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加賀美ハヤト社長の好きなメタルバンドを紹介しようとしたら、耳が壊れかけた


にじさんじを意識的に追い始めた理由は、カラオケで歌う曲を探すためだった。去年の1月あたりから。

偶然開いた加賀美ハヤト社長の誕生日放送で、彼がLinkin Parkを歌っていたのを聞いたのが、全てのはじまりだった。そこから本家のファンになってしまった私は、カラオケでも喉をつぶしながら、でも最終的にLinkin ParkやONE OK ROCKの曲では、シャウト込みで一定の点数を取れるようになった。

今回の記事は、ささやかな恩返しとして、加賀美社長が稀に言及する洋楽メタルアーティストをまとめ、その活動を紹介してみる。Linkin Parkの説明が筆者の事情で長いのはお許しください。章末には、デスボイスの出し方についての、YouTubeでも有名な参考動画をつけている。ただ、初心者が迂闊に真似をすると喉を傷めることもあるため、ここに載っているアーティストの真似は慎重に行ってほしい。



・Linkin Park

加賀美社長の歌唱スタイルにおける大きな特徴が二つある。それは「スクリーム」と「ラップ」である。当然基礎的な歌唱力は無敵なのだが、それに加えてこの二つの特殊歌唱法を使いこなすことで、その魅力は何倍にも増幅されていく。

そして、この二つを兼ね備えたバンドがあった。Linkin Parkだ。

2000年代世界で最も売れたバンドであり、Silpknotと共に、メタルを新たなステージ(ニューメタル)へと塗り替えた。ラップ、スクリーム、DJ、ギター、ミキシング、ありとあらゆる側面で新しい技法を詰め込み、若者の親への苦悩やトラウマをこれ以上なく的確に伝えることに成功した。先日20周年盤が発売された1st『Hybrid Theory』や世界2700万枚のセールスを記録した2st『Meteora』は、今や2000年代以降の邦洋ロックシーンを語る上で避けることができない大名盤である。

(つい最近上がった日本人が語る『HYBRID THEORY』+Linkin Parkメンバーへのインタビュー動画。DISH//の北村匠海さん、西川貴教さん、coldrainのMasatoさんたちが出演している)

主要メンバーはVo.チェスター・ベニントン(スクリーム)、Vo. マイク・シノダ(ラップ)、Dr.ロブ・ボードン、Gt.ブラッド・デルソン、Ba.フェニックス、DJ.ジョーハーン。

Linkin Parkのメンバー、特にDJのハーン氏はPVにわざわざ出演させるほどの重度のガンダムファンだった。映画版トランスフォーマーの主題歌『New Divide』、そしてPS3ソフト・機動戦士ガンダム エクストリームバーサス フルブーストの主題歌『The Catalyst』など、そのジャンル通り「Metal」との結びつきの強いバンドだった。

2017年、バンドに大きな悲劇が起こる。ボーカルのチェスター・ベニントンが自宅で死亡しているのが見つかった。自殺だった。事前にそのような兆候はなかったという。各界の音楽ファンは大きな悲しみを背負うことになった。

彼の遺作となった曲『One More Light』は、それまでのスクリームを封印し、静かに人の生命を肯定する曲だった。そして、彼の残した曲たちは、今も人を救い続けている。(和訳


加賀美社長に曲提供して欲しい人 -Mike Shinoda from LP

残されたボーカル、ラップ担当のマイク・シノダ氏は、今もソロで活動を続けている。特にTwichを中心に曲を制作、絵を披露するなど幅広い活動を続けている。この最新のPVはそのネットでの活動の集大成のひとつ。

リンキン・パークは日本との縁が多かったバンドだった。それは、メンバーの機械好きに加え、マイク氏が日系アメリカ人3世(日本名は篠田賢治)であるところからきたものだった。彼の祖父は第二次世界大戦中にアメリカの、日本人強制収容所に収容されたことがあり、その時のエピソードは「Kenji」という曲になっている。

そして、完全に個人的な妄想だが、これほど毎日曲を作り続けているマイクさんに、加賀美社長ほどの歌唱技術がある人ならば作曲をお願いすることが可能ではないかな…と感じている。これが実現すれば、おそらくバーチャルユーチューバーの「アート」としての表現の可能性が開けるはずだ。

(あんな鬱屈とした音楽をしていたリンキンの彼がどうぶつの森を…?)

ONE OK ROCKとの関係

Linkin Parkは日本のラウドシーンにも間違いなく多大な影響を与えた。そして、加賀美社長の文脈で言えば一番重大なのはONE OK ROCKとのかかわりである。

ONE OK ROCKの初期のスクリームを貫くスタイルからは、Linkin Park含め、ニューメタル全体からの影響を感じることができる。特に初期の代表曲『Re:make』はその照明の使い方がリンキンの『faint』に似ていることが、うっすらとオマージュではないかという話もコメント欄などで出ていた。

2017年11月、Linkin Parkは日本でのONE MORE LIGHTツアーを行う予定であり、そのWITH VERY SPECIAL GUESTとして、ONE OK ROCKは出演する予定だった。共演の夢は、叶うことはなかった。その後、Mikeはたびたび、ワンオクのTakaをライブに呼び、Linkin Parkの曲を歌っている。

このインタビュー動画でTakaさんが二人を見る目は、まるで初めて洋楽を聞いた少年のようにキラキラしている。


・Killswitch Engage

Killswitch Engage(KSE)は、1999年にアメリカ・マサチューセッツ州で結成されたメタルバンド。ボーカルのジェシー・リーチの強烈なスクリームを武器に、バークリー音楽大やジャズバンド、グラフィックアーティストなど多様なバックグラウンドのあるメンバーが集結。

