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サイコセラピー(心理療法)について

少し前に鬱になったことをカミングアウト(…という言葉を使うほど大した告白ではないが)してから、驚くほどたくさんの人から連絡をもらいました。
すでに回復してから公表したのですが、現在進行形だと思って心配して連絡をくれた方もたくさんいて本当にありがたい気持ちでいっぱいになりました。
カウンセリングを始めてまるまる3ヶ月経ちましたが、夏に仕事を1ヵ月ほどセーブしてかなり真摯にメンタルケアに取り組んだのが良かったのか思っていたよりも遥かに速いペースで回復し、どんなセラピーを受けているのか教えて欲しいという連絡が何件もあったので、長くなりますが今日はそのことについて書いてみようかなと思います。


サイコセラピーで改善した心身の症状

私が受けているのは「サイコセラピー」(心理療法)に基づいた定期的なカウンセリングと、自分で行うメンタルトレーニングで、これによって私が3ヶ月間で改善できた主な症状がこちらです。

  • 鬱の改善

  • 他人との境界線が以前よりうまく引けるようになった事で自分以外の他人に対して執着や怒りの感情なく色々と割り切れるようになった。また今の自分にとって必要な人間だけが残り、人間関係の整理ができた。

  • 自分の体に意識を向けられるようになった。

  • 一旦時間をおいて感情を体感する作業を癖にすることで、特に途中変更の多い仕事などでのフラストレーションが軽減し、コミュニケーションが円滑になった。

  • SNSを見る事にあまり興味がなくなった。

  • 鬱の改善に伴って、ストレスでのながら食べや糖分の過剰摂取がなくなり体調が良くなったので、思い切って白砂糖の摂取をほぼやめたことで、40年間付き合ってきた吐くほどひどい偏頭痛やむくみ、気分の浮き沈みが大幅に軽減した。
    何をしても直らず半年ほど悩まされていた肌荒れが治り、ひどいむくみがおさまった事で身体的にもすっきりとした気分で毎日を過ごせるようになった。

自分にとって何よりも嬉しい変化は、鬱よりも、むしろひどい偏頭痛の改善でした。セラピーを始めてからというもの、大好きだった甘いものを無性に食べたいと思わなくなった事で初めて気づいた体調の良さと、同時期に体調を崩して食生活をガラッと変えた友人に砂糖断ちを勧められたことがきっかけで、先月から意識して白砂糖の摂取をやめたことで、月に5日はまるまるつぶれるようなひどい偏頭痛やむくみ、肌荒れ等の不調などが驚くほど改善しました。特に偏頭痛に関しては私は子供の頃から患っており、市販の頭痛薬では効かないために長年処方箋の強い薬を服用していたし、年々悪化の一方を辿るのみだったので私はきっと将来頭痛が悪化して死ぬんだろうなと思っていたほどでした。
精密検査をしても脳などに異常はなく、体質だから付き合っていくしかないと言われ、水分を取ることや眼精疲労は指摘されても砂糖に関しては今まで一度も指摘されたことがありませんでした。
これは本当に目から鱗で、いかにメンタルが生活習慣と関わっているのかが本当によくわかる出来事だったので、ここからさらに、食生活で変えられる部分があれば変えていこうと前向きに考えるようになりました。

途中経過で体験する感情の乱れ

実際、鬱は完全に抜けて仕事や生活も完全に通常通りになってしばらく経ちますが、問題はここに行きつくまでに普段は全く感じない(というか、感じないようにしているのかもしれない)割とキツイ感情の波を味わったことです。
私が受けている心理療法では、自分が普段理性で抑えている感情や闇に徹底的に向き合うトレーニングをするため、しばらくは普段より感情の蓋が開きやすくなります。何かを見たり聞いたりして、普段はそこまで何も感じない事にでも感動して号泣することもあれば、些細な事で怒りや疑問、または人への嫉妬や劣等感等、嫌な感情も出やすかったので、いかにそれをコントロールできるか考えたあげく、まずはインスタグラムも毎日開くのをやめ、大切な人間関係にも、大切だからこそ、しばらく少し距離を置くことにしました。
そんな期間があったからこそ、サイコセラピーは簡単に人に勧められるような気がしないし、何よりも「自分の問題を解決したい」という、かなり強い本人の意思がないと、望むような結果は得られないと思います。そればかりか、途中でやめてしまうと余計に辛くなるようなことにもなりかねません。


