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モチベーション3.0とは!持続するやる気をいかに引き出すか!

「モチベーションがあがらない」

「うちの社員はモチベーションが低い」

よく聞く言葉です。

「モチベーションを高めるためにインセンティブをつけましょう」

「モチベーションが低いのは給料が低いからだ」

はたしてそうなのでしょうか。

今日はこの”モチベーション”を題材に記事を作成したいと思います。

標題、モチベーション3.0という言葉は、アメリカの作家であるダニエル・ピンク氏が2009年に書いた

「モチベーション3.0、持続するやる気をいかに引き出すか!」

というタイトルに由来します。ダニエル・ピンク氏は1995年から1997年まで、アメリカの副大統領であったアル・ゴア氏の首席スピーチライターを務めたほか、世界的に有名なスピーチフォーラムであるTEDに登壇したことがあります。この本の中に多くのヒントが隠されており、今日はその一部を紹介しますのでぜひ参考になさってください。

モチベーションとは

そもそものお話から始めていきたいと思います。よく聞かれるこの”モチベーション”という言葉。よく解釈されがちなのが”やる気”のようなニュアンスです。しかし辞書で調べてみると”動機”です。ここにまずギャップがあることに気付かされます。

【モチベーション=動機⇄やる気】という関係性なのです。

動機があることがやる気につながるのであってモチベーション=やる気ではないことをまずは認識する必要がありそうです。

では動機とは何なのか。それは何のため?ということです。何のためにそれをやっている?というお話です。「WHY?」です。何か理由を持ってる人は仕事をやるときに力を発揮します。

これは人によって違うと思いますが、例えば非常に難しい仕事を乗り切ることができた人、大きなプレッシャーを乗り切れた人は何が違うのでしょうか。

これが”動機”です。

この動機は人によって色々あると思います。

”この人に認められたい”

”顧客から信頼されたい”

”負けたくない”

”同期に負けたくない”

”何かをやり遂げたい”

”怒られたくない”

”早く終わらせないと帰れない”

このようにそれぞれ考え方こそ違えど、何かの動機があるからモチベーションにつながり、外から見ると”モチベーションが高い人”になるということです。

まずここのPOINTとしてこの動機があることが重要だということです。

モチベーション1.0と2.0

3.0に入る前にこの1.0と2.0を説明しておきます。

モチベーション1.0とは、「生理的動機付け」と言われており、現代というよりも少し前の時代の動機付けという言い方ができるかと思います。「生きるため、社会や組織を継続させるために頑張ろう」という動機付けで、たとえば、「お腹が空いたからご飯を探しに行こう」というものや「子孫を残すために子供を作ろう」というやる気がこれに当たります。

モチベーション2.0とは、アメとムチによって生まれるやる気で、これは近代社会の動機付けと言われております。「外発的動機付け」という名前で呼ばれていて、簡単に言い換えると「外からの刺激によって対象者を頑張らせる動機付け」となります。例えば、「高いインセンティブがあるから頑張ろう」というものや「社長に命令されたから頑張ろう」というやる気がこれに当たります。ここから脱却し、今は3.0の時代と言われておりますがまだまだここの感覚をお持ちの方も多いのではないかと思います。

モチベーション3.0とは何なのか!?

結論から申し上げますと、このモチベーション3.0は

”内なる動機”

外からの報酬ではなく、内から湧き出る気持ち。2.0の「お金がもらえるから頑張る」「給料が減らされるから頑張る」というものではなく、人間のモチベーションを高めるものはこの自分自身のまさに

”内側からやりたいと思う気持ちである”

今の時代、人間のモチベーションを高めるものはこの自分自身の内側からやりたいと思う気持ちだということです。

欧米でも心理学者や脳の研究家などの間ではかなり前から飴とムチでは人間の”やる気や生産性が落ちる”ということが広範な実験で繰り返し証明されていました。しかしなぜか現実の世界ではほとんどその研究が活かされておらず、依然として企業や学校では依然としてあからさまなアメとムチが人事制度上使われています。

単純な生産作業やプログラミングなどであれば飴とムチにも効果があることは知られています。しかしそうした作業の多くは発展途上国に行ってしまい、今や先進国に残った作業の大半は付加価値が求められ、その都度違うことを行うクリエイティブな作業です。

学者の研究によれば、そうした作業では成果報酬(飴とムチ)がむしろマイナスに作用してしまうということも分かってきているようです。成果を求めるあまり視野が狭くなったり発想に自由度がなくなってしまうからと言われています。つまり昭和や平成の経営手法をこの令和に持ち込むということは百害あって一利なしと主張されています。

モチベーション3.0に沿った考え方とは

モチベーション3.0がわかったとして、ではどのようにすればこれを活かした活動につなげることができるのかを考えていきたいと思います。キーワードは①自律性・②熟達・③目的の3つと述べられています。

