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【無料テンプレつき】商談の前に整理しておきたい顧客理解のポイント

こんにちは、水嶋玲以仁(みずしま れいに)です。

前回の記事"「今まで通り」での数字達成に限界を感じている営業マネージャーへ"では、営業マネージャーの方に向け、目標数値を達成するためのマネジメントのポイントについて触れました。

今回は、 リモート営業に課題を持つ現場の営業担当者の方、インサイドセールス担当者の方に向け、商談前に整理しておきたい顧客理解のポイントをご紹介します。

なぜ顧客理解が必要なのか?

そもそも営業担当者の方であれば、「顧客理解」すなわち「お客様のことを知ろう」という言葉は、営業の現場で耳にタコができるほど聞いているはずです。しかしながら、顧客固有の特性や企業風土、顧客の会社全体の課題にまで踏み込んだ理解には至っていないことが非常に多いと感じます。そうなるのはなぜでしょう?

これまでの営業で、顧客理解が進まなかった理由は明快です。営業が顧客の顔を見なくても、買ってくれる顧客がいたからです。では、なぜこれまで買ってくれていたのか。それは、商材が魅力的だったからにすぎません。見方を変えれば、商材のよさを顧客が理解できていたからです。しかしかつてに比べ、市場に出回る商材は非常に複雑化しています。また簡単に模倣できる時代でもあり、コモディティ化する速度も速まる一方で、競争も激しさを増しています。

そうした中で、顧客は購買体験そのものに価値を求めるようになりつつあります。それは顧客側が「あの会社は、私たちのことをわかってくれている」「私たちのことを考えて、提案してくれている」と感じられるような体験です。その意味では、従来よりも、もう一段階高い次元の営業が求められる時代といえるでしょう。それには表面的な情報だけではなく、深いレベルでの顧客理解が問われるということです。

でははたして何がわかっていれば、顧客を「理解している」といえるのでしょうか。今回は、商談の前に整理しておきたい、顧客理解のポイントを2つご紹介します。

顧客理解のポイント1 顧客の「ペインポイント」を探れ

顧客理解の中身を知る上で、まず参考にしたいのが、次の表です。これはアメリカのCRM会社が提案している、顧客プロファイルの項目一覧です。顧客の事業規模に始まり、月の予算、決裁者といった契約に直接関わるような要素が挙げられており、リモートに限らずどのような営業スタイルでも入手しておきたい基本的かつ重要な情報といえます。

ここで注目したいのは、6番にあるペインポイントです。これは「Pain=痛み」の意味のとおり、顧客の痛点、悩みの種をさします。事業の成長を妨げる、本質的な課題です。

たとえば慢性的な頭痛は、首や肩の凝りによる血行不良が主な原因としてよく挙げられます。そして首や肩の凝りを招いているのは、パソコンやスマホの見過ぎや運動不足、体の冷えなどです。つまり生活習慣を変えない限りは頭痛に悩まされ続けるわけで、この生活習慣の乱れこそがペインポイントになります。

表層的な現象だけを見ていては、ペインポイントに気づくことはできません。頭痛の例でいえば、患者の話も聞かずに鎮痛剤を出すだけでは、本質的な解決につながりません。薬を飲んでいる間は痛みが引きますが、効き目が切れれば、またぶり返してしまうからです。

有能な医師ならば、どのような職業に就き、どのような日常を過ごしているのかていねいに紐解いていくでしょう。頭痛の根本理由を探り、痛みのもとを断つことが真の健康に近づくことにつながるからです。

営業も同じです。顧客が語る表面上の現象で理解した気にならず、もう一歩踏み込んでその理由や背景を探ることが、いい提案につながります。他の項目に比べてやや抽象的な内容であり顧客も言語化しにくい部分であるゆえ、ヒアリングスキルが試されるところです。

顧客理解のポイント2 仮説を立てる体験が顧客の理解を深める

ではどうすれば、顧客の考えや思いを引き出し、ペインポイントに近づくことができるのでしょうか。それは商談前の事前準備にかかっています。特にカギとなるのが、こちらで仮説を立てておく作業です

間違えないでほしいのは、完璧な仮説を立てることが目的ではありません。仮説を立てる過程で集める情報と、その処理をこなした体験が、掘り下げて話を聞くときや相手の考えを理解するときに役立つのです。いい加減な仮説では意味がありませんが、顧客の話す内容に応じて軌道修正をかけていく柔軟性を持ち合わせておくことも大切です。

どのような仮説を立てるべきかについては、残念ながら絶対的な答えはありません。業界や商材の特性、営業方針によってもまったく異なるでしょう。こればかりは、自社の営業部門で独自に定義することが必要になります。  

事例として、ある旅行会社の法人営業部門で用いている事前準備トレーニングシートを紹介しましょう。このシートは商談前に使います。フォーマットに従って情報を整理し、仮説を立てていくのです。ミーティング&イベントとはその名のとおり、日帰り研修や記念式典、外部向けの発表会などの催しの総称です。

このシートを見ていくと、顧客(この場合はイベントを行う企業や団体など)の動向に始まり、顧客の業界におけるトレンドを調べたうえで、顧客のニーズに応えるアイデア(仮説)を立てる流れになっています。

仮説につなげるには、顧客に関する情報だけでなく、顧客が属する業界のトレンドを含め、幅広く情報を拾っておくことが大事であるとわかります。情報収集の手段としては、顧客のホームページだけでなく、新聞や経済・マーケティングのニュースサイト、業界誌など、調べる手段はたくさんあります。こちらのシートでは、仮説の根拠となる情報の出所をメモする欄も設けているため、この1枚で情報整理と仮説の組み立ての両方をまかなえるところも参考にしたいポイントです。

なおこのシートのフォーマットは、以下のリンクからダウンロードできます。自社の事前準備シートをつくるときに、ぜひ参考にしてみてください。

今回は商談の事前準備のポイントについてお伝えしてまいりました。これからの営業では、ぜひこれらのポイントを押さえて入念に準備し、商談に臨んでいきましょう。


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