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名前くらい好きに名乗らせてくれないかい?-航空券予約で気づいた選択的夫婦別姓について-

コロナウイルスが世間を賑わし、エンタメ業界で働く私は驚きの影響を受けてたりするわけですが、そんな最中、今話題の「選択的夫婦別姓」について直面した。

実は私は実際に結婚をして、名義変更するまで、新姓に変更することにそんな抵抗はなく、「小倉礼子」って政治家みたいだな・・「印鑑佐々木だとどこでもあったけど意外と小倉ってねえな」とかつまらないことを考える程度であった。

しかし変更手続きを始めてみるとこれが気が遠くなる作業で、クレジットカード・銀行、保険証・ジム・病院・ビデオ屋・パスポート・電気・免許・水道・家・保険・ネットフリック・外貨預金あーまだまだあるっつーの!!!とキリがないくらい名義変更する場所がある。そして銀行はオンラインで変更できない、クレジットカードも未だ手書きの郵送(!)など時代に逆行した作業が大量に待ち受けていた。速攻でツイッター上で愚痴ると「仕方なし、それも結婚の一部」「パスポートは次の変更までしなくて大丈夫だ!」など様々な先人からのありがたいメッセージをもらった。自分で言うのもなんだが、こういう事務作業が意外と得意なのと、とてもせっかちなので、全部一気にやってしまったのだが、常に「なぜ私だけがこんなに手を動かすのか」という誰にも当たることができないモヤモヤがつきまとった。(正確には夫には毎日じわじわと愚痴った)

ここで起きたのが、航空券事件である。5月にハワイで結婚式をするので、その航空券をせっかちな私はかなり早めにとっていた。パスポートの名義を変更してしまうとその航空券の名前も変更しなくてはならないことがわかっていたので、パスポートは変更したくなかったのだが、家庭の事情で名義変更する必要が出て、結果変更を余儀なくされた。調べてみると、当然結婚による予約済み航空券の名義変更はできる、と公式サイトに記載があり、変更をしたのだが・・。

実際のところ、航空会社に電話をしてみると「お客様の予約の便はコードシェア便なので、変更ができません。一度キャンセルをしていただきたいのですが、キャンセルをするとキャンセル待ちされている方が自動的に繰上げになるので、他の便をお取りください。またキャンセル料金〜円(かなりの高額!)がかかります」とオペレーターに伝えられた。

想像してください。ここまでの道のりですでに「名義変更」という作業で、私はかなりの時間と手数料というコストを支払ってきています。そこでこの理不尽な対応。そりゃお得意の母譲りのあの言葉、せ〜の!

「あなたじゃ話にならないので、上の人出して頂戴」

炸裂しますよね。いや、いくらなんでも納得できない道理である。100歩譲って、名前が変わったのはこちらの都合だから手数料をはらう覚悟はあった。だけど、便がキャンセルになって、さらにキャンセル料払う理由が「結婚による改姓」って不条理すぎるでしょう。なあなあ、どんな脆弱なシステム使ってるの?もそうだし、こういうことに対応してもらうために、LCCではなく、国内ブランドの便を取り、年間〜万円のカード・マイレージクラブ料金を払ってるんですけどって話なのだ、ってことを少々、少々ですよ?ドラマッチクにお伝えした。

結論としては、その日のうちに新旧パスポートコピーをFAXして、ノーチャージで名前を変更してもらった。変更してくれたことには大変感謝をしているが、ただこれ私が少々強めに言わなければそのままチャージされてた上に、別便取らされてたってことなんだよね?

というわけで一気に選択的夫婦別姓に強く賛成を申し立てたくなった。行政・民間企業がこの改姓作業への社会的・個人的コストを軽視していることはこの数ヶ月でよくわかった。うん、私もいい加減にわかったよ、じゃああそんなにシステムを作ったり、簡素化することができないなら、そのようなことをコストに感じる人のためには、そもそも法律上、選べるようにしておくのが筋なんじゃないの?というのが現時点での感想である。超プラクティカルな理由で夫婦別姓に賛成したい。

正直、昨今の改姓議論で持ち上がっている「アイデンティティが失われる!」とか「自分自身が見失われるようで・・」「新姓の家庭に入るわけじゃない!」という気持ちは私には芽生えていない。ファミリー論者には、申し訳ないが、名前なんて所詮、記号である。佐々木だろうが小倉だろうが私は変わらないし、アイデンティティは失われることはない。ただ、いまの世の中、自分が「日本人」であることも「女性」であることも、自分次第で変えられるんだから名前くらい好きな名前、名乗らせてくれよってのは一番の感想である。






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