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メーカー勤務のキミ!ルーキーのキミに贈るクレーム対応「虎の巻」

気が附けばメーカー勤務も四半世紀を迎えようとしています。
営業職を通じて、生産現場・生産管理・品質管理・流通管理・コスト管理
あらゆる現場に立ち会ってきました。

「モノヲツクル」と云うことは社会に喜ばれる事業でなくてはいけません。
しかしながら、丹精込めて作り上げた製品も社会に送り出してから後、
問題が発覚し、御迷惑を申し上げる事象も経験いたしました。
社会に役立つことが使命であるはずの事業が、逆の現象を生んでしまう。
ある面「修羅場」です。

そのような修羅場の乗り越え方を「百戦練磨?」の経験者が御教示いたしましょう!!

それから、小職と同じようなお立場の中間管理職の御同輩!日々胃が縮む思いでいませんか?胃薬が必需品!あ~解ります。そんな中高年の管理職のあなたたちへのオマージュ?健康な生活を送れるためのガイドになればと。と

 
1,クレームって云っても、いろんな種類がありますね。

クレームといっても業種によってその形態も違いますね。

販売業に従事する方でしたら店頭で、店員さんの態度が悪い、商品の陳列がイマイチで解りずらい。
商品を送り出す立場の方であれば、商品を買ったけれど使い方が今ひとつだった、取扱い説明書の内容が複雑すぎる。
使ってしばらくしてから不具合がおきてメーカーに相談したけれども
対応に不満がある。
極まれに購入者の一方的なワガママに近い内容ですが、思っていたものと違う。このような内容でも無下な対応はできません。

クレームっていうのは、製品が世に出てから露見する問題ですね。

誰だって、一所懸命こなしてきた仕事でクレームなんか起こしたくない筈。
じゃぁなんで起こるんだろう?一緒に、考えてみませんか?
そして、クレームを受け取る側のキミは、正直、嫌な事だらけだよね。
でも、考えてみようよ。

折角買った商品が不良品だっら、誰だって不満は持つよ。
自分が嫌な思いもするけれども、それ以上に相手=お客様は嫌な思い、
不満・憤り、なんかを持っていらっしゃるってことをね。
そこは、自分の感情は抑えて「滅私奉公!?」かな?
相手=御客様の立場に立って解決していけば、後々君にとっては貴重な経験となり最大限の武器になるんだ。

メーカー勤務四半世紀の経験から、虎の巻を公開?させて頂きます。
ルーキーのキミたちへの応援歌かな?
まあ、堅苦しい話にならないようにしますので宜しく御付き合い下さい。

 
2,何故クレームは起きるんだろう?
 
先ずは、製品が世に出るまでの過程を大まかに振り返ってみよう。
ちょっと堅苦しくなるけれども、暫しの御辛抱を。

以下は、家具なんかの製造ラインになるけれど、他業種の製品でも
大きな違いは生じないはずですね?モチロンJIS規格とか、公差とか
細かくあげれば切りはありませんが、あくまでもガイドラインですよ。

・図面管理・・・・・設計・製造(試作班・量産班)・営業で確認
・生産工程管理・・・素材調達・受け入れ確認
          部材レベル(半加工品)での確認
          部材勘合確認(仮組み)
          表面仕上げ前、まとめライン確認(組み立て)
          表面仕上げ確認(傷・膜厚・光沢など)
          稼動確認・最終組み立て(製品状態)確認
・梱包事前確認・・・各部材の状態・・・変形・キズなく、完全な状態か?
          同梱品の確認・・・支給された部材の確認
                  (支給品と云えど要チェック)
                ・・・自己調達既製品部材の確認
                  (既製品と云えど要チェック)
                ・・・各部材の数量確認
                   部材ごとに適正数量か?
                ・・・他部材が混合していないか?
                  (似ている部材は要注意!)
・梱包作業時確認・・・各部材が適正に供給されてるか?
        ・・・異物混入は無いか?
・梱包品最終確認・・・外観に以上は無いか?
        ・・・指定された様式(印刷・検査印)
           が満たされているか?
・出荷確認・・・・・・出荷時の車両積載制限は守られているか?
・出荷・輸送ライン・・各デポ地や、店頭までの最終ライン確認
           輸送手配が自社の場合:
           配車担当者・ドライバーとの製品特性(荷扱い)の
                 情報共有、納品先の詳細情報。
           得意先様配車の場合:各種の情報を文書で得意先
           各担当へ配布させて頂ければ安全ですね。

*上記様に一つの製品が世の中に出るまでには、いろんな工程が有り、
様々な人の手を経るわけですね。

全てが十全に機能していればOKです。 
が、、、、
どこかで歯車が噛み合っていないと。


3,クレーム発生!!
  
