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『NO RULES』 世界一「自由」な会社NETFLIX。

前回会社の変革に関する記事を作成しましたが、今回はまさに会社の新しい形ともいえるこの会社のことを記事にしたいと思います。特に日本では人口減少により”意欲の高い優秀な新入社員をいかに確保できるか”が企業の成長にとって非常に重要で、且つ大きな課題だと思います。このNETFLIXは従来のやり方とは全く違う仕組みで運営されており、さらに今世界を制覇する勢いで成長しています。今日はこのNETFLIXの成長の秘訣を探っていきたいと思います。

尚、この記事は『NO RULES』 世界一「自由」な会社NETFLIX。という本の中身を抜粋しております。この本の著者は経営学者のエリン・メイヤーとNetflix の共同創業者で会長兼 CEO のリード・ヘイスティングス自らがNetflixのこれまで大きな成長を成し遂げた背景である企業カルチャーについて詳細を明かしてる1冊で非常に興味深い内容なのでご興味ある方はぜひ一度読んでいただくとより深くNETFLIXについて知っていただけると思います。

Netflix の企業文化

Netflix の企業文化を一言でいうと自由と責任です。年間休暇数が決まっていない、出張・旅費・経費申請などの社内規定や意思決定の承認プロセスといったほとんどの企業では当たり前に存在するルールは一切存在しないようです。それだけを聞くとルールの縛りがなくて自由で最高や従業員が好き勝手して収拾がつかなくなってしまうのではないかと思ってしまいますが、そんな普通じゃない働き方を Netflix は成立させてしまっているのです。

そんな新しいカルチャーを成立させられているのは徹底している3つの取り組みがあります。

①能力密度を高める

②率直さを高める

③コントロールを減らす

このつ3の取り組みを通して3サイクル繰り返すことで Netflix の自由と責任のカルチャーが成立できたそうです。もちろん Netflix 自体はこの3サイクルを綺麗に実施できたわけではなく、何年にもわたって試行錯誤を繰り返し徐々に進化しやっと Netflix 内での正しいアプローチを探り当てたということです。

①”能力密度を高める”とは?

自由でルールがないと従業員が好き勝手して収拾がつかなくなってしまうのではないかという懸念が浮かびます。そもそも企業にルールが必要なのは、そのルールがないと無責任で怠惰な行動をとるような社員がいるからです。そのため、NETFLIXではそもそもそういった社員を採用せず会社から排除し、優秀な社員だけで組織を構成することで多くのルールが不必要となり、そのぶん自由を与えることができるのです。

この考えに至ったきっかけはNetflixを創業したての2001年春に最初のインターネットバブルがはじけ多くの企業が倒産したためVC からの資金も途絶え、事業運営に必要な追加資金が調達できなくなった時のこと。当時の社員数の約⅓、120名の従業員をレイオフにしました。レイオフにした従業員は判断力にムラがあったり世話がやける人、考えが違う人、後ろの向きの事ばかり言う人たちが対象でした。その結果、最初は同僚がいなくなって残った社員は悲しそうでしたが、数週間たたずに社内は突然情熱・エネルギー・アイデアが満ち溢れるようになり、これがきっかけで組織における能力密度の重要性に気付いたそうです。要するに優秀な人材はお互いをさらに優秀にし、パフォーマンスは伝染するが、凡庸なメンバーは手がかかり、議論の質を低下させチーム全体の IQ が落ち、パフォーマンスが落ちることに気付いたのです。そのため Netflix は優秀な社員の獲得・維持、そして排除の徹底ぶりが半端なく最高の人材には最高の報酬を支払い続けることを惜しみません。例えばクリエイティブ系のポジションなどに対して業界最高水準の給与を支払うことを主義としており、業界トップレベルの人材は平均的な人材と比べて軽く10倍以上の成果を出せるというのが彼らの考えです。

業界最高水準の給料保障するために Netflix は変わった取り組みをしています。他社の類似ポジションで支払われる給料知るために、リクルーターと面談したり他者の採用面接を受けたりすることを社員に推奨しています。もちろん社内で非常に高く評価されている社員に限りますが他社からオファーされた給料の方が高かった場合にはそれに合わせて給料が上げられるそうです。なぜかと言うと会社内だけの評価で給料が決まる場合、上司の好き嫌いに左右されてしまうこともあるため、同じ業界の他の会社からの引き抜きの条件を確認したり面接に行くことで自分の市場価値を確認でき、その業界全体の市場価値によって給料が決まれば不公平感がなくなると考えたためです。また能力密度を高めるという意味合いでパフォーマンスがイマイチな社員には十分な退職金を提示しポスト開けることにも力を注げるようにしておりキーパーテストという考えでチームのメンバーが明日退社すると言ってきたらあなたは留意するだろうか、それとも少しほっとした気分で退社を受け入れるだろうか、後者ならば今すぐ退職金を与え、本気で留意するようなスタープレイヤーを探そうというシーンまであるということです。そういった意味で1人1人が最高の社員でありスポーツ選手のようなものと例えられます。

②”率直さを高める”とは?