確かに私たちは①自分で行動を決めた時にやる気が出る ②やっている行動が上達していくことで更にやる気が出る ③それを行う上で大きな目的があればさらにやる気が出る ということです。

ではそれぞれどのように高めていくのか。

①自律性:社員のモチベーションを高めるためには仕事で社員が自由にできる部分を増やすことがまず第一に挙げられます。ソフトウェア制作の仕事であれば期日までにソフトウェアが完成するのであれば出社してもしなくてもいい、いつ出社してもいいという具合にします。つまり決められた勤務スケジュールというものがない自律性が与えられるということです。特にコロナ禍でこのような方法に踏み切った会社はあるでしょうし、これで業績が上がった例も紹介されています。何よりまずは社員に自由度を与えることで尊重することが重要だと言われています。

②熟達:そもそも熟達とは何か価値のあることを上達させたいという欲求のことです。これを満たすためには

”自分が行なっていることが価値のあることだと認識すること”

”熟達するための方法や環境が整っていること”

この2点が必要になります。

まず”自分が行なっていることが価値のあること”だと認識するためには目標設定が大切になってきます。

目標には2種類あります。その2種類っていうのが達成目標学習目標と呼ばれるものです。

例えばフランス語で評価Aを取るというのは達成目標、そしてフランス語を話せるようになるというのが学習目標です。そして熟達のために必要なのがこのフランス語が話せるようになりたいという学習目標の方です。

自分が今やっている努力はフランス語を話せるようにするための努力、フランス語を話せるようになった自分がパリの街を歩いているところを想像してもいいでしょう。そうすることによっていま自分がしている単語の暗記は価値のあることなんだと認識することができてモチベーションを高めることができるのです。

そして熟達するための方法や環境ですが、自分がやっている課題が簡単すぎず難しすぎない丁度良いレベル努力によってのみに達成できる現時点よりも1段から2段上のレベルのものだということが何よりも大切だということが分かっています。

その上で目標に対するフィードバックが適切に早く帰ってくる、これも大切です。適切なレベルの課題設定とフィードバックこの二つが大切になってくると言われています。

③目的:これは自らの欲求を自分以外のより大きな目的とを結びつけるというものです。ある大学の実験で卒業予定者からサンプルとなる学生を選び人生の目標について尋ねました。その後を追跡調査を実施しキャリアが始まってからしばらくの間の状況を調べることにしました。

学生の中には金持ちになりたいなど利益志向型の目標を抱く者、一方学び成長したいといった目的志向型の目標を持つ者もいました。この学生たちが卒業して現実の世界へと羽ばたいてから12年後に学生たちの様子をされました。

結果、目的志向型の目標を持ってそれを成し遂げつつあると感じているものは大学時代よりも大きな満足感と主観的幸福感を抱き不安や落ち込みは極めて低いレベルだと報告されました。

利益志向型の目標を追い求め、それを達成したのにまだ満足できないと感じる時、目標の規模と領域を拡大しようとするからです。つまりお金持ちになりたいと思っている人はある程度お金を稼げたとしても、もっともっとお金が欲しいと思ってしまいますし、人気者になりたいと思っていればもっともっと人気が欲しいよっていう風になってしまうのです。より高い報酬や他者からの承認を求めるようになる、これが原因で不幸になってしまうということです。

これは大きな満足感を得るためには目標設定だけでは十分ではなく、正しい目標の設定が必要だということを理解する必要があるということです。こういう話を聞くと、やはり人生における目的を一度考え直さなければならないという気持ちになりますね。

まとめ

自分のモチベーションをいかにして高めるか、そして社員のモチベーションをいかにして高めるか。おそらく事情がそれぞれ違いすぎて答えはないと思います。しかし、この本で述べられていることを知っておくと何かのヒントになるかもしれません。

”新卒のモチベーションが低い”

”社員のやる気が感じられない”

”新卒社員は成長しているのだろうか”

誰しもが思うところだと思います。よくある話として、「過去と他人は変えられない」という言葉もあります。

しかし、世の中には非常に勢いのある会社が存在します。前回紹介したNetflix社もその一つです。Netflix社の話と今回の話をつなげてみると共通点があることに気付かされます。そうです!やはり社員のモチベーションを最大限高めることができる仕組みになっているのです。

私もそうですが、社員を育てる側の人間としてこの流れは無視できません。社員のモチベーションを高めるために今コーチングや1:1面談など手法が使われていますが、その手法だけに焦点を当てるのではなく、いかにこのモチベーション3.0でいう①自律性・②熟達・③目的 この3つを意識して接することが出来るかが本当に重要だと感じます。ではまた次の記事でお会いしましょう!











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