がんばった筈なのに!見落としは無かった筈なのに!
やっちゃったね・・・・
まぁ気を落とさずに、前をみようよ。
ある意味ここからが腕のMISEDOKOROだよ。しっかり対応しましょう。
    
具体的な方法論に移るその前に、  
わが社秘伝の、「クレーム対応十か条」を本邦初公開!!
  
  *クレームは全て速やかに文書でトップに報告する
  *クレームの対応は全ての業務に優先する
  *自社の損金よりも、お客様の利益を優先する
  *クレームは初期電話対応でその後の推移と成否が決まる
  *直ちに現場へ駆けつけることで信頼を獲得する
  *謝罪と素早い原状回復が解決への近道
  *言い訳、反論が解決を遅らせる
  *未解決の御客様ほど接点の回数を増やす
  *クレーム対応のノウハウを会社の資産にする
  *クレーム対応はトップ(部門長)の最重要任務

   わかる人も、いまいちのキミもクレーム対応に向かって行きましょう。

4、クレームは全て速やかに文書でトップに報告する。

クレームが発生したらとにかく騒ぐこと!
文書で報告も大事だけれども、とにかく騒ぐことです。

ある上場企業の生産現場ではクレームが発生した場合、
「騒げ!騒げ!とにかく騒げ!上司に報告10秒以内!」
なーんて掲示してあることもあります。

云いにくいよね、でも自分だけで抱え込んではいけないんだ。
一人の力では解決なんか出来ないし、抱え込んでいてはどんどん
時間がたってしまいますよ。

時間がたってしまうと本当に困っていらっしゃる方が
益々困ってしまいますね。
解決が遅くなって、問題はどんどん大きくなってしまいますね。
とにかく騒いで、上司や周囲にクレーム発生を認知してもらいましょう。
みんなで、考えてもらう状況をつくりだしましょう。

それから、落ち着いて、一息入れてもいいさ、
詳細を簡潔に文書にまとめて上司に提出します。
文書にまとめることでクレームの原因が見えることもあります。
その際クレームの原因となった部署や、個人を攻撃するような
ことはしちゃだめですよ。気持ちは解るけれど、後々までわだかまりを
残してしまうし同じ社内じゃないですか。
みんなで同じ目標に向かって一所懸命努力して来たじゃないか。


5、クレームの対応は全ての業務に優先する。

製品納期や事務仕事の締め切り、新規プロジェクトの企画立案・資料作成
重要な案件が山積しているときに限って不思議とクレームは発生しちゃうんだなぁ、、、、
一瞬!目の前真っ暗、どうしよう?なんて考えてしまいます。
でも、とにかく解決を最優先にしなくてはいけないのです。

今君が抱えている業務は、同僚、先輩、上司も忙しくて申し訳ないと
思うけれど引き継いでもらいましょう。
「困ったときは、お互い様」だからね。キミだって逆の立場に
成る事だって充分ありえるんだ、そのとき頑張ればいいじゃん!

前にも触れたけれども、とにかく原因を探って、会社一丸で考えて
解決策を早急に判明させなくてはなりませんね。

クレーム対応に取り掛かる時間が遅れるほど、
お客様は困ってしまうし問題はどんどん大きくなってしまいます。

なによりも、お客さまの立場に立つという視点を持てば、
申し訳御座いませんという思いを持てば自然とクレーム対応を
最優先しなくては!という気持ちに成れると思いますよ。


6,自社の損金よりも、お客様の利益を優先する。

クレームが発生して対応を考えて行く過程で
製品を再度生産したり、回収・交換に現地へ赴いたり、
関係者への周知徹底したり、人員を手配したり。
手段が見えてくるほど発生する経費の膨大さに辟易とします。
いったいいくらの経費がかかるんだろう?
そう云う現実に直面しますね。

売り上げは「・・億円」だったのに、対策費が簡単に上回ってしまう。
改めて目の前が真っ暗!利益なんて吹っ飛んでしまう。

ガーン??!!

でもちょっと待って下さい。大きく深呼吸をしてみようよ。
確かに、キミ本人も、キミの会社も途方に暮れているかもしれませんね。

でも、キミのお客様は?最終ユーザー様は?どうだろう?
キミ以上に困り、困惑していると思います。
キミを、キミの会社を信じて仕事を下さり、製品を購入してくださった方たちが一番困っているのです。

そう考えれば会社の損金は確かに莫大かもしれないけれども、それ以上に
お客さまの利益を優先しての行動が優先されるのではないのかな?

