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放った言葉がどう届くかは。

2023.3.16

『ここで唐揚げ弁当を食べないでください』という、タイトルが最高な本を読む。進んでみたコマに思いもよらないことが書かれてる、そんなすごろくみたいな人生も、俯瞰して愛おしくなるようなエッセイ。いつもかばんにひそませたくなるような、存在そのものが可愛らしい本。

『ここで唐揚げ弁当を食べないでください』
小原 晩


ふと思ったのは、ここにきっとその人が来るという想定で、だからここでこれを伝えられるだろう、と置かれていく手紙未満の言葉たちのこと。そっとそこにある待ち言葉。それがここまで形を変えて届くこと。みなを惹きつける言葉へと変わり、今も存在していること。なんだか不思議。


ふとしたきっかけで「新しい学校のリーダーズ」に出会う。出会ってしまう。BABYMETAL以来の衝撃。魅入ってしまう。ひたすら動画を貪り続け、時間がいっぱい過ぎてしまった。


2023.3.17

子どもの頃、習い事の帰り道に毎週のように買ってもらって食べていた「カルビー お好み焼きチップス」の復刻版が、期間限定でセブンイレブンで売ってるという情報を得たので、買う。夫は「カルビー グリルビーフ」を毎日のように食べていたという。買う。みんなで食べ比べたり、懐かしんだり。普段から私の好物は息子のトランティスが好きで、夫の好物は娘のららぽんぬが好きってキッパリと分かれて好みがおんなじなんだけど、今回もトランティスがお好み焼きチップス、ららぽんぬがグリルビーフのほうが好きと言ってて、やっぱりそうなるのか、と笑ってしまった。

撮影:ららぽんぬ




20023.3.18

高瀬隼子さんの『うるさいこの音の全部』の感想をまとめる。
新人賞を取った作家が主人公なので、どうしてもご本人の心境を鑑みるように読んじゃう自分に「そういうとこやぞ!」って声が飛んできそうだけど、周囲の反応とか実際のところかなりリアルなのでは?作品の内容を自伝的に捉えられるのは避けられないのだろうか。本人と作者。作者と主人公。耳障りに擦り合わせる読者。混ぜこぜに一緒くたにして、自己にまで丸ごと塗ったくる五月蝿い音がジャン・ジャラララララ。

文學界2月号掲載


金原ひとみさんの連載『YABUNONAKA 』の友梨奈も作家であることから、どうしても読者は浮かべてしまうイメージがあったりして、作家というのは、小説内容と自分とを結ぶイコールに悩まされるのが常なんだろうなぁと。
自分から出てきたものの中の、全然自分じゃないもののことを、思う。



2023.3.19

お昼にラーメンを食べに行く。駐車場に停める時に、ちょうど従業員さんがいて「ここに停めればいいよ」的なジェスチャーが、新しい学校のリーダーズの「オトナブルー」の「わかってる 欲しいんでしょ」のsuzukaちゃんの振り付けとかぶる。完全に脳を占領されている。

帰宅後、ららぽんぬに『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』をアマプラで観せられながら、『すべての、白いものたちの』のふせん箇所をノートにまとめる。映画は怖いしハラハラするので、あまり観ないようにしてノートを書き続けていたけど、ふせんが大量すぎて映画が終わってもまだ書き終わらない。ほんとうに、もう全部が良い。すべての、良いものたちの本。

映画は怖かった。音を立てたら見つかって殺されちゃう。ウチは、じぃじいがくしゃみをしたら終わりだね(ウルトラマンが帰る時のシュワッチ!みたいな爆音くしゃみ)ばぁたんの声デカいから無理だね(スマホをスピーカーにしなくても周りの全員に聞こえるナチュラルスピーカー)沈黙を破りまくりのファミリーなので、生き延びられる気がしない。
私は基本的に、珈琲の良い香り〜サンドイッチも美味しいね〜みたいなほのぼの映画が好きなので、すでに世の中こんなに恐ろしいのに、わざわざ恐怖体験をしにいくみたいな映画鑑賞はどうも苦手。

