を伸ばしたことを踏まえ、改憲論議を加速し、緊急時に政府の権限を強化する「緊急事態条項」の創設を優先的に目指す方針を示したとの報道がありました。
本当に今、改憲論議が必要なのか。「緊急事態条項」とはいかなるものなのか。
2021年11月10日、新宿駅東南口での街頭演説から、れいわ新選組代表 山本太郎さんの説明をざっくり文字起こししました。
今すぐ憲法改正しなければならない理由って?
山本太郎:今すぐ憲法改正しなければならない理由って何がありますか。私はそれ優先順位の1位ではないと思っているんです。25年の不況の中でコロナがやってきて、多くの方々が所得を減らし続け、生活困窮であったり地盤沈下している生活の中で、憲法の議論を大々的にやりながらっていうことを、今、やる必要ってあるのかな?っていうのが私の考え方です。逆に言えば、元ある憲法も守ってない奴らがそれを変えようって言った時には、これ、気をつけなきゃいけないってことなんです。
憲法は権力者を縛るもの
皆さんにお守りいただくのは法律。みんな好き勝手やったら困るからルール作ります。法律です。そして真ん中。これが外国との約束。条約だったり協定。この国で一番力を持っているルールはなんですか。キング・オブ・ルールは憲法です。じゃあ憲法は誰が守るものですかってことを考えると、これは公務員その他にも権力を持つ者たちがこの憲法によって縛られるということは憲法99条に書かれている通りです。「国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」ということです。
逆にいえば、その改正したい内容が何なのかってことをしっかりとチェックしていかなければならない。まずは考えなきゃいけないのは、今ある、権力者たちを縛るためのルール(憲法)が守られているのかということです。
今の政治、憲法を守ってる?
厚生労働省の調査、令和元年の内容ですけど、全世帯のうち生活が苦しいと言っている人たちが54.4%、母子世帯86.7%。この状況を鑑みた時に憲法が守られている政治、私は存在してないと思っています。なぜならば憲法25条を見るならば、すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。つまりは苦しまれている、生活がいっぱいいっぱいだと言われてる方々は憲法25条に守られてないんです。つまりは政治が機能してないってこと。
(中略…憲法13条が守られていない話)
憲法が守られていないという現実を作り出してきたこの政治の中で、憲法を変えたいって、盗人が窃盗罪緩めろって言ってるのと一緒なんですよ。まずやるべきこと(憲法を守ること)をやるべきだ、そういう話です。
憲法改正するための前提条件
私は憲法に関して一言一句、いじるべきではないという立場ではない。議論があった上で変えていくということも当然必要になってくるかもしれない。ただし、権力者たちを縛る憲法を、政治の場面において変えていくってことに関して、多くの方々がしっかりとそれを注視しながら、それが行われることによって世の中がどう変わっていくのかってことにまで思いをはせられるような状態でなければ、非常に危険な行為だと思っています。つまり何か。教育の中でしっかりと憲法の重要さ、政治の大切さ、そういうことがシェアされること(が必要)。街角のどこでも、喫茶店でも居酒屋でもみんなが憲法談議に花を咲かすぐらいの当たり前の感覚になっているならば憲法に対しての議論を進めるということは私はいいと思う。けれども火事場泥棒的に変えようなんて図々しいにも程があるだろうってことなんですよ。
「緊急事態条項」創設の危険性
2012年に提出された自民党の憲法改正草案、つまりは自民党は憲法こう変えますよというような内容です。その中に今の憲法の中にはないけれども新しく加えたがっているものがある。何かといったら「緊急事態条項」。総理大臣自身が今から緊急事態ですよと声をあげたら緊急事態になります、そういう代物なんです。一番やばいのが、緊急事態の宣言が発せられた時には内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定できる。つまりは国会が要らなくなるってことです。
国会は立法府、ルールを作る場所です。内閣は行政府。行政(内閣)と立法(国会)と分かれているわけです。でも、緊急事態条項が実際に形になって、総理大臣が緊急事態だと宣言したら、立法府の存在無視して自分たち(内閣)でルール作れちゃう。これって非常に危険。だって法律って、最悪の事態があった時にどう対応するかということが数々作られているわけですよ。災害に関するものであったり、テロに関するものであったり。すでにある法律で十分に回せるはずのものを、鶴の一声でこのような形にしたいんだっていうようなものは、これ非常に危険な作用を及ぼす可能性が高い。
火事場泥棒的な憲法改正
火事場泥棒ってなぜ言うかというと、このコロナにおいて例えば第6波がやってくるみたいな状況がきたら彼らにとっては一番憲法改正に踏み出しやすい。「私たちがいくらお願いをしても皆さんは分かってくださいませんね。緊急事態だと言ってるのに、ステーホームだと言ってるのに、人流の抑制ができません。その理由は何でしょうか。この国の憲法に問題があるんですよ」、そういう流れに持って行きたい。コロナを抑え込むためには憲法の改正も必要だというようなことも盛り込まれてしまう。そういう流れなんですよ。それって非常に危険ですよ。
コロナを災害指定すればよい
本当に徹底的にステイホームをさせたいのであれば、これは今の法律でできるんだよってことをこれからご紹介したいと思います。
この続きについては、動画をご覧になるか、次の記事をお読みください。
憲法13条が守られてない話についてはこちらの記事もどうぞ↓
冒頭に紹介した報道はこちら↓
このような火事場泥棒的な改憲を絶対に許してはなりません。コロナ対応は現行法の枠内で可能であることを一人でも多くの人に広めていきましょう。
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