2018年にはジェシーの声の生命線である喉にポリープが発生。切除手術を受け、医師に「医学的に正しい歌い方」を伝授されたことで一層強力な声を手に入れたという。リンク先のインタビューでは、一見暴力的にも聞こえる音楽だが、それが人への思いやりの上で成り立っていることが語られている。

俺自身に関して言えば、俺は昔から人に共感することが多くて、人に対して思いやりを持っていたいと意識してきたんだ。それは両親の育て方によるものが大きいと思う。と同時に、俺が聴いて育ってきたハードコアのカルチャーにも織り込まれてきたものじゃないかな。例えば俺の青春時代、ベジタリアンであるということは動物に対する共感を表したものだった。そういうものを抱えてここまで来たんだと思うんだよね。俺が今もこの音楽をやっているのは、愛があるからというのもあるけど、目的意識があるからだと思う。世界が変わる手助けになりたいね。その一部として、世の中に無関心が蔓延していること、腐敗した政府のシステムが世の中をコントロールして俺たちの頭を操作しているために世の中が分断されてしまっていることを自覚させないといけない。特にこの国の今の状態は分断がはびこっている。だから俺は自分のミッションが愛や思いやりについて声を上げることだって情熱を持っているんだ。人間が持っている一番パワフルなものだと思うしね。憎悪や腐敗に立ち向かう武器なんだ。そういう意識は以前から俺の一部になっていた。人生経験だね。成長して、大人の男になっていくにつれて培ってきた意識なんだ。

(最新曲。この曲、加賀美社長が禁忌って言ってた開幕スクリームぶち込んでね…?)

・ARCH ENEMY

ARCH ENEMYは1996年結成のスウェーデン出身のデスメタルバンド。メンバー交代の激しいバンドで、女性ボーカルのアリッサとギターのマイケル・アモットが現在の中心メンバー。最初期は日本とフランスでしか知名度がなかったが、2000年頃から世界的に知名度を上げる。

歴代の女性ボーカルどの人もあまりに太い声を出すため、性別が分からないとよく言われるらしい。基本的にクリーントーンはなく、グロウルで一曲歌いとおすタフなスタイルが多い。

・August Burns Red

アメリカ・ペンシルベニア州出身のクリスチャン・メタルバンド。悪魔的な音楽と、クリスチャンという信仰心が共存できることに、個人的には驚いた。既存のメタルコアの楽曲構成に満足せず、常に新しいものを追求する実験的なバンド。(その中で特にブレイク・ダウンと呼ばれる手法を取り入れることが特徴とされる)

・Van Canto

とかいいながら、加賀美社長がTwitterに投下した曲がこれである。なんかリゼ様、どんどんメタル方向に魔改造されているような

ここからドイツ勢。ドイツは「ジャーマンメタル」という名前でハロウィンスコーピオンズなど、古くから多くのメタルバンドの出身地だ。その中でアカペラメタルバンドのVAN CANTOは、なんとボーカルが5人(!)ベース1人というアカペラ体制で、主にカバー曲を発表し続けている。下はIron Maidenのカバー。

・RAMMSTEIN

そのドイツのメタルバンドの中でも、「一番危険」と言われるのがラムシュタインである。ライブでは大量の火炎放射器を使い、ディルドなど性的なものを想起させるパフォーマンスや疑似行為を行い逮捕されるなど、エキセントリックな活動を続けている。アメリカでの成功後も全ての曲をドイツ語で歌い続けている。

・lynch.

邦楽のバンドだが、加賀美社長が配信ライブを見ていた話をされていたので、1組だけ。lynch.は2020年に15周年を迎えた愛知のロックバンド。2017年にはベーシストの脱退など危機的状況もあったが、そのピンチも毎公演ベーシストを入れ替える取り組みなどで、新しい試みへと変えていった。ビジュアル系、メタル、デスコアなど各ジャンルの良い所を絶妙にバランスよく配合しようとする、繊細な感覚の持ったバンドだと筆者は感じた。

・デスボイスという闇魔法

九州大学の李庸學教授は、ポップミュージックに不可欠なミックスボイスを、高速度デジタル撮像するなどして、その音響学的特徴を研究するなど、健康的な声の出し方やその仕組みについて研究を行っている。

そして2年前、デスボイスyoutuber界では第一人者であるMAHONEさんとのコラボが実現。先生によれば、「デスボイスよりも、声帯に負担のかかったクリーントーンの方が負担がかかる」とのこと。

医学も日々更新されているため、100%は必ずしも保証されていないが、この方以上に精度の高い解説もないため、デスボイスに興味を持たれた方はぜひ参考にされてください。


・メタルというあまりに奥の深すぎるジャンル

加賀美社長の好きなメタルバンドは、おおまかにいえば00年代以降のニューメタルに属する。70-80年代の細やかなギターの技巧を競う世界というよりも、90年初頭のシンプルなグランジ・ロックを経た、ボーカルのパワーで引っ張るメロディアスなバンドが多かった。

ただ、これも大雑把な、しかもメタル素人の感覚にすぎない。さらに詳しくなりたい方は、つい最近誕生したメタルバンド解説のCORE TUBEさんを見て見て欲しい。そこにはスクリームに魅了された者の広大な沼が広がっている。



おまけ

海外ニキも、社長の歌唱力にはびっくり



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