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「あやかし学校の贄姫さま」第1話


あらすじ

 父親の仕事トラブルをフォローするため、なぜか転校することになってしまった女子高校生・綾波実衣(あやなみ みい)。その転校先は、山奥にある妖怪たちの「あやかし学校」だった。しかも、実衣は「贄姫」として、自分を食べる権利を持つ「総大将」を、三大妖怪(妖狐・烏天狗・酒呑童子)の代表者たちから選ばないといけないという……。超絶イケメンだけど破天荒な三人は贄姫に選ばれるため、あの手この手で実衣を口説いてくる。
 
 わたし、今まで彼氏の一人もいたことないので勘弁してください!
 人間界とあやかし界の平和を懸けた恋愛バトルが今、始まる……!?

メインキャラ紹介

主人公

〇綾波 実衣(あやなみ みい)……17歳。
丸顔がコンプレックスで、
素直さと、走るのが速いことだけが取り柄の普通の女子高校生。
100兆円の借金を帳消しにするために、「贄姫」としてあやかし学校に転校する。今まで彼氏がいたことがない。

メインヒーローたち

〇クオ ……九尾の妖怪。神々しいイケメン。
小さい頃は妖術も苦手で、丸くて小さく、同胞からいじめられていた。
だけど絶え間ない努力の末に、総大将候補まで上り詰める。
ホスト的な話術やボディタッチで、実衣を口説こうと奮闘する。

〇ジロウ……烏天狗の妖怪。クールで武骨なイケメン。
大家族の次男坊。長男が放蕩主義のため、弟たちの面倒をひとりでみている。得意な料理で実衣の気を引こうと奮闘する。
寡黙で不愛想ながらも、やさしい世話焼きお兄ちゃん。

〇リュウキ……酒吞童子(鬼)の妖怪。天真爛漫マッスルなイケメン。
大きい体躯ながらも、弟枠。
お酒は実衣が未成年のため、甘い物をたくさん与えようとする。
裏表ない無邪気さで、実衣の心に潜り込む。
ずっと孤独だったため、愛に飢えている。
実は元人間で、実衣の幼馴染・竜也の兄として生まれるはずだった水子。

〇宮本竜也……普通の人間。実衣の幼馴染。17歳。よく見ればイケメン。
実衣と、幼稚園の頃からの付き合い。
野球少年。2年生にしてエース。
甲子園に行けたら、実衣に告白しようと思っていたところ、
実衣が突如転校してしまった。
そうしたらまわりによくわからないイケメンを侍らせるようになったので、好きとか嫉妬心とか置いておいても、すごく心配。

1話シナリオ

シーン① 実衣の自宅・リビング

実衣の父親が土下座。
実衣父「すまない!」
実衣父「仕事で大失敗して、100兆円の損害を出してしまった……!」
実衣 「えっ……」

唖然とする実衣と母。父は涙するばかり。

実衣父「このままでは、我が家が100兆円の借金を負うことに――」
???「失礼します」

そのとき、いきなり玄関から入ってくる税理士+黒服SPいっぱい。
税理士は実衣に名刺を渡してくる。
 
弁護士「ミナツキ財閥顧問弁護士ワタナベと申します。お父様から、事情はお伺いですね?」
実衣 「おそらく今、聞こうとしていたところかと……」
弁護士「まったく、だから仕事のできない男は……」

父に向かってため息をついた弁護士は、眼鏡クイッ!

弁護士「それでは、私が端的に説明しましょう!」

以下、イメージ図を添えた弁護士からの説明。
ミナツキ財閥が所有する子会社にお勤めのあなたのお父様・綾波鉄雄(あやなみ てつお)は、とある書類でゼロの数を間違い、誤って大量の商品(木彫りの猿)を輸入してしまいました。その被害総額が100兆円。そのため、我がミナツキ関連会社は100万人の大規模リストラを余儀なくされております。

実衣 (木彫り猿のスケールでかくね??)

