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孫娘とじっくり向き合った日

先日、普段はほとんど一人でうちに遊びに来たことなんてない14歳の孫娘、ホープが突然ひょっこりうちに現れた。

というと平和に聞こえるかもしれないけど、事態はちょいと複雑。彼女はティナと喧嘩して家を飛び出してきたのだ。

(ティナはうちの次女でホープの継母。詳しくは「自己紹介ー家族編」へ)

自慢の孫娘、ホープ

ホープはファッション、クッキング、写真が趣味でSNS好きな、いわゆる今時の女の子。

年下の子供や動物も大好きで、年下の叔父である我が息子の相手もよくやってくれるし、自分の妹達の世話も手慣れたものだ。

フェスティバルやファームに連れていってお小遣いをあげても、ホープはティナや妹へのお土産、動物にあげる餌代など、自分のためではなく他人や動物たちのために使ってしまう、とても心優しい自慢の孫娘。💖

だが、一度プチンと切れたら手がつけられなくなってしまうという問題も抱えている。

数年前に学校で同級生や校長先生などにハサミを振り回して警察ざたになり、その後病院で「メンタルに問題あり」と診断された。

その後も病院で出された薬を飲み続けるも、何度か家で暴れだして警察を呼ぶほどだったことも何回かあったらしい。

だから今回ティナからの「ホープが今そちらに向かってる。私が言ったことで何か怒ってるみたい。急にこんなことになってごめんなさい。」というテキストメッセージには少しドキリとした。

ティナのうちから私達のうちまでは徒歩で10分程。もしかするとうちには来ないで行方をくらませ、変な事件に巻き込まれたりするかもしれない、手がつけられないほど怒っていたらどうしよう、などと悪いことばかりが頭に浮かんだ。

それでも、ホープがうちに入ってきたとき私は思わず「良かった! (他のどこでもなく)うちを選んで来てくれて嬉しいよ!」と彼女を抱きしめていた。

彼女も少し照れたように、でも悲しい瞳のまま私をハグしてくれた。

そして私はホープの緊張をほぐそうと、飲み物をすすめたり、最近の近況を尋ねたりしながら、私が話ベタなのでぎこちない間を挟みつつも、ポツポツと彼女が話し始めるのを待った。

そして今日はじっくり彼女の話を聞いて向き合おう、と心に決めた。

ホープの生い立ち

そんな彼女は姉のクレアとともに父親のジョージ(ティナの旦那)に引き取られる数年前まで、ドラッグ中毒(?)の実の母親とクレアと父親の違う幼い妹、アリーと暮らしていた。

それをネグレクト育児だと不憫に思ったティナは実の母親と長い期間かけて法廷で争った末、母親が法廷に姿を見せなくなり、去年ようやくクレアとホープの親権を手に入れた。

アリーは母親に育児能力がないと判断され、現在は母方の祖母に引き取られているが、クレアやホープとはお互いに行ったり来たりしながらよく会っている。

(*クレアとホープの実の母親の記述に関しては彼女に否定的なティナ側の話しか聞いてないので、私的にはそれをすべて信じるのは危険だという認識。)

こういった事情でクレアとホープは実の母親としばらく会っておらず、裁判で争い始めた頃から父親であるジョージの元で継母のティナと暮らすことになったのである。

繊細な少女時代、実の母、父、継母が争う中、裁判に姿を現さなくなった実の母親の様子から「自分たちは見捨てられた」とでも思っているのか、クレアもホープも「実の母なんてもうどうでもいい、別に会いたくもない。」なんて言うこともあった。

ティナも彼女達を引き取ったはいいが、自分の実の娘、エミ、が幼いこともあってその世話に追われ、クレアとホープには家のルールを破ったり、分担された家事を忘れたりすると彼女達のスマホの使用制限をかけたり、家の中でWifiを使えなくしたりして罰を与え、彼女達をコントロールしようとするようになった。

