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じぶん作詩/短歌 のようなもの

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#詩

まがいものの朝

まがいものの朝

起きて 夢を見ていたと悟って

ふやけた意味の意味を

裸足の裏でなぞろうとつめたい

6AMにフローリング 着地

ただしい輪郭とは すなわち朝の窓辺

あてどころに尋ねあたらぬ意味 まがい者が

光のもとでは均く声をならべ

昨日を名乗り わたしを騙って

こんこんと 

今日も

今日に

折り重なっていく

また同じ夢を見ていた

くるくる貝

くるくる貝

相変わらず奇抜な柄が似合ってしまうきみの

ひろい肩やむねに付いてる貝や貝や貝や貝の

そのうちの一つに過ぎないとしても少なくとも

薄まったレモネードが回ってるいまはあたしの海だ

だからくるくる回って永遠に減らなくてこの時間が

続いてほしいのに続いてほしくない、なんで?

分かってるんだよそうして陽だまりみたいに笑う

ちゃん付けしてくれるさり気なく靴をほめてくれる

優しさを持て余して手も

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月舟の途

月舟の途

本当に思っていると言うのはほんとうは

本当と思っていたいだけなのかしらと

己すら誠と信ぜられない酔いの言の葉

口にのぼれば刹那の煌めき宵に溶けゆく

紅い幻想に落つる伏目の奥は在りし月か

或いはとうに違えた月の許であるか

影刻々と移ろう雑踏に別つ背の途を

遠のく貴女を