宇宙を背負った実衣の隣で。おずおず挙手する実衣母。
 
実衣母「夫の失態とはいえ、業務上の損害を一個人が弁償するのは……」
弁護士「法律的に個人が被ることではございませんが、ご主人を恨む人は大勢でます。たとえ会社的に解雇だけで済ませたとしても、噂は止められない。リストラされた者たちの私怨で、不幸の元凶である綾波家の皆様がどうなるか……私は想像するだけで……」

弁護士、しくしく。あからさまな嘘泣き。
うしろで、両親が抱き合いながら一家虐殺っぽい光景を想像。

弁護士「そこで! 心優しいミナツキ財閥の総裁・御名月宗十郎(みなつき そうじゅうろう)様はおっしゃいました!」

弁護士は実衣をビシッと指さす。

弁護士「娘さんがとある学校に転校することを条件に、100兆円を私財で肩代わりすると!」

実衣 「私財?」
弁護士「宗十郎様のお小遣いみたいなものです」SD

ともあれ、実衣は生唾を飲み込む。

実衣 「本当に……わたしが転校するだけでいいんですか?」
税理士「今のご自宅から通える場所ですよ。学校までは毎日車で送迎します。もちろん、費用も全額こちら持ちです! 学費や制服代も全部タダ! ランチも無償でご用意しましょう」にっこり

実衣 「……わかりました」おめめキラーン
実衣 「綾波実衣、家族のために転校させていただきますっ!」

実衣の覚悟に、拍手する弁護士たち。
固まったままの両親も添えて。

シーン② あやかし学校・校門付近

実衣M「――というわけで、翌週から転校することになったんだけど」
実衣 「ここが……新しい学校?」

山奥の、昔ながらの木製の学校を見上げる実衣。
うしろには乗ってきた漆黒のハイヤー。運転手のサイトウさん(ちっこいおじいちゃん・実は凄腕祓い屋スナイパー)がぺこりと頭を下げる。

サイトウ 「それでは実衣さま。また放課後お迎えにあがりますので」
実衣 「あ、はい……ありがとうございま……」

言葉の途中で、去ってしまうハイヤー。

実衣 (100兆円の代わりだもん。そりゃあ普通の学校のはずがない)
実衣 (ぼっちになろうが、ヤンキーに囲まれようが負けるもんか!)

シーンチェンジ 教室

実衣 (だけど……ちょっと待って?)
担任 「それじゃあ待望の転校生を紹介するぞー」

担任 「綾波実衣さんだ。れっきとした人間だぞー」
担任 「面倒ごと起こすんじゃねーぞー」
実衣 (あきらかに人間じゃない生徒がいるんですが!?)

人型の生徒もいるけれど、半数くらいは妖怪魑魅魍魎。
人型の生徒たちは、メインの三人や、友達候補の猫耳娘などの主要キャラ。
霊魂っぽいのも飛んでいる教室に、実衣は顔面蒼白。

実衣 「あの……これ……コスプレ……」
担任 「安心しろ。おれも含めて、ここには妖怪しかいねえ」

やる気のなさそうなおっさんから、ひょこっと狸の耳が生えて「ひえっ」っとなる実衣。
そんな実衣をケラケラ笑いながら、担任は実衣の肩をたたく。

担任 「ま、がんばってくれや。姫さん」にっこり
実衣 (姫さん??)目が点

シーン③ あやかし学校・校舎裏

休憩時間。人気(?)のない校舎裏で膝を抱えて小休憩する実衣。
実衣 (疲れた……)

実衣 (この学校なんなのさ……)
実衣 (ほんとに妖怪ばっかりだし)

思い返すは、教室で隣の席の一つ目小僧が手を挙げていたり、廊下で一反木綿とすれ違ったり、子泣きじじいに背中に乗られたりしているシーン。

実衣 (てか、現代の日本に妖怪っていたの?)
実衣 (フィクションじゃなかったの!?)
実衣 (こんな場所でぼっちは無理だってば~~!!)

女の子「こんにちは。あなたが噂の転校生?」

いつのまにか、実衣の隣にいた、同い年くらいの制服女子。

実衣 (いるじゃーん、まともな女子高生)うれし泣き。
実衣 「う、うん!」

女の子「嬉しいなぁ、こんなかわいい女の子が本当に来てくれるなんて」
女の子「わたしと友達になってくれる?」

実衣 「も、もちろん! わたしでよければ!」
女の子「ありがとう。じゃあ、さっそくお願いしたいことがあるんだけど……」

前のめりでコクコクする実衣に、女の子はにっこり。
だけど、突如彼女が後ろを向く。

女の子「私に食べられてもらえないかな?」

女の子(ふたくちおんな)の後頭部の口がガバァッと開く。
ギザギザ歯のついた口に、実衣は恐怖で目を閉じるだけ。

実衣 (このままじゃ、死ぬ――)
女の子「ぎゃあああああああああああ!」
クオ 「いきなり教室から消えたと思いきや、さっそく雑魚に身体を許そうとするとは」 

実衣が恐る恐る目を開けると、超絶美形ヒーロー①クオが登場。

クオ 「我が贄姫さまは、お優しすぎるようだ」微笑

実衣 (このイケメン、どこかで見たような……)
実衣 「あっ、あなた同じクラスの……?」
クオ 「九尾のクオと申します。贄姫さまに選ばれるべく、誠心誠意お仕えしとうございます。以後、お見知りおきを」