ティナと私の問題

今回ホープが家を飛び出して来たのも、やはりティナがいきなりホープのスマホの使用制限をかけたあげく、なぜそうしたのかという理由も説明してくれなかったから頭にきて家を飛び出して来た、ということだった。

私もティナの、子供をコントロールしようとするやり方に疑問を持ちつつも、実の娘ではないティナに否定的なことを言うのにためらいがあって、今までそういう話題を避けてきた。

ティナの父親である私の旦那が「ティナは実の母親そっくりで、自分に対する批判は一切受け付けないからそういうことは言うだけ無駄無駄。」と言っていたのも引っ掛かっているのかも。

自分の実の娘だからこそ、そういう話しにくいこともじっくり向き合って話し合うべきだろ! と私は思うのだが•••。だって、彼女の意見を変えるのが目的ではないし、一緒に向き合う時間や経験こそが大切だと思うから。

3人の子育てなんてしたこともない私が若いながらも一生懸命自分なりに頑張って3人の子育てを実際にやっているティナに言うことなんて、ただの理想論で現実的ではない、と思われるかもしれない。

でも、ホープやクレア、エミのために少しでも居心地の良い環境を作れるのなら、「罰やご褒美で子供たちをコントロールしようとするのではなく、きちんと子供の話を聞いて、子供にも意見を求め、子供がきちんと自分で改善策を導けるよう見守ってフォローしていくべきでは?」と話したい。(あぁ、それを的確に誤解なく伝えるための英語力も必要だ•••。😰)

親というものは、気を抜くとついつい自分の子供を自分の所有物のように好き勝手に扱ってしまう。でも、子供だって1人の個性ある人間。対等に尊敬を忘れずにきちんと話しを聞き、理解しようとすることはとても大切だし、話し合いの末、自分が間違っていたとわかったなら素直に認めるべきだ。

「あんたの意見なんて聞いてない。いいから私の言うことを聞きなさい!」なんて親から言われても、素直に言うことを聞く訳がないし、ティナと父親のように「お前は私の言うことを聞き入れないから言うのを諦めた。勝手にしろ!」というのも違う。自分の子供は何があっても信じるべきで諦めてはいけないと思う。

私もそのうちティナとも向き合わなきゃな、と、ホープと一緒に作った激ウマな桃のスコーンを食べながらふとそう考えていた。

その後

その日、私はホープと近所を散歩したり、スコーンを一緒に作ったり、Netflix を見たりして一緒に過ごし、その後ホープ自ら「家に帰らなきゃ。」と口に出したのを聞いて彼女を家に送っていった。

その日は息子も旦那も後回し。何事もホープ優先で、私はあなたの味方だよ、という気持ちで彼女の話を聞いた。

複雑な家庭環境の中、誰かが彼女一人のためだけに全てを後回しにして向き合う時間をたっぷり取ってくれたことなんて、今までどれだけあったのだろう•••?

私も今まで他の孫娘達や自分の息子も一緒にホープと遊ぶことはあっても、彼女一人とだけこんな風にじっくり向き合うなんてことは今までなかった。

だから今度また、彼女一人だけを誘って、行きたがっていたアジアンスーパーへおデートしに行こう!、そう思った。

そうして週末を迎え、次の週になるとまたティナから電話で「またホープが家を出ていった。もしかするとそちらへ向かうかも!」との連絡が•••!😥

「姉のクレアがホープの後を追って行ったから、彼女が連れ戻してくれるかもしれないけど、念のため電話した。」とのことで、結局ホープは今回は友達の家へ向かっていたらしく、うちには来なかった。

うちを選んでくれなかった寂しさはあるものの、家にいたくないときに行ける安全な場所の選択肢は多い方が良い。だから彼女がうちの他にも行く場所があることがわかって安心もした。

どうか、悪い方向には進みませんように•••!

(*文中の人物名は全て仮名です。)

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