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小さな命が教えてくれた大切なこと

2004年春。

わが家に一匹の小さなヨークシャーテリアの男の子がやってきた。
姉が両親に頼んで飼い始めた子犬。

名前は姉が「ハル」と名付けた。

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△まだ1歳にならないくらいのハルと、当時12〜3歳の私

ハルはすくすくと大きく育ち、ヨークシャーテリアの標準体重の3キロを優に超え、ヨーキーならぬ5キロオーバーのオーキー(大きい)となった。

ハルはマイペースで、遊ぶことよりも家族の足元で寝ることが大好きだった。

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ソファーの背もたれの上に乗って、外の景色を見るのも好きだった。

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中学・高校・大学と実家から離れて暮らしていた私は、元気いっぱいなハルと過ごす時間はあまり多くはなかった。

2015年に大学を中退して実家に戻ってから、やっとハルとゆっくり過ごせるようになった。

一緒に散歩に行って、よく一緒にお昼寝もした。

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この頃ハルは10歳を迎えていて、以前より元気がなくなっていた。

そして、2016年4月のとある日。

両親と3人で夜ご飯を食べていたとき、ハルが突然痙攣し始めた。痙攣が治まってもぐるぐると回り続け、どう見ても普通の状態じゃなかった。

その後再度痙攣を起こした。すぐに病院に連れて行きたかったけど、田舎には夜間でも診てくれる動物病院はなく、翌日病院に連れて行った。

診断の結果は、副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)で、腫瘍があるだろうと言われた。

手術の選択肢もあると言われたが、手術のできる病院は近くにはなく、自宅から車で片道3〜4時間かかる距離。腫瘍のあるハルの身体で長時間の車移動はキツいだろうと考え、手術はしないことにした。

副腎皮質機能亢進症の主な症状は以下の通り。

・ 多飲多尿(飲水量が増え、尿量が増す状態)
・ 食欲が異常に増加し、肥満になる
・ 腹部膨満(お腹が膨らむ)
・ 皮膚の非薄化(皮膚の厚さが薄くなる)
・ 痒みを伴わない左右対称性の脱毛
・ 皮膚の色素沈着(皮膚は色素が沈着して黒く変化します)
・ 筋力の低下(動きが鈍くなる)
・ 嗜眠(しみん:睡眠を続け、強い刺激を与えなければ目覚めて反応しない状態)
 --- 引用:みんなのどうぶつ病気大百科

ハルも日に日に症状が増えていった。
お腹が膨れあがり、あんなにツヤツヤだったきれいな毛は抜けていき、一日中ほとんど動かなくなった。特にひどかったのが多飲多尿。

水を飲んではおしっこをし、数分経つとまた水を飲む。とにかく多飲多尿の対処が大変だった。

だけどどんなに大変でも、ハルがいてくれればそれでよかった。

私たち家族の何よりの癒やしだった。

ハルの余命がそんなに長くないことが分かってから、私はペットロスに怯えていた。わが家に迎えたときからずっと一緒にいられたわけではなかったけど、それでも私の中ではすごく大きな存在だった。

そんな折、ペットを亡くした知り合いから、「ペットロスになってから新しい子を迎える気持ちにはなかなかなれないから、飼うなら今の子がいるうちに飼い始めたほうがいい」と勧められた。

ハルの介護は最後まで私がする。
責任を持ってちゃんと看取る。

その気持ちは胸にしっかり持ち、2匹目のわんちゃんを探し始めた。

保護犬も探したけれど、なかなか希望の犬種や近くで引き取れる子がおらず、母と憧れていたジャックラッセルテリアのブリーダーさんのところに子犬を見に行ってみた。

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めちゃくちゃ可愛かった。が、抱いてみると抜け毛がひどく洋服が毛だらけになった。うちの父はアトピー持ちでアレルギーも酷いので、毛が抜ける犬種はNGだった。ジャックラッセルテリア、断念。