私の場合、幼少期に満たされなかった承認欲求や、他の子供と比べて我慢をしていた感情が強く出ていたので、特に親しい他人から思い通りの返答や対応を得られない時などに「私をわかってほしい」「認めてほしい(褒めてほしい)」という気持ちがムクムクと暴れ出し、非常にイライラしてしまっていました。セラピー云々ではなく、パートナーだけにこれが顕著に出てしまう人も多いと思います。
他人に自分の気持ちを汲み取ってもらえない事に対して怒りを覚えるこの状態を、心理用語で「投影」というらしく、これは自分と他人との境界線があやふやになっている事が原因で、人間関係の問題はほとんどのケースにこの「投影」が多かれ少なかれ関わっているとのことでした。
私のこの状態もまさにそれで、思い返せば以前からそのような兆候が少なからずあったと感じました。カウンセリングによって、母親との共依存的な心理、また子どもの頃の親との心理的距離感がその根本原因であるという事は理解できたのですが、単に理解したからと言ってその感情が落ち着くわけでもなく、しばらくはその感情の処理に非常に苦戦しました。

出てくるものは出てくるのだから仕方ないと割り切って、少しでももやつく事があれば、そのもやついた感情を一人でじっくり向き合って考えてみました。
今まで、ここまで自分の承認欲求や負の感情について、正面切って向き合う事はなかったと思います。メンタルにはかなり向き合っている方だと思っていましたが、感情を「体感」することによって、今まで自分のやっていたことがただの机上の空論(知識)で、頭でっかちになっていただけだったことを思い知りました。
負の感情というのは、要は、他人に指摘されるとモヤモヤしたりイラっとする部分です。そこを突かれたら痛い、という部分や、自己否定的な感情、それを一切自分の中で和らげることをせず、真正面から向き合うという作業を行います。そんなことはきっかけがない限り、誰もしたくないものです。

例えば「自分は才能がない」という自己否定的な思いが沸いてきたとします。ほとんどの場合、それを認めたくないので、向き合おうとしても「私は努力ができない」などと真意を和らげてしまったり、反対に嫉妬の対象を攻撃したり悪口を言うことで自分の心を守ろうとします。これを一切やめて、徹底的にその「才能のない」自分とただただ向き合い、それで生まれた感情を感じきる。これは文字にすると簡単ですが、実際やってみるとなかなかしんどい作業です。
幼いころの記憶にアクセスをするトレーニングにしても、「私の両親は完璧だった」「家庭に特に問題はなかった」と親の理想化をする人が多く、セラピーが捗らない事は非常によくあるとのことです。
これは何度もトライして体感しないとわからない上に、こういった嫌な感情が出やすい時期は本当に精神的にキツイ期間なので、何度も途中でやめたくなりましたが、今年の夏はひたすらその感情と向き合う毎日を過ごしました。
家で仕事ができる環境であることと、気力が鬱によって一旦底辺まで落ちたからこそ、徹底的に向き合えるようになったのだとも思います。

これを繰り返しやっていると、他人の目につく部分というのはほぼ自分が底に抱えている部分なのだという事に気付くようになります。そこで初めて、外側に向かっていた矢印が自分の内側に向き、得も言われぬ安堵感のようなものが徐々に徐々に感じられるようになってきました。
そして恐らく、どんなに底辺の状態の自分にも寄り添えるという安堵感そのものが、俗に言われている「セルフ・ラブ」(自分を愛する)という事なんだと感じるようになりました。これは、欲しい物を買ったり高価なスキンケアをしたり食べたいものを食べるだとか、そういった表面的な事ではありません。
色々な心理癖が働いていた私にとって、徹底して自分の潜在意識化にアクセスしようとしない限り、体感できないことだったように思います。

