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小胸筋の定量的評価

こんにちは桑原です。

Instagram→@kei_6819

臨床で小胸筋への評価・介入を考える時、差別化して評価することが難しいなと感じます

そして肩関節疾患では小胸筋の緊張のある症例は少なくないのでこの疑問を持つ方は多いのではないかと思います。

そんな小胸筋の評価についてまとめていきます。

1)小胸筋の肩関節への影響

まず小胸筋の作用を復習しましょう。
小胸筋は肩甲骨の「前傾・下方回旋・外転」に作用します。
起始は第3〜5肋骨前面で停止部は一般的には烏口突起下内側と言われていますが、関節包側まで付着する延長腱(破格例)が35~40%程度存在すると言われています(文献によって出現率は異なる)

そんな小胸筋ですが、外側胸筋神経由来で症状が出たり、肩関節上方組織の伸長ストレス軽減の為に肩甲骨下方回旋の代償で小胸筋が短縮位になり筋短縮を起こしたり二次的に影響を受けることが多い印象です。

この小胸筋を評価する際、何を指標に評価したら良いでしょうか?

現在一般的に用いられているのは以下の2つです。
・肩峰床面距離
・PMI

この2つについて今日はまとめていきます。

2)肩峰床面距離(acromion-floor distance)

患者さんに背臥位になってもらい肩峰後角からベッドまでの距離を指します。

確かに小胸筋の短縮があれば肩峰とベットとの距離は離れるかと思いますが何点か問題があります。それは大胸筋の短縮や後方関節包の拘縮による骨頭前方偏位でも同じことが起こるからです。

僕も評価として肩峰床面距離はちらっと評価しますが、この評価のみで小胸筋と対象を決めるのは安直かと思います。

この点が肩峰床面距離の注意点であり問題点です。

3)PMI(pectoralis minor index)

PMIの説明です↓
背臥位で第4肋骨の尾側端から烏口特記下内側部の距離を測定し、この距離を身長で除して100を乗じた値。カットオフ値は7.65でこれ以下だと小胸筋の伸長性の低下を疑う。

ちょっと大変そうですね。。

メリットは
正しく計測出来れば小胸筋の定量的評価となる

デメリットは
メジャーが必要、暗算では難しい、女性への評価が難しい。

こんな感じです。

4)PMIの臨床への落とし込み

PMIを臨床でどの様に落とし込むかですが、僕の結論は

時間に余裕があれば素早く計算した方が良いが、そこに時間を長くかけるべきではない。

です。

2.3分かかるのであればPMIの計測はやめて他の評価を組み合わせて進めた方が良いかと思います。

PMIの臨床での落とし込んだ話をあまり聞かないので。

この練習が少し面倒くていいやってなってるのが現実な様な気がします。

少しイメトレしてみたら1分程度かかりましたが、慣れれば1分以内で評価できそうな気がするので、スピードと正確さがあがればかなり質の良い評価になると思います。

5)小胸筋をPMIなしで評価する

PMI無しで評価を進める場合のちょっとしたケーススタディです。

肩関節周囲炎の炎症期でGHの疼痛が強いとします。

肩峰床面距離に明らかに左右差があり

肩甲骨前傾・下方回旋アライメントを呈している

こんな時ST(肩甲胸郭関節)への介入が視野に入ります。

しかしこの肩甲骨下方回旋・前傾alignmentを是正する際に

何が原因か?介入の優先順位を決める時に更に評価が必要です。

肩甲骨下方回旋筋群は

肩甲挙筋
小胸筋
菱形筋
前鋸筋上部線維

肩甲骨前傾に関与するのは

肩甲挙筋
前鋸筋上部
上腕二頭筋短頭
烏口腕筋

下方回旋・前傾2つに作用するのは走行的に小胸筋・前胸筋上部線維・肩甲挙筋です。

可能性の低いものから評価して除外していきます。

肩関節伸展可動域の左右差+その時の肩甲骨前傾の左右左を下角で評価

これで上腕二頭筋・烏口腕筋を除外します。

肩甲挙筋
小胸筋
菱形筋
前鋸筋上部線維
×上腕二頭筋短頭
×烏口腕筋

肩甲骨内側縁までの距離の左右差をみて菱形筋の伸長性低下を評価します。
左右差が無くスパズムなども無ければ除外します。

肩甲挙筋
小胸筋
×菱形筋
前鋸筋上部線維
×上腕二頭筋短頭
×烏口腕筋

頚椎側屈・回旋のROMの左右差を評価してスパズムも無ければ肩甲挙筋の除外をします。

×肩甲挙筋
小胸筋
×菱形筋
前鋸筋上部線維
×上腕二頭筋短頭
×烏口腕筋

ここから小胸筋の圧痛の有無も加味して優先順位をつけて2つに介入してみてレスポンスを評価として進めればPMIほどの精度はなくともある程度介入へ繋げることができます。

※除外と記した部分は可能性が低いと判断したと捉えていただければと思います。

以上、小胸筋の評価についてまとめました。PMIについては臨床への落とし込みの部分でまだまだ意見が一致しない点かと思いますのでご意見いただけると嬉しいです。



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