優秀な人材はお互いをさらに優秀にし、パフォーマンスは伝染するとありました。そこで次のステップ、環境としてお互いが素直に学びあうことが必要になります。互いに活発なフィードバックがなされるようになると上司が管理するということが不要になり、社員に好ましい行動をとらせるために存在しているマネージメントや承認プロセスを無くし、より自由を与えることができるようになるのです。組織の風通しを良くするという意味でよく言われる経営手法だと思います、やはりNetflixの率直なコミュニケーションが徹底されています。上司が部下に対してフィードバックするだけではなく部下が上司に対してフィードバックすることもNetflixでは日常茶飯時だそうです。そのため社長に対しても社員がフィードバックをするぐらい官僚的なルールがありません。ただしお互いにフィードバックしようとしてしまうと人は率直なフィードバックを嫌い苛立ちを感じで攻撃されたと思ってしまうためNetflixではフィードバックを社員が上手にできるようにフィードバックの4原則というガイドラインを設定してます。これは「4A」と呼ばれていて

①AIM TO ASSIST:相手のためを思って

②ACTIONABLE:行動変化を流す 

③Accept or Discard:取捨選択

④APPRECIATE:感謝する

①と②はフィードバックを与える側、③と④はフィードバックを受ける側になります。フィードバックを与える側は相手を助ける気持ちで行い、行動を促すような内容であること。フィードバックを受ける側は感謝することを忘れずその上受け入れるか自分で判断するということが示されているそうです 。Netflixは全社員にフィードバックの与え方、受け取り方を教育することで優秀な人材はお互いからとても多くを学ぶことができる環境を整えているでのす。

③”コントロールを減らす”とは?

次のステップは”コントロールを減らす”です。会社の社内規定や承認プロセスを廃止することがここで言うコントロールに該当します。Netflixでは管理職と社員に対してこのような原則やシーンを教えています。管理職にはコントロールではなくコンテキストによるリーダーシップという原則を教え、社員には「上司を喜ばせようとするな」と言った指針を与える。

重要でリスクの大きい意思決定は職員に関係なく分散させています。管理職の役割は意思決定をすることや、社員へ指示をすることではありません。社員の意思決定をサポートするということです。社員自らが意思決定を下し、プロジェクトが正しい方向に導かれていればコンテキストでのリーダーシップはうまく機能してると判断されます。

例えば Netflixでは1億ドルの大型契約でさえ CEOに知らせることなく社員の責任で進めてしまうそうです。社員の評価は一度の挑戦の結果で出るわけではなく全体のパフォーマンスで判断されるという文化は納得です。やはり企業勤めをしていると毎月の KPI があり、月単位で見た時に達成していないと評価が下がってしまうなどがあると思いますが、全体のパフォーマンスとして判断されるという認識が全社的であれば社員は失敗を恐れずチャレンジができるという考えです。こういった社内規定等のコントロールを減らすことで優秀な社員が自由な発想で勝つ、スピード感をもって仕事に取り組めるようになる、それが会社全体の業績を押し上げることにつながることが説明されています。

まとめ

皆さんはどう感じられるでしょうか。企業のマネージメントには様々な考え方がありますが、この会社はその考えを全てから覆すまさに次世代のマネジメントを実践している会社だと思います。

国の文化、業界の特性、その業界においての立ち位置、何を目指しているか、にもよりますので全てが正しいとは思えませんが、人を引きつけ、最高のパフォーマンスを発揮させ、組織全体を勢いづかせるこのNetflixの経営手法にはただただ驚かさせられます。

前回の記事でも触れましたが、日本の大手企業は改革がなかなか進みません。それはそれで悪いことばかりではありませんが、この変化の早い時代に何一つ変えれないのであればそれは問題です。言い換えればこのNetflixはこういった時代だからこそこのような形で運営されており、それらがワークしているのでしょう。

当然このやり方が本当の意味で評価されるのは50年後になるでしょう。今の時代にフィットするやり方が全く同じ、このままの形でずっとうまくいくとは限りません。しかし、きっとNetflixは時代にあわせてそのやり方を変化させ、組織を進化させるという文化を持ち合わせていることと思います。日本企業が最近世界の中であまり存在感がないと言われてしまっておりますが、それは良くも悪くもこれが原因かなと思います。日本企業が再び世界の中で勝つためにはこの柔軟性が必要なのかもしれません。そういった意味でもこの新しい企業”Netflix”のこれからの経営に注目していきましょう。

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