π(1998) / ダーレン・アロノフスキー監督
デジタルリマスター版をホワイトシネクイントで鑑賞。
πとはもちろん3.14159273...でお馴染みの円周率πのこと。
主人公は天才数学者。
この世界は数学的に表せる、という仮説の元で日々に立ち向かう。
そしてそれゆえに全ては何かしらの法則があるとして、自作のシステムに囲まれながら株の変動を導き出そうとするが…。
数字に取り憑かれた男の狂気を描いているのだけど、その行きすぎた感じが良い。
妄想に塗れ、自分を壊してしまうほどの。
でも正直、これはπなのか?とも思ったりする。
というのも、数字で万物が表せると仮定はしつつも、円周率という存在はいつまで経っても割り切れない永遠の不思議であるのだが、今作はそこに立ち向かうわけではなく、"バグ"として現れた216桁の数字がキーになってくるからである。
けれどこの作品の魅力というのは、観てるこっちも頭が痛くなりそうな数字への偏愛と切迫感、そして妄想と狂気であるし、映像的音楽的なかっこよさ、でもある。
つまり、細かいことよりも、まず感じてみよ、とも思う。
何よりその主人公の持つ異常なまでの神経質がまた愛おしく、こういう偏執はわたし個人的な好みであるから、何かしら痒いところに手が届かないとしても、この類の作品は好きになってしまう傾向にある。
数字、言葉、暗号、意識、それから神。
囲碁盤が宇宙、そういう話も嬉しい。
もちろん全部はわからないけど、そこもまた良くて。
あとすこし手が届かなくて、わかんねー!ってなるくらいの難解さが心地が良いなと思うこの頃。
なによりアロノフスキー監督のデビュー作とだけあって、やはり勢いのある作品だと思う。
そしてその勢いのままに、観客も巻き込まれて仕舞えばいいと思った。
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