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『両足の間』を考える

療法士のみなさん、『両足の間』を考えたことはありますか?

立位や歩行において、支持基底面と重心の位置関係はとても重要です。

この支持基底面、両足で構成されるのは周知の事実ですが、両足で挟まれた部分、つまり両足の間が支持基底面になっていますよね。

誰もが無意識に作り出し、利用している『両足の間』について、考えてみたいと思います。


脳卒中片麻痺者の支持基底面

通常、両足底が床に接地しているのであれば、支持基底面は両足底の接地面とその間です。

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脳卒中片麻痺を呈した方は、重心が片側に寄りがちです。

例えば、左側に麻痺のある方は、右側の足に重心を寄せて、右寄りの姿勢で立っている(歩く)ことが多いですね。

身体(重心)を左側へ寄せようと思って頑張ってみても、なかなか難しいことも多いと思います。

この場合、使えている支持基底面(有効支持基底面)が右側に偏ってしまっている状態と考えることができます。

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有効支持基底面を広げる

このように、脳卒中片麻痺を呈した場合、重心移動は非麻痺側下肢の足底を中心とした狭い支持基底面の上でしか行えない状態になります。

こんな方に出会ったとき、みなさんはどのような声かけや練習を行うでしょうか。

「左足に体重をかけましょう」

「体をもう少し左側に持っていきましょう」

こんな声かけをするのでしょうか。

また、患者さん・利用者さん本人はどういう風に努力して、どんなことを考えながら、左足に重心をかけようとするのでしょうか。

「どうやったら左足に重心が載るんだろう…」

「左足に体重載せるの怖い…」

「左足の載せてるつもりだけど、載ってるのかどうかわからないな」

もしもこんなことを考えながら練習していたとしたら、私たち療法士はどのような誘導や練習の提案ができるのでしょうか。


『両足の間』という提案

上で示した図のように、支持基底面というのは両足とその間で構成されます。

右足に載った(寄った)重心を左足に載せていこうとした際、かならず『両足の間』を通過することになります。

では、『両足の間』を知らないのに左足へ重心を移動することはできるのでしょうか。

患者さん・利用者さんは『両足の間』を知っているのでしょうか。

いきなり「左足に体を載せてください」とこちらが伝えても、どのようにして良いのかわからない、そもそも載っているのかどうかわからない、という方は多いように思います。

そんなとき、いきなり「左足に載せて」と言うのではなく、「両足の間のどの辺りに体が載っていますか?」と聞くことから始めてみてはどうでしょうか。

反応は様々だと思います。

「あぁ、右に寄っているね」と気付く方もいれば、

「全然わからない」と答える方もいると思います。

右寄りであることに気付けた方には、「両足の間で体を左右に揺らせますか?」という声かけや練習の提案、「両足の間で少しずつ左に寄せていきましょう」という声かけが可能になります。

両足の間が全くわからない、もしくは両足の間はわかるけど体との位置関係がわからない、という方であれば、そこをわかっていくための練習が必要だと考えます。

こちらの記事でも提案している、

・数枚のタイルを横に並べ、その両端を左右の足で踏んでもらい、タイルの枚数を当ててもらう

・帯状のものを両足で踏んでもらい、帯の傾きを当ててもらう

・麻痺側足部を前後に動かし(他動)、麻痺側のつま先や踵が非麻痺側足部のどこにあるかを当ててもらう

のような練習が考えられます。

また、

・両足の位置関係を様々に変えながら、両足の間の形を答えてもらう(四角、台形、菱形など)

・両足の中間部分を棒などで示してもらう

といった練習方法も考えられます。


まとめ

今回は、臨床で意識しているテーマ『両足の間』について考えを書いてみました。

このような視点を持ったとき、今まで行っていた練習の中で細かい設定や声かけが変わったり、全く新しい訓練を思いついたりすると思います。

ちょっとでも「両足の間って視点、良いな」と思えた方は、是非臨床で色々考えてみてください。

「こんな訓練もあるんじゃない?」「こんな事やったら反応良かったよ」といった提案・意見もいただけると嬉しいです。


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