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誰でも簡単!患者様のゴール設定!

今日のテーマは、「ゴール設定」です。
これから患者様を持つ方、既に持っている方向けの記事となります。

どれだけ優れた治療技術を持っていてもゴールが定まってなければ無駄になることになります。全体像を把握するのはとても大事ですので参考にしてみてください。

病前ADLを把握しよう!


まず、第一に病前のADLを確認しましょう。
当たり前ですが、病前から車椅子中心の生活だった方に歩くゴール設定をすることは的外れです。
基本的にはリハビリは病前ADLにいかに近づけるかどうかという点に尽きるかと思います。
病前から杖歩行であればゴールも杖歩行かそれ以外の歩行補助具で考えていくのが妥当です。
また、その動作が自立だったのか、それとも家族様やヘルパーにより介助であったのか把握しましょう。

患者様の認識を確認しよう!

続いて、患者様の認識を確認しましょう。
今回の入院に対して、どう思っているかざっくりで良いです。
どうしても入院直後は患者様は混乱しがちです。何で入院してきたかによりますが、軽く考えている方も重く考えすぎて精神的に参っている方もいます。
「さっさと治して家に帰るんだ!」「仕事がとても出来る状況じゃない、どうしよう。」「どうにかなるだろ。」などなど、患者様それぞれ気持ちがあります。
これが、自分達が考えるゴールと一致しているのか、かけ離れているのか確認しておく必要があります。

実際に私の受け持った症例のお話をあげます。

一人目は、事故で下肢の骨折をされた方でした。病前の仕事は、比較的体を使う仕事で下肢の力が必要不可欠な方でした。この方は、早い段階から今後を見据えて「こんだけ折れちゃったら仕事無理かな?どう思う?」と相談がありました。
その為、「仕事にどの程度の能力が求められるか」「配置変換は無理か」「復帰はどの程度を目安に考えているか」、「私達のリハビリのゴールはこの辺りで考えている」など、具体的な話が進みスムーズに退院し職場復帰されました。
この方は、リハビリと本人様の認識が一致していた一例です。

二人目は、脳血管系の疾患で運動麻痺はほとんどない方でした。しかし、高次脳機能障害で注意障害や遂行機能障害がありお金の計算や予定を立ててスケジュール通りの動くのはとても困難な方でした。
介入当初は、症状の自覚なく「どうにかなるだろ、早く家に帰してくれよ。」「ほら、体動くしさ。」「細かいことなんてやりたくねーよ。」とかなり楽観的でかつリハビリに対して消極的でした。
しかし、STが介入していく内に自身の症状や以前と違うことに少しずつ気づき始め今度は、「このまま生きていけんのかな。」「外が怖い。」「頑張るから手伝ってくれ。」といった発言が出てきました。
この方は最終的には、徐々に障害を受容し得意なこと・苦手なことを認識し、ヘルプマークとメモを上手く使用しながら社会復帰をされました。
この方は、逆にリハビリと本人様の認識が当初はずれていた方です。

患者様の気持ちは基本的に不安定です。好きで入院してくる方なんていません。
私達が、過度に不安を煽るのはダメですが、予後予測をし今後困難が予測されることを一緒に共有する必要があります。その為にも本人や家族様がどのように認識しているか知っておきましょう。

家族や住居を確認しよう!


続いて、協力してくれる家族や家屋を確認しましょう。
介助が必要になったら家族様が協力出来るのか、家に階段はあるのか、ベッドなの?布団なの?と気になる点はいくつも出てきます。
極端な例だと
本人様と仲が悪く「私達はよく知らないので、好きなようにやってください。」と言われたことや「なんでもやります。家もリフォームします。」といった方までいました。
こうなってくると選択肢が大きく変わってきます。
家族が何もしてくれなければ、どうにか自立にもっていくか、ヘルパーなどのサービスや施設入所を考えなければいけません。
逆になんでもしますといってくれれば家屋調査や家屋回収に移り、リハ内容に家族様への介助指導が必要にもなってきます。
どちらも他職種との連携や調整が必要になりますし時間がかかる為早ければ早いほど良いです。
コロナ禍で家族様の情報が取りにくい状況ではありますが、カルテやMSWから情報を集めましょう。

結局これはなんなの?

上記でゴール設定に必要なことを述べてきましたが、結局これは「ICF」です。

学生の頃は、「ICFなんて何に使うんだよ。」って本当に思ってました。
(教えていただいた先生方ごめんなさい。)
心身機能・身体構造、活動は評価や実習で体験しているので比較的考えやすいかと思います。

しかし、生活は人それぞれ違いますので、その人が過ごしてきた人生や社会での役割、性格や家族様の状況など「参加」「環境因子」「個人因子」といった点が患者様のゴールを見据える中で重要な項目となってきます。

的確な評価、治療が最も大事ではありますが、正しいゴールへ導くことがその人の今後の人生を豊かにします。私達の提案が患者様の残りの人生を左右することもあります。
しっかりと患者様の疾患だけに捉われずその人自身の人となりを見てあげてください。
参考になりましたら幸いです。

ご購読ありがとうございました。

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