自閉症の長男、中学校に行くの話③
12時30分からの入学式当日。
朝起きてから、少し暗い顔の長男。
「本当に行くの?」と何回も聞いてきた。
「うん。行くんだよ。」と同じ返答を繰り返す。
親と一緒に行くということに、ちょっと安心はしているはずだ。いや、逆に親と一緒だから、行かないといけないと思っているのかな。
ちょっと考えてみる。
この子が不安にならないようにできることはあるだろうか。
自閉症じゃなくても、緊張と不安があるのは、どの子も同じなはずだ。
午前中の時間は、あっという間に過ぎ、中学校に行く時間となった。
昇降口は、新1年生と保護者でガヤガヤとごった返している。
このガヤガヤ、ザワザワ感は、音に敏感な息子にとって苦痛になる。
なるべく隅っこに寄って、音を少しでも和らげる。
友達を見つけて、少し笑顔になる。
同じ小学校から、たった2人だけの友達同士。気が合う子が1人いるだけでも気持ちは違う。
親子が別れて、子供達は教室ヘ、親は体育館へと移動する。
支援教室だから、通常学級よりは先生方が1人1人をよく見てくれる。そこに、安心感を覚える。
しばらく待ったのち、入学式が開催された。
コロナ渦なので、挨拶などは省略され、1人1人新入生の名前が呼ばれる。
1学年215人の名前が呼ばれていく。
息子もきちんと返事ができて、滞りなく入学式が終わる。
その後、支援学級の子は、親子共々教室へ移動して、先生の話を聞く。
「明日から元気に来て下さい。待ってます。」
そう言われ、解散となった。
無事に終わった入学式だったが、帰宅後、また涙する息子だった。
明日からの不安が、涙になって出てくる。
こういう時に言葉にして伝えてくれると、とても助かるのだが、言葉にはできない息子。
表情や態度を見て、こちらが気持ちを汲み取るしかないのだ。
明日から学校に長い時間居ないといけないという不安と嫌だという気持ちなのだろうと察する。
夜まで、何度か涙するが、余計な言葉はかけなかった。
翌朝、予想していた通り、学校に行きたくないとぐずりだすことになる。
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