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絵本って高くない? と感じていた未熟さを恥じています

心から恥じています。それ以上でもそれ以下でもない、日記。

早いもので息子が2歳になり、これまで「ごぶごぶ」とか「ばー」「ぷくぷく」の音や、認識しやすいはっきりとした色づかいが中心だった絵本から卒業した。乳児の認識できる音や色が緻密に計算されたこれらの絵本は、物語や登場人物的なものがないゆえ大人の私にとってはなかなか退屈で、読みながら眠気に襲われた実績も多数、、(ごめんなさい)

ところが、子供が1歳半を超えた頃から、絵本の中で起きている状況をそれなりに理解できるようになった。雨が降るとか、パンケーキができた、がわかって、なんだか本人もすごく嬉しそう。私の言葉を真似して返してくれることも多くなり、親子の(というか私の)読み聞かせの楽しみがぐんと広がった。

で、ここからが本題なのだけど。
楽しめる絵本の幅が広がったからと書店の児童書コーナーへ。絵柄が綺麗な絵本や、自分が昔お気に入りだった絵本、子供が好きそうなモチーフが出てくる絵本を3冊ほど抱え、”良いお母さん” という自尊心に満たされながらレジへ向かった私は「合計4,500円になります」という店員さんの声ではっと我に返る。

( た、、高くない…!? )

これまでお下がりでいただいた絵本ばかり読んでいたから気が付かなかったのだ。絵本って、あの薄さで1000円前後、大判だと1500円前後、外国のものだと2000円近くすることもある。しかし良き母たるもの子供の感性を育てる絵本をケチっちゃいけない気がして、黙ってクレカを差し出した。

これまで散々、本にお金を費やしてきた。大学生の頃から恐らく月間4冊ぐらいのペース(一冊1500〜2000円ぐらいのビジネス書)が多かったけれど、どれもこれも学者や経営者たちの金言が小さな文字でギッチリと詰まっていた。300ページを超える本の値段が高いと感じたことはこれまで一度もなかったし、なんなら自分が執筆した子連れ台湾のガイドブックなんて言うまでもなく。読者みんなに「この値段でこの情報量はお得!」と思ってもらえるような意気込みでネタを詰め込んだのだ。

そんな私が、24ページ、ハードカバーの絵本を高いと思っていた。
でも、でもね。まじでそんなことないってわかったんですよ。というか子供がそう教えてくれた。そう思った理由と、そう思わせてくれた名作たちを紹介しますね。

何度も読む。セリフを覚えるぐらいに読む

眠るまえの毎晩の読み聞かせを始めて、気がついた。絵本って同じものを、何度も何度も何度も何度も、読む。最初はつけていたカバーがはずれ、親がセリフを覚え、次第に子供もセリフを覚え、お気に入りのページに折り目ができ、24ページを行ったりきたり、最後まで読んだと思ったら、また最初に戻ったりしながら。それも数ヶ月間の話ではなくて、おそらく何年も。我が子のお気に入りの「からすのパンやさん」、一体何回読んだだろう? 

(金言が詰まったビジネス書、素晴らしい内容だけど、何度読み返しただろう? お気に入りのものでも、多くて一年に一回読み返すぐらいかな…)

ぶどうパン、ボールパン、きりんパン、うさぎパン、でんわパン、さぼてんパン、てんとうむしパン、だるまパン・・・

いろんなパンが出てくるページに、2歳の息子は言葉どおり大興奮。
「あ、まめ!」「あ、ぞーしゃん!」とその1ページだけでいつも10分以上はワイワイやっている。そのまま親子で寝落ちすることも多い。日常の中で知っているものが増えるたびに認識できるものが増え、お気に入りのページができる。私も小さい頃、このページが大好きだったんだよ!気が合うな!と嬉しい気持ちになる(たぶんみんな一緒だけど)。物語は覚えてないけれど、この楽しい絵だけは覚えてたもんなあ。今度、いっしょにこのパン作ろうねって約束する。31歳の私も、この絵本が大好き。記憶にいつまでも残るこの素晴らしい名作が、1,080円? 

やっす!!!!!

