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「どうしたら私の給料は上がりますか?」と聞かれたらどう答えるか?

社会人向けの教育では様々なテーマを扱いますが、最も重要だが最も教えにくいテーマが「給料の上げ方」ではないかと思います。
(投資でお金を増やすという話はありますが、ここでの「給料の上げ方」とは今の仕事の月給もしくは時給をどう上げるかを指します)

例えば4月に入社した新人向けの研修でよくあるのが以下のようなテーマです。

  • 社会人としての心得

  • ビジネスマナー

  • コミュニケーション

  • 仕事の進め方

  • 論理的思考

  • 会社の理念

  • キャリア

  • ストレス管理 ...…など

しかし、ド直球で「給料の上げ方」をテーマに研修でやる企業は見たことはありません。(もしかしたらどこかにあるかもしれませんが)

一定の社会人経験があれば上記のようなテーマはすべて給料につながっていることは理解できますが、新人がそれを理解するのは難しいため、人によっては「マナーって面倒臭いなあ・・・」という反応になってしまいます。

日本の会社で「給料」の話題はタブー扱い

日本企業の管理職が海外に赴任して戸惑うことの一つに、「現地の人が露骨に”お金”の話をすること」があります。

国によっては誰がいくら貰っているかはみんな知っており、「アイツに〇〇払っているならオレにもよこせ」と平気で言ってきます。

評価面談の場では「オレは今季これだけやったから、給料を〇〇上げろ」と堂々と要求してきます。

日本にいるときは昇給を見送られた部下に「まあ今季は頑張っているのはわかっているけど、会社も苦しいので察してくれ」なんて曖昧な言い方で通じたのかもしれませんが、海外ではそれこそプロ野球の契約更改のノリで、納得するまで根気強く説明する必要があります。

「仕事は金じゃない」なんて言おうものなら、その場で「じゃ辞めます」と言われかねません。

日本の会社で「給料」の話題があまり出てこないのは、お金の話を下賤なものと思う国民性もあるかもしれませんが、個人的には「給料」の話は難易度が高く、説明も難しいから迂闊に手を出せないことが根底にあるのではないかと考えています。

部下に「どうしたら私の給料は上がりますか?」と聞かれたら

一つの事例として、課長クラスの管理職が若手の部下から上記の質問をされたとします。

人によっては「そんな話はするな、まずは目の前の仕事に集中しろ」と説教するかもしれませんが、今のご時世「ブラック上司」と言われかねませんので個人的には止めたほうがいいと思います。

ではどのように答えるのか、おそらく次のような言葉がよく出てくるかもしれません。

「仕事で成果を上げる」
「役職を上げる」
「高い評価を取る」
「目標を達成しつづける」
「お客様から信頼される」
「周囲の期待に応える」
「質の高いアウトプットを出す」

これはこれで全く間違っていませんが、部下にとっては「まあ頑張れ」と言われているのと大して変わりません。

部下が具体的に理解できるようにするためには、上司は少なくとも以下のことを説明する必要があります。

  • 会社の収益構造、部門の収益構造、課の収益構造

  • 部下の仕事の成果物の直接の顧客(社内顧客含め)と最終的な顧客

  • 部下の仕事が生み出す付加価値

  • 部下の仕事のバリューチェーン

  • 部下の仕事の粗利、部下の仕事に必要な経費

  • 部下の成果物に対する査定基準 …など

すなわち上司自身が経営者レベルの視点、知識を持つことが求められますので、「どうしたら給料が上がるのか?」という問いに答えることはかなり難易度が高いと言えます。

「お金の話」に真正面から向き合ったほうがいい結果が得られる

上司が「給料」の話題を避けてしまうと、部下によってはただ目の前の仕事を頑張ることしかできません。

そうなってしまうと仕事の付加価値も上がらず、結果的に会社の業績も上がらなくなる恐れがあります。

この30年で日本だけ給料が上がらなかったことが問題視されていますが、政策的な要因もあるかもしれませんが、個人的には職場で「お金の話」を避けてきたツケもあると思います。

人を育成しようと思ったら「きれいごと」だけでは人は動きません。仕事や職場に求めることは人それぞれ異なりますが、「給料をもらう」という点では誰もが共通しているため、やはり「お金の話」は避けて通れません。

良い仕事をしてほしいなら、それがどう給料につながるかを明確に示したほうが人も積極的に行動してくれます。

そういう意味では「こうすれば、給料が上がる」ということを末端の社員まで理解している組織が今後強くなると思います。

まずは管理職から「どうすれば部下の給料は上がるのか、どうすれば自分の給料は上がるのか」考えると良いかもしれません。

今回もお読みいただきありがとうございました。

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