拝啓、1番の読者なわたしへ
この本は、(中略)
なによりわたし自身に向けて書かれるものである。
全ての文章は、自分のために書かれるものだからだ。
(序章より p34-35)
あら、なんて潔い。
著者の読みたい文章を、のぞかせてもらおっと。
そう思って、本屋さんの「いま話題!」のコーナーに平積みされていたこの本をレジに持って行った。
表紙
どストレートなタイトル。
淡ーい青(たぶん白じゃない)に紺色の文字。
シンプル、でもちょっとクセのあるフォント。
潔い中に、こだわりの練り込まれたような表紙。本当のところは分からんけど、ゴシック体でも明朝体でもない堅めのフォントと、ごまかしの効かないシンプルなデザインに、勝手にこだわりを感じた。
開けば読めるスタイル
テーマがぽん!って提示されて、
その詳細を2~3ページで説明していく構成。
字も大きくて、字数も少ない。
どこから開いても読み進められるような、気軽さが良いな。
著者の田中さんの語り口も、ゆるくて大雑把で、読んでるうちに近所の気を許したおじさんの話を聞いてるような気持ちになる。
おみくじみたいにパラパラめくって、
気になるとこだけ読み返す、なんて読み方も出来る。
それから、そもそもこの本は
無益な文章術や空虚な目標に向かう生き方よりも、書くことの本来の楽しさと、ちょっとのめんどくささを、あなたに知ってもらいたいという気持ちで書かれた。(引用 p34-35)
そうな。ちょっと気になったワードをいくつかピックアップさせてもらおうと思う。
感動が中心になければ書く意味がない
人間は、事象を見聞きして、それに対して思ったこと考えたことを書きたいし、また読みたい(引用 p55)
たしかに、本や文章で面白いなと感じるのは、どんなところを面白いと思ったのか、どんな感情が起こったのか、そんな書き手の「心の動き」が感じ取れるときだなと私は思う。
その書き手ならではのフィルターで切り取った世界を、一緒に覗かせてもらえる気分になる。
「私が愛した部分を、全力で伝える」
という気持ちで書く必要があるんだとか。
パワーある言葉。
愛と敬意。これが文章の中心にあれば、あなたが書くものには意味がある。(引用 p185)
承認欲求を満たすのに「書く」は割に合わない
たしかに~!!!って笑ってしまった。
私も文章書くのは好きやけど、誰かに褒めてもらうことだけが目的なら、違うことやった方がええと思う。
だって書くんて、めちゃくちゃに時間と労力が掛かる。頭のエネルギーも、体力も、ひらめきも、自分のこだわりに付き合う我慢強さ(笑)も必要。
構成が決まらず全然進まんこともしょっちゅうで、「なんでこんなに時間かかるん!?」と自分でも毎回驚く。
それでも、感じたことを丁寧に言葉にできたときはめちゃくちゃ嬉しいし、気持ちええし、言語化しとくことで自分の頭の中を振り返ることも出来る。
ほんでもって公開する前に何回も読み返すし、公開してからもミスがないか読み直す。
ああ、私の文章を1番読み込んでいるのは、間違いなく自分。
だからこそ「読みたいことを、書けばいい」なんやろうし、むしろ読みたくないことは、こんなに熱量もって向き合えんわなあ、と。
自分で独り言を言って自分で笑うようなもので、アホといえばアホだが、(中略)「知らない読み手を想定して喜ばせる」よりもかなり簡単だ。(抜粋 p106)
おわりに
「自分のためだけに」と言うと、ただただ独りよがりの自己満足に聞こえるかもしれない。
・まあでも私の文章って、自己満やろなあ。
そうぼんやり思っても、なぜかちょっとほっとした。書くってそんなもんかも、ってまた思えたからかな。
言語化に時間がかかるけど、その手間かけたくなるくらいの心動いた瞬間はあるかもなあ。
ゆっくりやったとしても、自分の読みたくなる文章を紡いでいきたいなあと、奥の方で思う。
書くことは、生き方の問題である。
自分のために、書けばいい。読みたいことを、書けばいい。
(引用 p248)
敬具 (「おしまい」替えて。ふふ)
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