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官能作家・柚木怜 2023年の書籍 まとめ

 今年はnoteで知り合った方に、作品の紹介をしていただいたり、コメントをもらったり、なんだかんだとnoteでも楽しい一年でした。
 エロいことしか書いていない僕のnoteですが、少しでも作品を読んでくださった方、本当にありがとうございます。

 2023年は、匠芸社・シトラス文庫から三冊の本を出版してもらいました。宣伝としてnoteに挙げることは多かったのですが、出版に至った経緯などは振り返ることもなかったので、ちょっとここで書かせてもらいます。

6月23日発売

「キウイ基地ーポルノ女優と過ごした夏」

表紙デザイン 彼女、

 前年の暮れに出した『お向かいさんは僕の先生』(2022年12月30日発売・匠芸社シトラス文庫)が思ったよりも売れ行きが良くて、「柚木らしい郷愁ものを、もう一本!」という話になったので、さてどうしようかと悩んだ末、選んだのが『キウイ基地ーポルノ女優と過ごした夏』でした。

 これは、高校受験に失敗した16歳の田舎青年が悶々とした日々を送るなか、「こんにゃくオナニー」を試そうと、農協のスーパーへ。そこでレジのお姉さんこと〝利香子さん〟と出会います。
 根暗な青年とは対照的に、アッケラカンとした性格の利香子さん。
 やがて彼女が成人向け映画に出演していた元ポルノ女優だったことを知り、そのことに葛藤しながらも、青年が成長していく物語となっております。これが本編の概要となります。
 
 しかし、もともとは2021年から書き始めた作品で、そのときは、青年の設定こそ同じでしたが、ヒロインの利香子さんは成人向け映画ではなく、AV女優でした。そのことを青年は知らないまま彼女を好きになるのですが、あるとき仲良くなった友達の家でAVを見せてもらったとき、彼女の衝撃の過去を知る、という流れでした。

 これでは「ポルノ女優」というより「AV女優」のほうがしっくりきます。なので、最初僕は版元の匠芸社には『キウイ基地ーAV女優と過ごした夏』というタイトルを提案しました。AV女優のほうが現代の読者にもしっくりきそうだし、好きになった年上の女性が「実はAV女優だった」という展開のほうがエロチックに思えたからです。しかし、これは却下。
「いや、ポルノ女優という響きがいい。昭和感がある」
 という意見も出たことで、だったら、ポルノ女優っぽく成人向け映画に出演している女性に書き直そうとなったのです。
 さらに、もっと早い段階から青年が彼女はポルノ女優であることを知っていることにしました。知らないままでは、普通に年上のお姉さんとセックスをしているだけの話になってしまっていたからです。
 逆に「ポルノ女優と知ったうえで……それでも好き」としたほうが、セックス描写にも厚みが出る、と思ったからです。

 一応、リライトではありましたが、第一章以外はほとんど書き直しで、2月頃から執筆を始めたものの、完成したのが5月末。
 文字数も23万字を超える長編となりました。正直、もう少しテンポよく、コンパクトにまとめるべきだったかなとは思うものの、昭和感や郷愁感を目一杯詰め込んだので、じっくり読んでもらえると嬉しいなというのが、書き手としての願望です。
 ちなみに自分的に一番気に入っているのは、ラストの「エピローグ」です。
 だいぶ甘い話なんですけどね笑

 

10月13日発売

「邪淫の蛇ー女教師・白木麗奈の失踪事件 堕天調教編」


表紙デザイン 彼女、

「キウイ基地ーポルノ女優と過ごした夏」から約4ヶ月後に発売された作品となります。
 これまでの郷愁ものとは一転して、ハードな凌辱ものとなります。一気に作風を変えた感じもありますが、実は逆で……『邪淫の蛇ー女教師・白木麗奈の失踪事件』はかなり初期の頃に書いていたものとなります。
 僕の作品に「明君のお母さんと僕」(2022年1月7日発売・匠芸社シトラス文庫)というものがあるのですが、もともとはその作品の主人公(14歳の中学生)が通っていた学校の女教師の話だったんです。いわば「明君のお母さんと僕」のサイドストーリー的な立ち位置でした。

 とにかく品行方正でお堅い女教師・白木麗奈がレズビアンの恋人とともに秘湯へ。しかし、その道中に白い蛇と性交をする女学生を目撃して、どんどん不可思議な世界に紛れ込んでしまう。深い森の中の学校に辿り着いたあとは、これまでの自分の考え方をねじ曲げられるほどの凌辱の限りを尽くされる……という内容でした。
 ホラー的な要素とえげつない性描写は、僕の好きな展開でもあるので、けっこう性癖全開で書いていたのですが、なかなかうまくまとまらず、完成させては「なんか違う」の繰り返しで、書籍版に至るまで4度のリライトをしています。
 最終的には「明君のお母さんと僕」からは完全に切り離して、ヒロインの白木麗奈も高校の先生に。物語の話自体も、当初とはまったく違うものになりました。

