現実問題(働かない弟⑩-父親の死)
その日は雪が舞う、寒い日だった。
職場に母からの電話がきて電話口に出た。
「お父さんが道に倒れてるところを発見されて、病院に運ばれたって!」
その言葉に一瞬、頭の中が真っ白になった。
早く病院に行かなくちゃ。
「きっと大丈夫!」
そう自分に言い聞かせながら病院に向かった。
でも、大丈夫じゃなかった…
病院に着いた時には父親はもう息を引き取った後だった。
仕事中の急性心筋梗塞だった。
こんなことが起こるなんて…
父親に会ったのは、いつだっただろうか…
親不孝な娘じゃなかっただろうか…
そんなことを考えながらも、あっという間に葬儀は終わった。
母親と弟と妹。
大黒柱を急に失った実家の生活は、いくら父の生命保険が支払われたとはいえ、ますます苦しいものとなっていく。
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