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現実問題(働かない弟⑦)

弟の行方がわからなくなって2ヶ月が経った。

メールをしても、もちろん返事はないし、電話をしても出るわけがなかった。

そんな中、ずっと体調が悪かった祖母が亡くなった。蒸し暑い日だった。

祖母が亡くなった事を知らせる為に弟の電話を鳴らし続けた。何度も何度もかけ直した。でも、繋がらなかった。

こんな時に何処で何をしているのか、心配よりも苛立ちのほうが大きかった。

可愛がってもらった祖母のお葬式に出ないなんて…

結局、弟に連絡がつかないまま、祖母のお葬式は終わった。
両親は弟が来ないことに対して、親戚に何と言って誤魔化したのか私は知らない。
行方知らずだなんて、本当のことを恥ずかしくて言えるわけがない。

弟が見つかったのは、祖母のお葬式が終わって2週間後。
捜索願いを出していたので、それを運良く警察が見つけてくれて、居場所がわかった。
普通は、事件性がない限り、警察が積極的に捜索願い者を探すことはないそうだ。

見つかった場所は、熊本県だった。
山形から熊本まで、交通費をかけて、随分遠くまで行ったもんだと呆れた。
まあ、とにかく、警察の世話になって、拒むことなく、家に帰って来た弟だった。



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