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自分が受講した研修で、今でも記憶に残る研修(その2)

私がマクドナルドに入社してから店長に昇格するまで本社で何回か研修を受ける機会がありました。

今も変わっていないと思いますが、マクドナルドの研修は1週間近く新宿の本社にある研修期間「ハンバーガー大学」に出向き、朝から晩までひたすら研修を受講します。

一日中研修を受けると聞くと大変そうなイメージを持たれることもありますが、マクドナルドの研修は基本的に「快適な環境下でリラックスして楽しく受講する」という方針であったため、全くストレスなく受講することができます。(あっという間に時間が経つ感覚です)

しかも研修期間中は現場のことは一切気にしなくて良かったので(本人が安心して研修に集中できるようにするため)、研修期間はむしろ「バカンス」のような気分で参加することができました。

さて、そんなマクドナルドの研修で今でもはっきり覚えているものが一つあります。(正確に言うと「研修の場で起きたこと」ですが)

それは何日もある研修の中の一コマに過ぎなかったのですが、「人のマネジメント」について学ぶことが目的でした。

研修の中で「人は環境の変化を好まない」「環境が変化すると人はストレスを感じる」ということを学び、私を含めて受講者はみな「ふむふむ」と頷いていましたが、研修は終始リラックスした雰囲気で進められていたため、
何となく「そりゃそうだよね~」と軽く捉えていました。

その後休憩が入り、一休みしてから教室に戻るとさっきまでニコニコしていた講師の方(皆マクドナルドの先輩社員です)が急にピリピリした表情になり、教室の後ろにはなぜかビデオカメラが設置されていました。

空気が重たいまま皆が席に着くと、講師が険しい顔で「社長が皆さんの受講態度について懸念しているので、今回の研修風景を撮影して社長に報告します。皆さんもそのつもりで受講してください」と話すので、受講者全員がピシッと背筋を伸ばしました。

私も心の中で「えっ?この先どうなるの?」とビクビクしていましたが、いざ講義が始まると後ろに居たもう一人の講師(ビデオ担当)が急に軽いノリで「あれ~、テープを入れるの忘れちゃった~」と言い出し、前にいる講師が笑いながら「じゃ~撮影は中止」と言いました。

要は休憩明けからの一連の流れはすべて「ドッキリ」だったのです。

受講者がキョトンとした顔で座っていると、講師が一言「皆さん、これが変化です」と言いました。

ドッキリという古典的な手法ですが、「人は環境の変化を好まない」ということを身をもって体験させられた研修だったわけです。

この研修はその後自分が店長になって大変役に立ちました。

というのも、店長になると新しい店に赴任しますが、そこで働くアルバイトの方にとっては「店長が変わる」こと自体が環境の変化であり、「明日から新しい店長が来る」というだけで身構えてしまいます。

そのため、新しい店長が着任していきなり自分のやり方で店舗を運営しようとすると、元々そこにいた人たちにとっては大きなストレスになります。

研修で環境の変化がストレスになることを身をもって体験したため、着任したらまずはアルバイトの方とコミュニケーションを取ることを心がけました。

店長が変わるタイミングでアルバイトが大量に退職することもありますが、おかげで私の場合は辞める人はほとんどなく、その後はスムーズに店舗を運営することができました。

研修の多くは「頭でわかった」というレベルまでは到達できますが、「体で実感できた」というレベルまで落とし込めると効果も大きく変わります。

今では自分が研修を設計する立場なので、少しでも受講者の方にとって有益な研修を提供できればと思っています。

今回もお読みいただきありがとうございました。


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