カウンセラーの選び方

次に、私がどのようにカウンセラーを選んだかという点についてです。
鬱やメンタルヘルスの治療には、何種類か方法があり、投薬で症状を緩和していくやり方もあれば、私のようになんらかの心理療法で治していく方法もあるし、その両方を受ける人もいます。
どれを選ぶかは本当に人それぞれで、リサーチをしたり実際に試したりして自分に合った方法や人を選ぶしかないと思うので、私が実際に受けているカウンセラーやサービスをここで容易に紹介するのは避けたいと思います。

私が住んでいるアメリカでは、サイコセラピーや心理カウンセリングは日本に比べてとても一般的です。カウンセラーになる為にも、アメリカには実践を含めたしっかりとした教育課程もあり、信用できるサイコセラピストがたくさんいます。医療保険やEmployee Assistance Program (EAP)でもセラピーは治療対象になるし、私も始めはアメリカ人のカウンセラーを探そうと思ったのですが、コロナ期間に一度、私が今受けている治療とほぼ同じ方法のカウンセリングを少しだけ受けたことがあったのを思い出しました。
その時のカウンセラーは、しっかりと大学と医療機関で教育を受けた人にも関わらず、私にはあまり効果が感じられませんでした。今回と違い精神状態がそこまで悪くなかったことも原因かもしれませんが、全く心に響くものがなかったのは、恐らく彼女にトラウマ克服の実体験がないこと、医学的な知識のみで対応されたことも大いにあるのではないかと感じました。

そもそも日本で生まれ育った人とアメリカで生まれ育った人では文化も社会的な背景も全く違います。また私は今回は絶対に自分の母国語である日本語で会話をしたかったので、私は敢えて日本からオンラインカウンセリングができるカウンセラーを探しました。
また、自分的にここが一番重要だと思うのが、自分と同じようなトラウマを抱え、それを実際に克服した経験のあるカウンセラーを選ぶといいのではないかということです。
自身の経験を公表しており、ある程度セラピーの方針や内容を公表しているカウンセラーの方はたくさんいます。
私のお勧めはYOUTUBEで検索をすることです。ぜひ何人かの動画をじっくりと見てみて、自分に響いた方を辿ってコンタクトをしてみてください。
本人でなくともそのカウンセラーの所属するグループや会社で自分に合いそうなカウンセラーを探せば、少なくともどんなセラピーをしているのかわからずに適当に選んだ人よりも信頼できます。
一つ動画を見れば、オススメで似たようなチャンネルが上がってくるので、できる限り色々な人の動画を見てみてから決めるのが良いと思います。

ここで気を付けたいのが、日本では、特に国家資格がなくても「心理カウンセラー」は名乗れるようなので、一口に心理カウンセラーと言っても色々な人がいるということです。
私は、英語での"Spiritual"と日本語での「スピリチュアル」は全く意味が違っていると思っているので、普段日本語ではあまりその言葉を使わないようにしていますが、「カウンセリング」と称して無責任なセッションをし、高額な料金を搾り取る、自称「心理カウンセラー」も日本の「スピリチュアル」界隈にはたくさんいるようです。
とはいえスピリチュアルを一概に否定するわけではありませんし、実際私も色々なリサーチをしたりカウンセリングを受けてみて、それが医学的なアプローチであろうがスピリチュアル的なアプローチであろうが、最終的には同じところを目指しているんだなぁとも感じました。
本人に合うなら、アプローチ方法は何でも構わないとは思いますが、評判などもしっかりとリサーチをした上で選ぶのも重要です。
上記したように、医学的な知識のみでカウンセリングをする人が私のように合わない場合もあるし、大学で心理学を学んでいなくても実際にセラピーをいくつも体験した上で独学で心理学を学びメソッドを開発し活動している素晴らしいカウンセラーもたくさんいます。実際に日本の大学で心理学を学んだ上でその知識に疑問を覚え、全く独自の方法で活動しているセラピストの方が、自分が大学に入る前に読み漁った心理学関係の本以上の知識は、大学の授業では得られなかったとも話していました。
サイコセラピーは特に、カウンセラーへの信頼感と自分の強い意思が両方揃わないと、思うような効果を得られないと思うので、しっかりとリサーチをした上で自分に「響く」カウンセラーを探すのが良いと思います。