 ひとつ裏話をすると、この「邪淫の蛇」というのは、僕が20代の頃に実際聞いた話でもあります。
 僕の本職はフリーライターで、23歳の頃から週刊誌でレギュラー記者をしています。基本的にはエロ記事を中心に書いているのですが、週によっては「芸能もの」や「健康もの」「スポーツもの」も書きます。そして、夏になると恒例企画で、「オカルトもの」をやるときもあります。
 あるとき、『美人霊能者 VS 悪霊』という企画を担当することになりました。確か4~5人の女性霊能者に〝悪霊との戦い〟を取材しました。いろんな壮絶な戦いがあったのですが笑
 そんななか、〝○○の母〟と呼ばれる妖艶な熟女霊能者を取材したときです。ついエロいことを聞きたくなって、色情霊の話を振ってみると、飛び出したのが「邪淫の蛇」なるワードでした。
 このときの話があまりに衝撃的で、「邪淫の蛇」という言葉の響きも魅力的に感じたんですよね。
 もう20年以上前の話ですが、官能小説のタイトルを考えていたとき、ふいに思い出して使わせてもらいました。
 ちなみに、この霊能者から聞いた本当にあった「邪淫の蛇」の話は、次に紹介する続編『邪淫の蛇 夢幻快楽編」のエピローグで紹介しています。


12月23日発売

邪淫の蛇 夢幻快楽編

表紙デザイン 彼女、

 10月に発売された『邪淫の蛇ー女教師・白木麗奈の失踪事件 堕天調教編』(以下「堕天調教編」)の続編となります。
 はっきりいって、僕のような無名の官能作家が、ひとつの物語を前後編に分けて発売するのは、得策とはいえません。
 前編を買っていない人でなければ興味を持ってくれないので、売れ行きも落ちるだろうな、と(現在まだ発売から一週間ほどなので、どれぐらい売れているかわからないのですが)。
 できるだけ前編を読んでいなくても楽しめる内容にしたつもりですが、できれば一冊にまとめたかったのが、本音です。

 前後編に分けた理由は言うまでもなく、締切りに間に合わなかったからです。当初、版元からは9月末には完全入稿で、10月には出版と言われていました。僕自身、「邪淫の蛇」はほぼ完成していたつもりだったので、軽くリライトすればすぐに入稿できるから楽勝と思っていたのですが……。
 リライトをし始めたのが、7月頃。しかし、またしてもあれやこれやと直したい部分が出てきて、8月末の時点でこれはヤバいぞ……と判断。
「いまやっと半分ぐらい出来た」と正直に話したところ、
「じゃ、仕方ない。前後編に分けるか」という話になったのです。

 売れ行きはともかく、書き手としてはこれで一気に気持ちの余裕が出ました。そもそも邪淫の蛇は全体の文字数が20万を超える長編。さらに謎解き要素もある官能小説だったので、一冊にまとめるには詰め込みすぎの感がありました。
 だったら、前編は女教師が失踪にいたるまでの経緯や、不可思議な世界に迷い込んでしまうところを幻想的に。
 後編は過激な凌辱シーンを中心に、謎を解き明かしていく完結編にしようと考えました。

 最後にこの作品で思い出深いことといえば、「一升瓶精液」です。
 浮浪者のような謎の老人が一升瓶に30年分の精液を溜め込んでいて、それを女教師・白木麗奈のアソコに注ぎ込むという、目も覆いたくなるような場面です。
 これを思いついた時、ちょっとやりすぎかな、と我ながら思いました。
 ちなみに僕は書籍用の原稿を提出するとき、編集者よりも先に、まずは誰かに読んでもらうことにしています。
 この作業はとても大事です。編集とは関係の無い、いわゆる一般の読者に「わかりにくかった部分」や「違和感のあった部分」を教えてもらうことで、独りよがりになりがちな部分が見えてくるのです。
 だから、できるだけ厳しい目で見てもらうようにしています。
 YouTubeを一緒にやっている〝ちづ姉さん〟も毎回読んでくれています。彼女には原稿を見せる前にも「一升瓶精液」の話をしていました。
「そ、それは……ちょっと気持ち悪すぎるかも」
 さすがにドン引きされたのですが、「とりあえず書いてみてよ。読んでみるから」と言われたので、気合いを入れてがっつり書きました。
 そして完成した原稿を紙に印刷して、彼女に渡しました。
 後日、彼女から「ここがわかりにくい」「前の表現のほうが良かった」「この台詞は白木麗奈っぽくない」といった厳しい〝赤〟チェックが入るなか、いよいよ一升瓶精液のシーンへ。

 すると、そこには


 大きく「花丸」がついていたのです笑


 皆さん、良いお年を~。


2023年に出版された柚木怜の官能小説

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