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「しくみ化」と創発への「余白」②

昨日のポストでは、コンサルや企画営業において、個客対応を昇華させて汎用的なサービスメニューや対応プロセスへとしくみ化された環境下では、顧客視点が失われて「出来合いのソリューションをあてがう」ような行動が生まれるケースがある、という話をしました。

当たり前のことですが、人事が様々な案件で外部パートナーに伴走支援を仰ぐのは、経営課題を解決するための思考の質やスピード感を高めたいからです。

自社だけでは考えるべき事項を必要な視点を押さえきれず、従って本質課題に迫るように考えきれず、最適なソリューションを幅広く探索しきれないまま答えを出してしまうかもしれない。

だからこそ、様々なクライアント先を相手に様々な課題に向き合って、いかにポイントを押さえてスピーディーに考え抜くか、いかに社内外のステークホルダーに対して説明責任を果たせるように準備を行うのかにつき、これまでの支援実績から得た経験的知見を活かして自社のプロジェクトに参画してほしい。
そんな期待を持って契約を結ぶわけです。

作業ベースではプロジェクトのスケジューリング支援やドキュメントのたたき台作成なども発生し、それはそれでありがたくもある。

けれど、外部パートナーとしての真価を感じるのは、プロジェクトメンバー全員が適切なタイミングで適切な問いに向き合い、論点を整理して合意形成していけるようファシリテートし、その結果(骨子)を第三者にも分かりやすく伝わるように構造的に記述してもらえるときだと感じます。

ここで言う適切な問いとは、例えば以下のようなものです。

  • 最終的に何を実現したいのか?

  • 誰の視点に立ったときのどんな課題を解決したいのか?

  • どうなればその課題が解決されたと言えるのか?

  • 解決の過程で乗り越えるべき壁は何か?

  • 何があればその壁を乗り越えられるのか?

社内のメンバーはもちろんこうした点について考え続けてきていますが、様々なことを検討するなかで迷路に入ってしまうこともあるし、コンテクストに即してきちんと言語化ができていないこともある。

そんなとき、そもそもこのプロジェクトは何のために行っているのか、私たちが最終的に見たい景色とはどのようなものかを問い直されること。いま改めてクリアに再定義すべきことを示されること。これまで検討してきた内容と紐付けて意思決定が促されること。そうやって考え直した事項を、誰もが理解できる言葉やロジックでまとめること。

そうやって伴走されることによって、私たちにとっての本質的課題、私たちが最適と信じられるソリューションにたどり着くことができる。

逆に言えば、そうした「一番大切な価値」を発揮されないままアウトプットに導こうとすること、とりわけ、いまここで起きていることへの焦点が当てられないまま、パートナー企業内でパターン化され、汎用化された手順を単純に適用したり、深めるべき議論をスキップして「彼らお得意の」サービスメニューを当てはめて答えを出しにいこうとされたとき、発注元としては強烈な違和感をおぼえてしまう、ということなのだと思います。

でもこれは、コンサル業の方だけが陥る罠なのか?というと、実はどんな立場でどんな仕事をしていても、案外「やらかしがち」なことだとも感じています。

本来、組織的経験を組織的知見に変換し、仕事の効果や効率を高めるためになされたしくみ化が背負う「影」の部分。
その影を乗り越えていくために大切なことは何か?

さらに次の投稿で検討したいと思います。

(つづく)


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