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惚れてガルーダ ーインドネシア本ー

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インドネシア関連のノンフィクション、小説、エッセイ、紀行文、専門書等を集めたマガジンです。インドネシアに関して勉強している人、インドネシア関係で仕事している、インドネシアに興味が…
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#インドネシア歴史

インドネシア本(12)「インドネシアの歴史 (世界の教科書シリーズ)」 イ・ワヤン バドリカ著

インドネシア本(12)「インドネシアの歴史 (世界の教科書シリーズ)」 イ・ワヤン バドリカ著

教科書という割には独立運動以降の現代史に頁が多く割かれていたり、抵抗運動の指導者像の説明が微に入り過ぎていたり等、日本人がインドネシア史の網羅的な知識を得るというより、インドネシアで将来を担っていく子供達が自国の歴史をどう教わっているか、どう伝えられたいかを目的に書かれた書籍。

日本人にとっては、インドネシアで日本植民地時代がどう教えられているかを知るだけでも読む価値はある。

インドネシア本(13)「狂気の時代」―魔術・暴力・混沌のインドネシアをゆく リチャード ロイド パリー著

インドネシア本(13)「狂気の時代」―魔術・暴力・混沌のインドネシアをゆく リチャード ロイド パリー著

英『ザ・タイムズ』紙アジア編集長および東京支局長によるインドネシアにおける暴力、混沌、そして魔術に関する調査と分析をまとめた三部構成のルポルタージュ。

一部がカニバリズムが衝撃的なボルネオ島(カリマンタン島)のダヤク族とマドゥーラ族の民族抗争、二部がスハルト時代の終焉時のジャカルタの混乱と学生デモの鎮圧事件、三部は東ティモール独立時の混乱とに暴力について。

インドネシア社会において起こる暴力や

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インドネシア本(4)「赤道 星降る夜」 古内一絵 著

インドネシア本(4)「赤道 星降る夜」 古内一絵 著

「祖父の霊とのボルネオへの旅が始まる。旅先で出会ったのは、個性豊かな人々と悲惨な戦争の記憶」〜本文より〜

インドネシアが第二次世界大戦終戦までの3年間、日本に植民地にされていたのを知っている日本人は多いと思うが、終戦間近に今のカリマンタン島で実際に起こった日本軍による現地住民への弾圧事件である「ポンティアナック事件」がモチーフとなった小説。

カリマンタン島西カリマンタン州の州都ポンティアナック

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インドネシア本(3)「腐敗と寛容 インドネシア・ビジネス」 中原洋 著

インドネシア本(3)「腐敗と寛容 インドネシア・ビジネス」 中原洋 著

「官民あげての贈収賄が、大らかな風土のなかで受け入れられていく」「汚職と楽天の風土の光と影」

2005年出版当時の当該本の帯に書かれている宣伝文句だが、汚職捜査機関があるKPKが存在する2022年現在も以前より少なくなったとはいえ、収賄・汚職のニュースは絶えないし、腐敗行為に「寛容」な文化はまだ社会に存在するという認識で間違いないだろう。

インドネシアに12年駐在した筆者は国としての多種多様な

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インドネシア本(2)「アドゥー サバール プルダニア―実録インドネシア日系合併銀行の50年」NNA取材班 大住昭・工藤裕子著

インドネシア本(2)「アドゥー サバール プルダニア―実録インドネシア日系合併銀行の50年」NNA取材班 大住昭・工藤裕子著

旧大和銀行がインドネシアで設立した合弁銀行・現りそなプルダニア銀行の開業から半世紀の歴史を描いたノンフィクション。

インドネシアに限らず海外(特に新興国)での新会社・新規事業立ち上げをする人はもちろん参考になるし、表層的ではなく短い駐在期間だとしても根を下ろして現地でビジネスをしたい人はそのウエットさに共感、経験との重ね合わせができるシーンが多々あるノンフィクションだと思う。

今のインドネシア

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インドネシア本(1)「神鷲(ガルーダ)商人」深田祐介 著

インドネシア本(1)「神鷲(ガルーダ)商人」深田祐介 著

戦後賠償ビジネス利権を背景にインドネシアの政治家達の思惑と日本の商社マン達の劇烈な商戦が絡み合うストーリーで、インドネシア関連のビジネスをする日本人の間でまず名前が上がる小説。

東日貿易(のちの伊藤忠商事)の元社員・桐島正也さんとデヴィ夫人等、実在の人物達がモデルとなっていることもあり、フィクションの名を借りて歴史事実を描いたほぼノンフィクションの小説。当時のビジネスのダイナミックで烈々たる話に

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