読むたびに、新しい発見がある

絵本っていろいろなものがあるけれど、私は『14ひきのシリーズ』のような美しく繊細な描写にあふれるものがとても好き。これも昔、自分が図書館でたくさん借りた記憶があって、懐かしくなって買ってみたもの。

息子と一緒に読んでみて、それはもう驚いた。
最初読んだときは気が付かなかった生き物やねずみたちの描写に、2回目、3回目、10回目と読むごとに発見があるのだ。もう何度読んだかわからないぐらいになって初めて「あ、てんとむしー」と息子が小さな葉っぱの裏を指さしたりして。「わ!ほんとだ!こんなとこにいたね、よく気づいたね〜」と驚くことも多い。文字を追いかけている私の横で、子供は絵をじっくり見ているんだもんな。ページをめくるたびに楽しい発見がある、その奥深さに心底感動する。

14ひきのねずみたちが住む小さな家の壁に飾ってある絵の模様や、見開き一ページにめいっぱい詰まった14ひきそれぞれの行動や感情。これから子供が数が数えられるようになったら、とか、それぞれの季節にあわせてシリーズの作品を楽しめたら、とか。まだまだ何年も満喫できそうだなと思う。数年越しにもなって初めて気がつくこともあるんだろう、と思うと楽しみは尽きない。

ちなみに、この『14ひきのシリーズ』、これまで知らなかった植物や生き物の名前がたくさん登場する。「ちごゆり」「えなが」「うりはむし」、恥ずかしながらどれもよく分からなくてあとから調べることになるんだけど、いずれも季節感を象徴するような言葉だと気づき、絵本のなかに俳句の季語を探すような美しさに惚れ惚れする。いわむらかずお先生、私が子供の頃からよく読んでいたけれど、まだご健在なのだろうかと大変失礼ながら調べてみたら、いまもさまざまな活動をされていて「いわむらかずお絵本の丘美術館」なるものが栃木県にあることを知る。14ひきのシリーズに登場する自然に出会えたり、先生ご本人が朗読会をされたりすることもあるそう。いつかぜひ子供と訪れたいなと思う。この美しい世界を描くいわむら先生のことを知りたくて、東京で行われる講演会にもちゃっかり申し込んだ(興味のある方はぜひ一緒に行きましょう!)。

一体何年かけて一冊を描かれているのだろう… と思わずにはいられない、名画集のような素晴らしい作品が 1,296円…。泣きたくなる。

子供の行動を変えることがある

絵本を読むことのメリットみたいなものはたくさんあるのだろうけど、親としてとても助かるのは、子育てのお手伝いをしてくれることだ。私が助けられたのは『はみがきれっしゃ しゅっぱつしんこう!」という絵本で、毎日の歯磨きを嫌がる子供のテンションを少しでも上げたくて、いろいろなクチコミを参考に出会った一冊。登場する「たっくん」の名前を、自分の子供の名前に変えて読むのがコツらしい。

絵本を読んでいるときは「ふーん」という反応だったけれど、乗り物好きな息子にはなかなか効果的で、この絵本に出会って以来、歯ブラシを列車に見立てて「シュッシュッシュッ!」とテンション高めに近づくと、面白がって口をあーんと開けてくれるようになった。「あ!なんかいたぞ〜!エイエイ!」と絵本さながら実況しながらお掃除する。絵本って、絵本の中だけで完結しないのがすごいなあとしみじみ思う。

歯磨きの度に暴れまくるので「誰か… 1000円払うからこの子の歯を磨いて…」とか願っていた日もあったから、1,080円で行動を変えられたなんて回収率がハンパない。

もちろん子供によってハマる/ハマらないがあるのでいちがいには言えないけれど、”変わりたいあなたへ” 的な300ページの自己啓発系の本を読んでも大して変われない大人がほとんどだというのに… アンタは偉い!

大人にこそ読んでほしい絵本がある

絵本でも買うか〜とのんきに児童書コーナーでぱらぱらページをめくっていると、思いがけず泣いてしまうことがある(年を追うごとに崩壊する涙腺と豊かな感受性よ)。その代表的作品が『フレデリック ー ちょっとかわったのねずみのはなし』。レオ=レオニ は『スイミー ー ちいさなかしこいさかなのはなし』でおなじみだと思うけれど、この作品はね、なんだろう、ほんとね、、、絵本というより、もはや詩集のような。ほっこりとする展開がたまらないのですよ。

みんながせっせと働く中、働かないねずみが主人公。そのうち痛い目に合うんだろうと予測してしまうようなフリなんだけど、まったく違うラストで。Amazonのレビューを見たら、いい大人たちがたくさん泣いてて安心しました。

