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怖がりな私の乳がん生きのばし日記 ㉖石切神社でお百度参り&はじめてのインターネットバンキング

2021年12月8日

先日の「女性のためのマネーセミナー」で紹介された、ファイナンシャルプランナーのUさんのもとへ行く。

病気になるまでは、お金について真剣に考えたことがなかった。

扶養家族もおらず(マーク以外)、趣味も読書や音楽を聴く程度なので、せっせと会社に行っていると、勝手に貯まっていくものようにすら感じていた。万一、いまの職場がつぶれても、コンビニのバイトでもなんでもして働けばいいと思っていた。
ところが、自分が働けなくなるかもしれないという、それまでまったく考えたことがなかった可能性が浮上すると、にわかに心配になってしまった。

というわけで、いまのタンス預金(銀行ですが)でどうにかして資産を形成せねば……と、まるで中世の錬金術師にすがるような気持ちで相談に向かった。

Uさんに病気のことを説明すると、
「それなら終身保険はご案内できないのですが……」と言って、
つみたてNISAを提案してくれた。

つみたてNISAというものを聞いたことはあるけれど、いったいどこへ行って何を買ったらいいのか? 
と困惑していると、ふだん使っている銀行でも、インデックス先進国株式や、S&P500インデックスといったオススメの商品が買えると説明され、正直タイ語やアラビア語を聞いているくらいにわからなかったが、まずは来週口座を作りに銀行へ行くことにした。

2021年12月9日

石切神社へお礼参りに行く。「でんぼ(腫れ物)の神様」として知られ、
がん封じや病気治癒の効果で名高い大阪のパワースポット。
年が明けたら、きっと混むにちがいないと思ったので。

近鉄石切駅をおり、住宅街を通りながら、ひたすら坂道をのぼって上之宮へ向かう。
前回来たときは、まだ診断が確定しておらず、坂道をのぼりながら「こんなに元気な自分が病気のはずがない……!」と念じていた。
けれども、結局は病気と診断されたのだが、まあとりあえず生きているので、お礼参りをして今後の健康も祈ることにした。

上之宮はしんと静まりかえっていて、本殿からさらに進んで木々のあいだを歩き、亀の池や滝を眺めていると、生駒山の霊験が伝わってきて、心も身体も洗われるような気がする。

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そこから坂道をくだり、線路の反対側にある本宮へ向かうと、占いや土産物屋がずらりと並んだ庶民的な参道商店街が続いている。東京で言ったら、巣鴨の商店街が近いのだろうか。客層を含めた雰囲気が。

本宮に着くと、前回と同じく大勢の人が、鳥居の近くにあるお百度の石と、本殿のあいだをぐるぐる往復して、「お百度参り」を行っている。
私もさっそく授与所でお百度紐をもらい(ちなみに、値段は「お気持ち」とのことで決まっていない。チップにも慣れていない日本人なので、いつも迷ってしまう)、お百度参りをはじめる。

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病気が再発しませんように……私もマークも、両親も、まわりの人たちもみんな健康でありますように……仕事もうまくいきますように……宝くじでも当たらんかな……と、つい邪念を抱きそうになるが、あわてて健康にフォーカスを合わせる。

一緒に歩いている人たちを眺めながら、どんなことを考えているのだろう?と思いをはせる。杖をついた人や、若くてもヘルプマークをつけた人もいる。自分ではなく、身近な誰かの健康を祈っている人も多いのだろう。
「お百度参り」ではあるが、百回でなくとも、自分の好きな回数で大丈夫らしい。私も力のかぎり歩いたが、目がまわりそうになったところで終えた。

それから地下鉄の新石切駅へ向かい、この日のメインの目的、いやメインはもちろん健康祈願なのだが、それに勝るとも劣らない目的である、石切の名店シェ・アオタニへ行く。
石切もちどら、ドーナツ、大納言カステラを買って満足。また来年もお菓子を買いにこないと……いや、健康祈願がメインの目的なのですが!


2021年12月16日

先日の個人相談で決めたとおり、新たな口座を作るためにもよりの駅の銀行へ行く。
が、銀行に着くと、閉まっていて呆然とする。
いや、考えたら、かなり前から閉まっていた。ただ、こないだまでATMは変わらず使えていたので、すっかり忘れていたのだった。

仕方なく、隣の駅まで歩く。中に入ると、いかにもベテラン銀行員といった女性が用件を聞いてきたので、
「つみたての口座を作りたくて……」と言うと、
「ご予約はされていますか? 現在はご予約優先となっております」と聞かれる。もよりの銀行が閉まっていたことにも、さっき気づいたばかりなので、予約なんてしているわけがない。
「予約してません……」と答えると、係の女性は困り顔をしつつも、なんとか窓口へ案内してくれた。

窓口の女性行員に、
「現在ふたつある口座をひとつにまとめて、そこからつみたてNISAをはじめたい」と言ってみると、魔法のような手際のよさで、あっという間に口座の解約とインターネットバンキングの案内を進めてくれた。こんな人がごく一般の銀行員として働いているとは……と感心する。
案内されるがままに、QRコードを読み取って、ログインアカウントを作り、アプリをダウンロードする。これですべての手続きを行うことができるらしい。

そして今度は、制服ではなくスーツを着た若い女性が出てきて、別の机に案内される。免許書やマイナンバー通知カードをアップロードして口座を作り、最初のつみたてを行う。
インターネットバンキングって、なんて簡単なんだ!と、平成の時代に誰もが思ったことを、令和のいま実感する。

そこから案の定と言うべきか、さらなる金融商品の案内をされる。
たとえば500万を預けたら、何年かで510万になるとかどうとか話がはじまり、「シミレーションを作ってみていいですか?」と聞かれる。
ダメという理由もないので了承すると、十分後くらいに「設計書」を持ってきてくれる。死んでも認知症になっても安心なプランのようだ。

保険商品なので、しつこく勧誘されたら「がん患者なので」という伝家の宝刀を出して断ろうと思っていたが、「考えておきます」と言うと、それ以上勧誘されることもなかった。たいした資産もないからだろうが。
死んでも認知症になっても安心……いや、まだ死ぬつもりも、認知症になるつもりもないので! 誰もそんなつもりないとはわかっているけれど。

(Blur/Gorillazでおなじみ、デーモン・アルバーンの新曲。アイスランドへの愛と感謝がテーマとのこと。ちなみに、無精して「デーモン」で検索したら、閣下の動画が出てきた)



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