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ブラレイコの本棚 秋の夜長に出会った「学び本」3選

今回のブラレイコの本棚は、9月〜11月に読んだ本の中から「幅広い人への学びになりそうな本」を3冊ご紹介します!

人は変われる: [大人のこころ]のターニングポイント – 高橋 和巳 (著)

知人が大量の付箋をつけながら読んでいたのを見て、気になり手に取った一冊。

実際読んでみたら、確かに付箋が多くなりました

従来の発達心理学というのは、20歳ごろまでに大きな部分は完成されるというものが多いが、著者である精神科医の高橋先生は、大人になってからも変われる(精神は発達する)と言う。

面白い説明だなと思ったのは、臨死体験をした人の話。

先生曰く、臨死体験をした人の人生は変化するらしい。
「天国があるという”確信”」が、自らの人生を「再解釈」させるそうだ。その結果、「余生をもっと楽しもう」と考え、 お金や名誉ではなく、他者との交流や自然や動物への思いやり、愛情などが以前より増してゆく。

臨死体験で得た「主観的な”確信”」を持てたことで、 これまでの常識に左右されることなく「新しい人生への解釈」を打ち出すことができるのだ。

これは、不眠がなおる、暴力行為をやめる、アルコール依存を克服する等と同じ変容メカニズムで説明ができるらしい。

つまり、人が変わるときは「主観性」が大事だってこと。まわりの人の助言や科学的根拠ではなくて、「揺るがない”主観的”な、物事への再解釈」が必要なのだ。

この主観性にたどり着くためには、自分自身の深い部分へのアプローチが必要だ。頭(左脳)で考えているだけでは到達しない、感情や感性の奥の部分にある”主観的な価値の部分”に到達したときに初めて「新しい解釈」が生まれる。

理論に加え、精神科医としての豊富な実例を示しながら、人生について深く考察するとともに、人間の持つ計り知れない可能性を教えてくれる。貴重な一冊。


NINE LIES ABOUT WORK 仕事に関する9つの嘘 – マーカス・バッキンガム (著), アシュリー・グッドール (著)

著者のマーカス・バッキンガム氏は、人の強みを解き放ちパフォーマンスを発揮することをテーマに研究している研究者。もともとギャラップ社でストレングスファインダーの開発をしており、代表作には『さあ、才能に目覚めよう』がある。

興味のある分野なので、彼の書籍や論文はウォッチするようにしている。本当は、昨年発売された『Love+Work』を読みたかったのだが、日本語訳がまだなくて・・・。

一旦英語は諦めて(諦めるな)、2020年に日本で販売された『NINE LIES ABOUT WORK 仕事に関する9つの嘘』を手に取った。

9つの嘘を暴くという見せ方は、個人的にはあまり好きな手法ではないのだが、ピックアップされている項目はどれも納得感はある内容。
個人的に着目したいのは、やはり「仕事と愛」の関係の部分。

世の中に蔓延る「仕事が悪」で「私生活が善」と言う謎のコンセンサスへのアンチテーゼから始まる。彼の研究結果が示すのは、ワークライフバランスを目指しても幸せにならないという事実

では、どうしたら幸福感を得られるのか。

その答えが「Love」だ。
今の自分の仕事の中に「Love」を見つけること。これは、今の自分の仕事に潜む、大好きな瞬間、最高な瞬間、アガる瞬間を認知すると言い換えられるかもしれない。

そういった仕事が、20%以上あることで燃え尽き症候群になるリスクが著しく下がる。20%の愛があれば、それ以外の苦行も耐えることができると言うのだ。

この研究はとても興味深く、継続して探求したいテーマの一つ。先日のハーバードビジネスレビューに掲載された記事も面白かった。

LOVEに関する論文や記事は、まだあまり日本語訳がされていないので、もし気になる方は英語版を読むか、こちらの『NINE LIES ABOUT WORK 仕事に関する9つの嘘』を読んでみてください。


センスフル・ワーク~やりたいことと経済的自由を両立する生き方~ 言海祥太 (著)

「やりたいことを仕事にしたい」「自分らしい生き方をしたい」
誰もが心の奥底には、こんな気持ちがあるのではないでしょうか。

こちらの本は、自分自身のセンスを多方面から刺激して、持てる価値を世の中に全部出して生きていく「センスフルな生き方」を目指すための一冊。
いまの時代、多くの方に刺さるメッセージだと思われる。

著者の言海さんの紡ぐ言葉は、とてもリズムが良く、驚くほどに読みやすい。加えて、経営者として苦労されたご経験や事例も豊富なのでリアルさがある
本の前半では「自分軸」や「あり方」についてのアドバイス、後半には「行動への後押し」や「Tips」が書かれている。フリーランスで活動するわたしにとっては、勇気をもらえる内容ばかり。

「言葉」にまつわるTipsは、かなり実践的。例えば、ビジネスに使えるサービス名や肩書の言語化方法、言いたいことをタイトルに落とし込む方法など。出版プロデュースをされている著者 言海さん”ならでは”の思考法は勉強になる。

ページをめくると「見開きにつき1メッセージ」となっている。つまり、見開き=読み切り。本を読むのが苦手な方にも優しい構成。
パラパラ〜と眺めつつ、気になるページから読み始めてもいいかもしれない。

書籍の中身はもちろんだけど、
個人的には、本の構成・タイトル・言葉の表現のチョイスなど、細部に至るまでのブックデザイン全体の完成度が高いところにも注目。
読者にいかに届けるか、を徹底して考えられているのだろうなあ。さすがは、出版プロデューサー。本の中でTipsとして紹介していることを、ご自身の本全体で実践されている。

そういう意味でもこの本は特殊。

これから本を出そうと思っている方・言葉の表現に興味のある方・文章での発信を日頃行っている方などの参考にもなる一冊!

以上、ブラレイコの本棚でした〜。

= お わ り =

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