【夕の怪】妹が、父親ほど年の離れた中年男性と……
ぼくは背伸びをしながら、五センチほど開かれた窓の隙間から覗き込んだ。
六畳一間の狭い部屋だった。部屋の奥には煙草のヤニで黄ばんだ白のカーテンがかけられていた。
蛍光灯はついていない。だが、窓から差し込む夕日の光がカーテンを通して、室内を茜色に染めていた。
カタカタカタ、といまにも壊れそうな音を立て、扇風機が首を振っていた。
えんじ色のジャージと、男もののTシャツや短パンが畳のうえに転がっていた。
部屋の真ん中には布団が敷かれ、茜色の斜光がかかっていた。
そこで、美桜と黒崎さんが素っ裸で抱き合っていた。
正常位だった。美桜が下になって、黒崎さんは腕立てふせのような体勢で覆いかぶさっていた。二人の下半身はぴったりと密着していて、黒崎さんが芋虫のように腰を動かしていた。
美桜はしっかりと開脚していた。陸上部で鍛えられているせいか、うっすらと筋肉のついた少年のような脚だった。
兄妹で一緒に入浴していたのは、美桜が小学校の低学年までだ。
平べったい印象しかなかった胸がネーブルオレンジほどの大きさまで発育していた。
黒崎さんが前後に動くたび、妹の双乳も震えるように揺れていた。
美桜の表情も見えた。薄い唇を半開きにして、うっとりとした表情で双眸も閉じていた。中二の妹とは思えないほど、官能的な表情だった。
「ハア、ああンッ! 気持ちいい……アァ、もっと、ぐりぐりして……」
夢見るように目を閉じたまま、美桜がわがままな口調でせがむ。そこだけは、子どものころから父親に甘えるのが上手だった、美桜の面影があった。
『僕たちの五号機』より
朗読版もあります。
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著者プロフィール
柚木怜(ゆずき・れい)
京都出身、東京在住。1976年生まれ。
23歳の頃よりフリーライターとして、週刊誌を中心に記事を執筆。30歳の時、週刊大衆にて、初の官能小説『白衣の濡れ天使』を連載開始(のちに文庫化されて『惑わせ天使』と改題)。
おもに、昭和末期を舞台にしたノスタルジックで、年上女性の母性溢れる官能小説を手がける。
また、YouTubeチャンネル「ちづ姉さんのアトリエ」にて、作品を朗読配信中。
著書
『惑わせ天使』(双葉社)
『おまつり』(一篇「恋人つなぎ」 双葉社)
『ぬくもり』(一篇「リフレイン」 双葉社)
『初体験』(一篇「制服のシンデレラ」葉山れい名義 双葉社)
『明君のお母さんと僕』(匠芸社)
『お向かいさんは僕の先生』(匠芸社)
『キウイ基地ーポルノ女優と過ごした夏』(匠芸社)
『邪淫の蛇 女教師・白木麗奈の失踪事件 堕天調教編』(匠芸社)
『邪淫の蛇 夢幻快楽編』(匠芸社)
『姉枕』(匠芸社)
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