ちなみに、レオ=レオニの作品はすべて谷川俊太郎が訳していて、巨匠2人の共同作業という事実だけで震える。ラストに出てくるフレデリックの詩は、谷川俊太郎の詩なのか、レオ=レオニの詩なのか。長編大作で人を感動させることよりも、32ページの深い物語でじんわりさせることのほうが、よほど難易度が高いだろうと気付く。

・・・と、ここまで子供置いてけぼりなんだけど(笑)
この絵本を読んだときに、私の声があまりに震えるものだから息子はポカンとしていた。あと数年もすれば「なんでフレデリックは働かないの?」「なんで魔法が使えるの?」と聞くのだろう。人それぞれに与えられる役割について、そのときまでに、気の利いた返答を用意しておきたいなと思う。

絵本って、すごいね

ついついたくさん語ってしまったけど、言いたいことはこれだけ。
この事実を知って、絵本の安さに気がついた。そして、無料で絵本を自宅に持ち帰れる図書館というサービスの素晴らしさも。子供が気に入った絵本を何冊か借りて、家で読み、特に好きなものはお家用に購入する。幼い子供が「気に入る」とかあるの? と昔は疑問に思っていたが、2歳になった今、我が子が「これ読んで!」と大体同じようなラインアップをベッドに持ってくるようになり、「おお…!気に入っているぞ…!」と察するのだ。

なにかとコスパのことばかり気にしてしまう自分が情けないけれど、絵本の値段を安いと思えた、私の大人の第一歩。これからもたくさん素敵な絵本に出会いたい。おすすめがあったら教えてください!

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Fabulous!
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台湾がもっと好きになるウェブメディアHowtoTaiwan(http://howto-taiwan.com )編集長。台湾まわりやIT企業のPR/ライター/翻訳などのお仕事してます。台湾とビジネス書と映画をこよなく愛する一児の母。

コメント4件

確かに!絵本はコスパよいですね。本の中でも最も価値のあるものの一つのような気がします。
感動しました!!!
7歳娘と5歳息子の父です。
自分の子育てから、親として学び成長することの大切さを感じ、この2月に保育園へ転職しました。
それゆえに、子育てでも保育でも、絵本はなんて大切なんだろうと感じてやまない日々です。

保育園の子ども達は、隙あらば絵本を出してきて読みたがり(読んでほしがり)ます。
我が子もいまでは、けっこう長い絵本を集中して聞いています。

子どもは、本来絵本やストーリーが大好きなのです。
その延長で、活字を追うのも好きなのです。

それを、大人の様々な理由で制限したり、学校教育等により活字を読むことを強制することにより、「本嫌い」な子を育てているんじゃないかと、いくつかの文献等により感じています。

僕も自己啓発的な本もそれなりに読みますが、「子どものころの本に対する好奇心」そのままに育ったら、だいぶ天才になれるでしょうね。
感激しました!(涙)
7歳娘と5歳息子の父で、いま保育園に勤めています。

園に、「ちいさいおうち」を読んでお昼寝する子(2歳)がいます。

<あらずじ>のんびりした田舎の丘が、開発により町となり、昼夜も四季もわからなくなり、車や電車が走り、人々がとても忙しそうに走り回る街となっていく。それを悲しむちいさいおうち。ある日、ちいさいおうちを立てた人の子孫がおうちを見つけ、また自然豊かなのんびりとした丘に引っ越ししてくれた。そんなお話しです。

そうして読み終わり横を見ると、2歳の女の子の穏やかな寝顔があります。
「ちいさいおうち」を読んでその寝顔をみると、形のない焦りや不安が、すーっと楽になっていくのを感じるのです。焦らなくていいんだよ、と教えてくれているようです。

絵本、本当にすてきですよね。
田中さんのお陰で、「ちょっと高いな」と思っていた自分を反省いたしました。(笑)
素敵な記事を、ありがとうございます!!
私も最初は「高いなぁ!」と思ってましたが、描く側に回ってみると、ものすごく考えるし労力が必要だなと…。文学の中で絵本が一番難しいそうです😭
私のおすすめは絵が中心の「とんでいく」「さかさまさかさま」「どんぐりむらシリーズ」等。
ちょっと年齢が高めなんですけど大人が読んでも楽しいです✨
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