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驚くほど長続きするリハビリ効果術

こんにちは!理学療法士の「あらい」です。今回は同じセラピストに向けた内容です。患者さん、利用者さんのリハビリで”効果が続かない””すぐ戻っちゃう””狙った反応がだせない”…よくある悩みだと思います。そんな悩みに対しテーピングを用いて運動を”無意識に”操作する技術理論をお伝えします!

テーピングの基本的な知識はこちらから↓↓↓

https://note.com/reha_studio/n/nd10a819f70dc

運動を操作するテーピング

 伸縮力をもつキネシオテープは、皮膚を持ち上げその部分の循環を改善させたり、皮膚を介して運動を誘導することが可能です。スポーツ障害や脳梗塞後遺症片麻痺などリハビリ場面では度々、特定の筋肉の”アンバランス”さに直面します。本来主動作筋と拮抗筋はバランスよく活用されることで最大のパフォーマンスを発揮しますが、運動の癖や脳卒中によるダメージで、主動作筋が過剰+拮抗筋が減弱の様な状態がみられます。キネシオテーピングを用いればこのアンバランスに対し、主動作筋の活動を抑制しつつ+拮抗筋を促通することができます。さらに2~3日テープを張っておけば、日常生活の何気ない動作の中で修正が繰り返され、無意識下でアンバランスさを改善できるのです。


運動を操作するテーピング理論

 何の変哲もなく見える皮膚、実はその皮膚にも動きやすい方向、伸びやすい部分があります。普段使われやすい筋肉が収縮する方向にその表面を覆う皮膚もまた動きやすく、逆に活用が弱い筋肉は伸張方向に皮膚が動きやすい状態があります。実際にスポーツ障害を例に見てみましょう。


 オスグットシュラッター病:10~16歳、成長期の膝に好発しやすく、脛骨粗面の変形を伴う場合もある。主な原因としては膝伸展筋力(大腿四頭筋とくに大腿直筋)の過剰使用およびハムストリングスの減弱である。これに対し大腿四頭筋を抑制、ハムストリングスを促通するようなテーピングを処方する。

テープは筋肉の起始→停止の順で貼ると抑制

停止→起始の順で貼ると促進される特徴を持つ。

皮膚運動学1

 大腿四頭筋抑制(大腿中腹部→膝蓋腱)、ハムストリングス促進(脛骨両側面→座骨周囲)に処方。この状態でハムストリングスの活用を促すスクワットを数回行うだけで、ハムストリングスは主動作筋としての活用を入力され、大腿四頭筋は拮抗筋としての活用を促される。この時行われた運動感覚は脳に蓄積され、その後の運動パターンに変化を与えるというのが運動を操作するテーピング理論である。
 運動の癖や脳卒中後の異常運動パターンは、ほぼ無意識下で起こる運動の連続であるため、意識下で不使用筋を活用しようと思ってもなかなか難しいものです。実際にはテーピング+運動(減弱している主動作筋の活用)により感覚入力と運動学習を行えば、日常の中でも活用の可能性が生まれるといった具合です。

皮膚運動学2


 この理論は様々な場面において応用できます。なぜなら体の不調をきたしている部分は少なからずアンバランスが生じているケースが多く、そのアンバランスが強くなればなるほど症状として顕在化してきます。アンバランスは単独の筋肉に生じていると考えるより、同じ作用を持つ筋群を1つの単位として、その中でも表面積の大きい筋肉かつ2関節筋の影響力が最も大きいという特徴があります。先のオスグットの例から見ても、大腿四頭筋の中の2関節筋である大腿直筋にアプローチしています。


 今度は皮膚主体のアプローチで見てみましょう。脳卒中片麻痺を例に挙げます。下肢は股関節屈曲・外転・外旋、足関節内反・底屈(ウェルニッケ・マン肢位)を呈す。麻痺の程度にもよりますがバランス不良、努力性動作に伴い緊張が強まる傾向にあり、麻痺の場合も緊張が度々問題になる。長期化すれば関節拘縮に、かといって上記の主動作筋を弛緩させようと思っても、意識的弛緩は不可能である。キネシオテープで皮膚誘導する方向は、

足関節内反→外反、底屈→背屈にそれぞれ皮膚を誘導する。

 外反は小趾側から拇趾側に皮膚を寄せるようにテーピング、背屈は足趾→足首に向けて皮膚を寄せて貼る。それぞれ外反・背屈を入れながら貼ることが重要である。このテーピングにより母指球に荷重が可能になることで、メカノレセプターが活性化され前庭系システムによりマン肢位から脱却できる可能性が生まれるといった具合です。


 今回はガッツリ専門向けの内容になってしましました。整形疾患、脳血管疾患のアプローチとリハビリ効果の継続に頭を悩ませている方はぜひ試してみてください。皮膚は外界と接している分影響を受けやすい器官とも言えます。そのためこちらのアプローチ次第では無限な可能性を秘めていると考えています。

動画でも張り方と理論を解説していますのでよかったらみてみてください↓↓↓

https://youtu.be/HX-XY6tWPp0

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