2023.3.20

なぜなのか全くわからないけど、羽生結弦さんの夢を見た(なんかごめんなさい)なぜなのか全くわからないけど、耳かきをしてほしいとお膝にごろんとされた(なんかほんとごめんなさい)のですが、世界の羽生結弦の耳の穴に棒を突っ込むなんてとてつもなく無理なので丁重にお断りさせて頂いた(ほんと申し訳ありません)世の中には願っても願っても夢にも出てきてもらえない想いがたくさんあるだろうというのに、そんな夢を見てしまって、申し訳ない気持ちでいっぱいに。夢の中の体験って、実際には体験してはいないのに、記憶の中で体験として残ってるから、色々掘り下げて考えると怖いなと思った。誰かが私の夢を見て、私にこうされた、こんなこと言われた、とか、私自身の意思の届かないところで物事が起きて、それがその人の記憶の中に残るって、実際にはないのに、確かにあって、こわい。


朝井リョウさんの『そして誰もゆとらなくなった』(エッセイ)が面白すぎる。絶対吹き出す。声出して笑う。ちょいちょい柚木麻子さんのお名前が出てくるんだけど、この2人が絡むと面白そうな匂いしかしなくてワクワクしてしまう。本当にこの朝井リョウさんが、あの『正欲』を書いたんだろうか、って思っちゃうくらいギャップがありすぎる。

2023.3.21

『乙女の密告』『神さまのビオトープ』『うたかたモザイク』の「神様はそない優しない」など読む。あとそれと、絵本2冊。

赤染晶子さんの『乙女の密告』が復刊されたらしく、とても嬉しい。『じゃむパンの日』読んで、読んでみたいなって少しでも思った方、その心に背くべからず!是非ぜひお手に取ってくださいまし!この面白さ、密告したい‼︎この作品を布教したい‼︎なんだろね〜この摩訶不思議な愛おしさがたまらない。


夜、衝撃的なことが起こる。あんまり公言しない方がいいのだろうか。あの時、あの一瞬を居合わせた200人弱の未映子⁉︎な夜、改めて心待ちにしております。


2023.3.22

絵本の読み聞かせ。『さよならペンギン』を読む。この絵本はハチャメチャで子どもウケがいい。さよならホームラン がオチなので、WBC準決勝の次の日の朝読むにはタイムリーでもってこいのチョイスだった。(選んだ時には無意識という奇跡)


WBCが優勝して世の中は大盛り上がりだった。14年ぶりだそう。野球のことは全然わからないけど、ドキドキした。大谷翔平選手の投球、160キロだって、すごいな〜‼︎と夫が言うので、え、じゃああの勝利の瞬間に投げたグローブも帽子も、160キロ⁉︎と聞くと、そんなこと思ってんのおめーだけだよって言われた。


以前、読み聞かせや図書ボランティア活動をしている小学校の総合学習で「がんばっている人」として選んでいただきインタビューを受け、そのお礼のお手紙を生徒たちから頂いて、めっちゃ感動。

本があんなに好きなんてビックリした、本に興味を持った、本を好きになりたいと思った、本がもっと好きになった、というお手紙を泣きそうになりながら読む。

読み聞かせや図書ボランティア活動以外にも、書店の仕事のこと、地域のねぶた囃子のことを印象強く思ってくれた子も。

家族のことを聞かれた時、イモリのことも紹介したことで、男の子たちがイモリの絵を添えてくれていたのがかわいくてほっこり。
誰も、塩の絵は描いてなかった。(好きな食べ物を聞かれて、一瞬「塩…」と答えちゃったので)よかった。
本当に素敵なお手紙ばかりで嬉しかった。

たぶん、お礼のお手紙の書き方として、インタビューをして、どんなことがわかったか、それについてどう感じたか、心に残っていること、自分が地域のためにどんなことをしようと思ったかを書きましょう、といった指導があったんだろうな、と思われる手紙内容だったんだけど、一人、その形式からはみ出るように、唐突に、自分の好きな食べ物を教えてくれて、唐突に、あなたの話を聞いて本がもっと好きになりましたと書いてくれていた子がいて、なんだかその手紙が、とてもまっすぐ響いて、心に残った。文章をきれいにまとめることって大事だけど、心から出したままの言葉って、心への届き方が全然違うんだろうなぁ…ということを教わった気がした。

放った言葉がどう届くかは、本当にそれぞれでわからないものだな、と思う。生まれた言葉が、どう変化してどんなふうに届くかなんて、人が生まれて生きていく、そんな、人生みたいにいろいろなのかも。

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