その帰り、なんの期待もせずイオンペットを覗いてみた。

そこに運命の出会いがあった。

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ミニチュアシュナウザーの男の子がいたのだ。

正直希望の犬種ではなかった。というより、当時ミニシュナをあまり知らなかったから選択肢に入っていなかっただけなのだが。

でも一目見てこの子に惹かれ、抱っこしたときの可愛さに私も母も完全に心奪われた。

ただ、問題は父。許してくれるかどうか。
電話で状況を話すと、「俺は絶対に面倒は見ない。自分たちで責任持って飼うならいい。」と言われたので、即決してその日に連れて帰った。
(帰ったら、「本当に買ってきたのか!?」と父に怒られました 笑)

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△わが家初日のシエル(2016.5.22)

名前は帰りの車の中で「シエル」と名付けた。私が空が好きだから、フランス語で空=シエル。(決してラルクアンシエルファンではありません 笑)

シエルは本当に人懐っこくて、小さい頃からよく遊ぶ元気な子だった。甘えん坊で、すっごくビビりで音にとても敏感。自分のおならにびっくりするほど😂

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シエルの予防接種が終わってからは、ハルとシエルご対面。

やんちゃ盛りなシエルはハルお兄ちゃんが気になって、構ってもらおうと必死。

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△小さい頃からシュナ足炸裂なシエル

シエルがどんどん大きくなっていくのとは対象的に、ハルは日に日に弱っていった。

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そしてとうとうその日は来てしまった。

2016年11月26日。

その日は急な用事で母と外出していて、ハルを伯母と祖母に見てもらっていた。

帰宅すると、伯母から「ハル、昼間に下血した」と言われ、衝撃だった。いよいよなんだろうな…と、覚悟を決めなければと思った。

夜にかけて、ハルはどんどんぐったりしていった。
私はとにかくずっとそばにいた。寄り添うしかできなかった。

日付が変わる頃、両親にそろそろお風呂入っておいでと促され、ハルのそばを離れるのを躊躇ったが、仕方なくハルの元を離れた。

戻ってきたときには、ハルは亡くなっていた。

私は泣いた。とにかく泣いた。
後悔した。ハルの最期を看取ってあげられなかったことに。
一人で寂しく死んでいったのかと思うと、涙が止まるはずもなかった。

犬は飼い主には死に際を見せないというけど、それでも最期まで一緒にいてあげたかった。

ハルの亡骸は少しずつ冷たくなっていき、さっきまで生きていたことを思い知らされた。

その日はもう遅かったので、ハルをタオルを敷いたダンボールに入れ、次の日ペット葬儀場に連れていくことにした。

それからの私は全く寝付けなかった。

翌日家族で葬儀場に行き、火葬してもらった。正直その日のことはあまり覚えていない。悲しさでいっぱいで憔悴していたんだと思う。

骨を持ち帰り、庭にハルのお墓を立てた。
今でも前を通るときはハルに声を掛けている。

ハル、元気にしてる?
わが家に来てくれて、たくさんの笑顔をありがとう。
もう少し、虹の橋のたもとで待っててね。

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そして、そんなハルがいなくなった穴を埋めてくれたのは、他でもないシエル。

ハルにしてあげられなかったことを、シエルにはしてあげたい。

お散歩やドッグランで他のわんちゃんと遊んだり、一緒に旅行にも行きたい。

そんな想いから、できるだけたくさんのことを経験させてあげるようにしている。

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△スタジオで撮影(@CITY DOG

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△リフトで高台へ。初めて見る景色。

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△初めてのお泊り!初めてのグランピング!

本当はシエルの写真はまだまだたくさんあって、日常の他愛もない写真からお出かけのときの写真まで、とにかく日々たくさん撮るようにしている。

一緒にいられるこの瞬間は、今しかないから。

わんちゃんやねこちゃんの寿命は人間と比べるとすごく短い。

その短い命をどれだけ幸せにしてあげられるか。
いなくなるその時、どれだけ後悔せずにいられるか。

ハルの死は、彼らの小さな命の尊さを身を持って教えてくれた。

だから、私はこれからも全力でシエルを可愛がり続ける。

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