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トロッコ問題で組織のリーダーに向いているかどうか見極める

Yahoo!ニュースでこんなのを見つけました。

いわゆるトロッコ問題で「誰も犠牲にしない解決法」ですが、そもそも「みんな助けよう」と考えている時点でトロッコ問題の前提(必ずどちらかが死ぬ)が崩れているのでこれはさすがに”ネタ”だと思います。

実は以前に管理職の方向けの研修でトロッコ問題のようなケーススタディ(会社がピンチに陥り、誰かを犠牲にしないと生き残れないという設定)を作ったことがあるのですが、多くの方は「誰も犠牲にしない解決法」を一生懸命探していたので、この手の問題を投げかけられると「無難な答えを見つけたい」というのが人情かもしれません。

トロッコ問題そのものは正解のない問いですが、実は次の2つの視点から組織のリーダーに向いているかどうかを見極める参考にはなるのではないかと考えています。

1.トロッコ問題自体に嫌悪感を抱くなら、リーダーをやらないほうがいい

まず、トロッコ問題のような「必ず誰かが犠牲になる問題」を突き付けられたとき、そもそもこんなの考えたくない、考えるのが辛いという人は一定数います。

以前どこかの小学校で教師が子供たちにトロッコ問題を考えさせたところ保護者から学校に苦情が入ったことから、このような問題は誰もが向き合えるものではないと言えます。

しかし、組織のリーダーに求められる重要な役割の一つはこのような「辛い決断」を下すことに他なりません。

もしリーダーがどっちも犠牲にしたくない(どちらかを犠牲にすることで自分が恨まれたくない)を思ってしまうと重要な決断を下せなくなり、組織全体が危機に陥る可能性があります。

そのため、もしトロッコ問題を見て「何でこんな問いを考えないといけないのか?」と嫌悪感を感じたり、トロッコ問題から逃げたいと思ったら無理にリーダーの役割を引き受けないほうがいいかもしれません。

決断を下せない人がリーダーを担ってしまうと組織全体にとっては最悪の結果になってしまいます。

2.トロッコ問題で心を痛めることなく即決できるなら、リーダーをやらないほうがいい

2つ目の視点は1つ目とは真逆になります。

トロッコ問題に対して心が痛む人がいる一方で、何のためらいもなく即決できる人もいます。このような人は言い換えると誰かを犠牲にしても自分の心が痛まない人であるとも言えます。

もちろんリーダーとして難しい決断もズバズバ下せるので、周りからは「有能なリーダー」に見えますが、犠牲になるほうは堪ったものではありません。

いくら決断力があるリーダーでもあまりにも冷酷非情だといずれ人の心は離れてしまい、組織が崩壊する恐れがあります。そのため、リーダーは犠牲になる人の痛みがわかる人物であることが重要です。(犠牲になる人の痛みがわかったうえで、犠牲にする決断を下す)

もしトロッコ問題でどちらかが犠牲になることに対して心が痛まないなら、リーダーよりはナンバー2の参謀のほうが合っているかもしれません。

トロッコ問題はリーダーを育てるのに使える

冒頭で紹介した管理職研修のケーススタディの話に戻りますが、将来経営幹部を目指す人材に対しては「正解のある問い」よりも、トロッコ問題のような「正解がなく、必ずどちらかを犠牲にする必要がある問い」を考えて頂くことが重要です。

組織のリーダーとしてより大きな役割を担ったときに難しい決断から逃げないためにも、普段から「自分ならどうするか?自分の決断の結果を背負う覚悟があるか?」を問い続けることで、自分自身のリーダーとしての軸を確立する必要があるからです。

そういう意味でトロッコ問題は万人向けの問いというよりも、リーダーを目指す人に向けた問いであると言えるかもしれません。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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