心理療法について参考になったチャンネル

早稲田メンタルクリニック|精神科医 益田裕介さん
精神科医がこころの病気を解説するCh


公認心理師|心理カウンセラー 大空千紘さん
心理学ラボ《 孤独の時間 》


リトリーブサイコセラピー|心理カウンセラー 大鶴和江さん
カズ姐さんの深くて面白い心理学


公認心理師、音楽療法家、作家|心理カウンセラー 橋本翔太さん
心理カウンセラー【公認心理師】橋本翔太の人生リノベーション!

オンライン心理臨床オフィス「SHINKA」運営|臨床心理士/公認心理師 田所俊作さん
こころのケア研究所 心理学解説Ch


NPO法人 日本レイキ協会|医師、心理分析士、心理カウンセラー、レイキセラピスト 辻 耀子さん
【Official】Japan Reiki Association Yoko Tsuji 

上に貼った動画以外にも、チャンネルのリンク部分(太字タイトル)から、たくさんの動画が見れるので、自分に当てはまりそうな動画を見てみる事をオススメします。
こちらに貼った以外にも、たくさん素晴らしいチャンネルがあると思うので、ぜひ自分の心に響くカウンセラーを選ぶ一つの参考になればと思います。

まとめ

仕事や生活に追われていると、忙しすぎてゆっくり自分に向き合う余裕なんてありません。また、それを見たくないがために忙しくするような部分もあるのかもしれません。
私にも少なからず、何をやってもうまくいったり、どんなに仕事が忙しくてもそれによってドーパミンが出るような時期はありましたが、問題はそこで壁に当たった時です。公表するかしないかの問題で、何かを続けていて壁に当たらない人なんていません。
私は幼少期の親からの強烈なしつけがあったおかげで「努力」に関しては割と得意な方だったので、自分の中で目標が固まればそれに向かってひたすら努力をしてきました。人生の前半では、その努力は必ず成功体験として返ってきていた為、それがまた新たな自信となって自分を過信していた時期もありましたが、努力ではどうにもならない事が人生後半に差し掛かる40歳辺りでチラホラと出てくるようになりました。
どんなに努力しても報われなかったり、心や体に不調が出て今まで通りに動けなくなったり、以前のやり方では問題を解決できなくなる時期は長い人生必ず訪れます。そこで恐らく人は心や体を壊し、自分と向き合わざるを得ない事となるのですが、ここで向き合わない限りその問題は何も解決しません。
漠然とした不安や退屈さを常に抱えながらもそれを見ないようにして自分を殺しながらなんとなく生きていっても、小さな問題が繰り返し起こるようになり、最終的に心や体に大きな不調をきたすようになります。
どちらを選ぶかは自分次第です。私は今回、鬱になった事が逆に自分にとっていい結果を生むことになったので、鬱になって本当に良かったとすら感じています。
今回鬱を克服したからと言って、またいつ再発するかもわからないし、多かれ少なかれうまくいかない時期はまた来るだろうけれど、自分との向き合い方や、セラピーという、プロの助けに頼るという方法を体験できただけでも自分にとって大きな学びになりました。
鬱は改善しましたが、私は自分のメンタルのメンテナンスのためにも、これからも定期的にカウンセリングを続けようと思っています。
あまりに色々な変化があったため短くまとめられずかなり長くなってしまいましたが、カウンセリングを考えている人へ、一つの参考になれば幸いです。

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