呆然とする実衣の手をとり、キスを落としてくるクオ。

実衣 「贄姫……?」
クオ 「おや、ご自身のお役目を知らないので?」

クオ 「それでは、校長先生から説明していただきましょうか」

実衣を横抱きし、高く飛び上がるクオ。
実衣は高くて「きゃあ」とクオにしがみつく。

クオ 「本当は俺が贄姫さまを独り占めしたいのですが……」
クオ 「初日から点数稼ぎすぎて、雑魚に僻まれるのも面倒ですしね」

にっこり微笑むクオを、実衣はぱちくち見上げる。

実衣 (顔がきれいすぎる……芸能人とか軽く超えちゃってない?)
実衣 (でも、やっぱり人間じゃないんだよな~~!!)

クオのピクピク動く耳やもふもふ尻尾に心の中で涙する実衣。

シーン④ あやかし学校・校長室

校長室にそろうのは、校長(ぬらりひょん)と、担任(たぬき)、

校長 「きみが今代の贄姫かね?」
実衣 「にえひめ????」

校長がじーっと担任を見る。
担任、目そらし。校長ため息。

校長 「わしから説明しよう」
校長 「きみは100年に一度の美少女に選ばれたのじゃ!!」
実衣 「はい?」

以下、校長の話に合わせてイメージ図。
校長 「平安時代からの習わしで、100年に一度、一番美しいとされる女が『贄姫』として、妖怪の中の『総大将』に上納される。それをもって、妖怪は人間を(最小限しか)襲わないと盟約を結んでいるのじゃ」
実衣 (最小限……)

実衣 「その上納? されたのがわたしだと?」
校長 「しかも、姫さまは運がいい!」
校長 「今までは上納された贄姫は問答無用で総大将にむさぼっていたが……今年からは姫さんのほうで総大将を選べるようになったのじゃ!」

実衣 「むさぼる……」
校長 「いやぁ、近年の社会情勢的に、贄姫が不遇すぎると非難を受けての。それならと譲歩した結果、贄姫自身が自分を食う男を選ばせようと……そういう『平等』ってやつ、最近の人間は好きなんじゃろ?」
実衣 (平等か、それ? けっきょくわたしは食べられるんでしょ!?)

校長 「だけど、不特定多数から選ぶのも大変じゃろうて。候補はこちらで絞らせてもらった」

そして、登場するのがクオ、ジロウ、リュウキの三人。
一人目、クオの紹介。
校長 「一人目が九尾のクオ!」
校長 「あらゆる妖術を巧みに使いこなす妖狐じゃ!」

校長 「きれいじゃろう? 妖怪界でも見目がいいと人気ナンバーワンじゃ」こそこそ
実衣 「はあ……」

二人目、ジロウの紹介。
校長 「二人目が烏天狗のジロウ!」
校長 「寡黙でクールな見た目ながら、かつて牛若丸に剣術を教えたとされる面倒見のいい一族の期待の星じゃ!」

校長 「家事の得意な男子がイマドキじゃろ?」こそこそ
実衣 「妖怪も家事するの?」

三人目、リュウキの紹介。
校長 「三人目が酒呑童子のリュウキ!」
校長 「鬼の一種じゃ。力仕事なら彼におまかせ。笑顔がいちばんチャーミングじゃ」

校長 「年下男子好きなら、一押しじゃぞ」こそこそ
実衣 「てか、妖怪ってそもそも何歳?」

紹介おわり。
校長 「どいつも将来性も抜群じゃぞ!」
校長 「ちゃんと人間ウケしそうなのを選んだつもりじゃ」

校長 「てなわけで、今から1年で、きみの伴侶となる男を選ぶように!」
実衣 「でも、結局わたしはこの3人の誰かに食べられちゃうんでしょ?」
実衣 「やだよ、そんなの!!」

校長 「おや? きみに拒否権はないと聞いたがの?」
校長 「100兆円の肩代わりがどうこう……」
その話に、ギクッと固まる実衣。

実衣 (まさか……本当に……?)
実衣 (わたし、妖怪の生け贄にされちゃうってこと~????)
 
1話、おしまい。


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