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肩関節周囲炎の定義
皆さんこんにちは桑原です。
Instagram→@kei_6918
先週からPCR陽性で体調が絶不調で記事お休みしてました。。
早めに治して1週間有意義にすごしてやろうと思ったのですが、39.7℃まで発熱してまともに記事書ける様になったのが5日経った土曜日からでした。笑
もうこりごりですね。。
ということで
今日は「肩関節周囲炎」の定義についてまとめていきます。
他にも「凍結肩」や「癒着性関節包炎」など似た病名が複数あるので整理できたらと思います。
1)肩関節周囲炎の定義
まず、肩関節周囲炎の定義です。
なにかしらの関節内炎症によって肩関節に強い痛みを生じ、次第に肩関節の可動域制限が生じていく後に、疼痛が軽減して拘縮だけが残り、そして拘縮も経過とともに改善していく
肩関節構成体の退行変性を基盤として発症し、肩関節の疼痛と運動制限を主訴とする症候群で自然治癒するもの
などと定義されています。
また本来、肩関節周囲炎は治癒後に振り返ったときに初めて診断されるものという報告もあります。
肩関節周囲炎は治癒後に振り返り、はじめて診断されるものである。現在加療中の症例は自然治癒するか分からない段階で、何らかの医療行為を施行していることに留意すべきである。
しかし、当然ながら運動器リハを算定する際に病名は必要なので治癒前に病名がつきます。この文献では他疾患も内在している可能性を示唆しているものと解釈出来ます。
患者さんは主に疼痛を主訴そして来院されますが、この時点で未来に拘縮が起こり自然に回復していくは分からない為、「肩関節周囲炎」という病名で病態イメージを狭小化せず多様な症状を見極める様にという文脈ですね。
2)肩関節周囲炎と類似した病名の定義
「肩関節周囲炎」という診断名と重複するものが国内外を見渡すと複数存在します。
五十肩は俗称で江戸時代から使われている言葉です。日本では肩関節周囲炎とほぼ同義とガイドラインにも載っています。ただ俗称の色が強いので論文などでは肩関節周囲炎が一般的に使われています。
凍結肩はFrozen shoulderの和訳で五十肩と同様に俗称の色が強い印象です。
癒着性関節包炎(癒着性肩関節炎)はAdhesive capsulitisの和訳で凍結肩の中に狭義として存在していますが、実際癒着が生じている例は少ない或いはほとんど存在しないので表現としては微妙な印象です。
凍結肩と癒着性関節包炎に関しては「どちらを推奨すべきか」というシステマティックレビューまであります。結構混乱があったんでしょうね。。笑
我々は、本疾患の分類と自然経過の記述について、データと患者志向のアプローチを求め、著者と臨床医に、(1)「癒着性肩関節炎」ではなく「凍結肩」という用語を用いること、(2)しばしば被る激しい痛みを認識した最新の定義を用いること、(3)本疾患の自然経過が三相性、自己制限性と混乱し有害ともいえる繰り返しを避けることを推奨している。
と、いう感じで癒着性関節包炎より凍結肩の方が推奨されています。
肩関節周囲炎も直訳に近いものでScapulohumeral periarthritisというものも存在しますがあまり使われていない現状です。
また、2020年の日本肩関節学会では凍結肩と拘縮
肩の定義について報告されました。
凍結肩→病因不明な一次性特発性拘縮肩
拘縮肩→外傷や術後による明らかな原因のある二次性拘縮肩
拘縮肩と凍結肩の定義を明確化するため学術委員会では,可動域制限があれば拘縮肩とし,そのうち原因不明な拘縮肩のみを凍結肩,原因の明らかな拘縮肩を二次性拘縮肩とするISAKOSの提言を採用した
※ISAKOS=国際関節鏡学会
とまぁなかなか面倒ですね。
肩関節周囲炎と言っても五十肩・凍結肩・癒着性関節包炎など様々な呼び方があったり、混乱するかと思いますが、邦国の言葉なのか和訳なのか、何が推奨されているのか、学会の提唱を調べるとはっきり区別ができます。
まとめ↓
肩関節周囲炎の定義
「なにかしらの関節内炎症によって肩関節に強い痛みを生じ、次第に肩関節の可動域制限が生じていく後に、疼痛が軽減して拘縮だけが残り、そして拘縮も経過とともに改善していく」
肩関節周囲炎には似た用語がある。
五十肩・凍結肩・癒着性関節包炎・拘縮肩
五十肩→江戸時代から使われている。ガイドライン上でも肩関節周囲炎とほぼ同義で使われている。
凍結肩→Frozen shoulderの和訳で五十肩と同様に俗称の色が強い印象。病因不明な一次性特発性拘縮肩。
癒着性関節包炎→Adhesive capsulitisの和訳で凍結肩の中に狭義として存在している。実際癒着が生じている例は少ない或いはほとんど存在しないので表現としては微妙な印象。凍結肩の方が推奨されている。
拘縮肩→外傷や術後による明らかな原因のある二次性の拘縮。
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