ひつこいかもしれませんが、キミ以上に困っていらっしゃる方のことを
思い、彼らの利益を守る為に行動すれば必ず道は開けて来ますよ。

クレームで生じた損金は次に今回以上の契約をとってくる!
損して得とれ。
それくらいの気合をもってお客様の利益を守ることに邁進しましょう。


 7, クレームは初期電話対応で成否が決まる

「電話代わりました、お世話に成ります」
通常の業務連絡や新規の取引内容だと思って電話に出てみればいきなり
クレームの連絡だった。晴天の霹靂?お客様の仰る内容が理解できない。

でも、悪い知らせだとは先方の口調でなんとなく理解できるはずだよ。
そんなときに絶対取ってはいけない行動は、弁解をする、自分を正当化する事です。一瞬の判断だから難しいことは理解できます、弁解をしたり、自分を正当化したい気持ちもあるでしょう。でも、直ぐに誠心誠意謝罪しましょう。お客様だって人間なのだからキミの動転振りを理解してくれるはずです。お客様にしても、得意先から最初の連絡を受けたときは同じような気持ちだったはずです。

その後キミがとるべき行動は、自社の損害を考えずに相手の身になって、
お話しを伺うことです。そしてお客様の利益を最優先できるよう、
エンドユーザー様の思いを最大に理解できるように自分を捨てるくらいの気持ちで電話対応をすることなんです。

謝罪をするだけでなく、こんな風に対応してみましょう。

・原因追求、対応体制組織作成のための社内報告向けにクレームの内容を詳  
 細に聞き出すこと。
・クレーム処理に対し、お客様はどのような行動を起こそうとして
 いらっしゃるのか、そのために協力できることはなにか?
・お客様の行動と今後自社で対応する行動に差異はないのか?
 (差異が発生していると対応がスムーズにいきませんよ。)

それから、お客様の行動を最大限サポートできるように自分のスケジュールを調整しましょう。最初にも伝えたけれどもそういう時に限って
仕事を抱え過ぎたりしているものですね、であればこそ上司や同僚に協力してもらいましょう。
 
このクレームはキミだけの「問題」ではなく会社の「もんだい」なんですからね。


8, 直ちに現場へ駆けつけることで信頼を獲得する電話対応で詳細を知り、

社内体制を整えたら直ちに現場へ駆けつけようよ。
社内体制を整えられずとも今はスマフォを駆使すれば行動の途中でも作戦を練ったりすることが出来ますね。
駆けつける先はお客様のところであったり、エンドユーザー様の所へ直接であったり様々だと思います。

現場へ駆けつければ、いろんなことが解ってきますよ。
電話だけでは解らなかったことがね。
良く言えば思っていたほどの症状ではなかったり、
悪く言えば最悪の状況だったり。

なによりもお客様の真意が本当に理解できます。
これが最大の利点であるのかもしれません。

現場へ駆けつけることで状況がより深く理解できます。
ここから「真の意味」でのクレーム対応が始まります。
 
 
9、謝罪と素早い原状回復が解決への近道。

現場へ駆けつけてから改めて謝罪しましょう。
「誠心誠意を」こめる事です。

お客様の中にはキミの存在意義をも否定するような罵詈雑言を浴びせる方  
もいらっしゃるでしょう。何があっても「がまん、我慢、ガマン」です。

心からの思いを表しましょう。
又、世の中はそんなに捨てた物でもなくてキミの立場を心から理解して頂けるお客様もいらっしゃることでしょう。
そんなときは心からの御礼と共に「申し訳ありません」という態度を表しましょう。とにかく、誠意をもって対応することです。

次にやらなければならないことは、
クレームの真の原因をより深く見極め判断することです。
製品の欠陥要因をきちんと突き詰め、その悪因を改善するための
手配を行うことです。キミだけの判断ではいけませんよ、
その場でお客様や上司、製造現場へ相談をして部材や車両手配、
現場での作業がキミの手に余るようであればエンジニアさんへの
協力も頼みましょう。

何よりも製品本来の姿に戻してあげること、お客様はキミの会社の製品を
数多ある情報の中から吟味し、購入して頂いたのですからお客様に喜んで頂けるように.手配をすることです。


10、言い訳、反論が解決を遅らせる
 
前項でも述べましたが、お客様の仰る内容に絶対に反論したり言い訳し
たりしてはいけません。痛いほど解りますよキミの気持ち、
人間は自分がかわいいから
罵詈雑言浴びたり
極論で言えば、
「もしかしたらあんたの使い方が悪いんじゃないの?」なんて一瞬
思ったりもするかもしれない。

でも今キミの目の前では確実に製品が不具合を起こしているんだ。
今キミが心の奥底で感じたり、思ってりしていることは例え正論の部分が
あったと感じてもそれは完全ではないかもしれません。
追い込まれたその場の勢い?状況で、投げ出したくなったりしたとしても「大きく深呼吸」ひとまず冷静になりましょう。

言い訳や反論のために気遣いをするんで有ればこの現状をいち早く解決するために労力を向けましょう。
その現状に立ち向かう姿勢が、解決への最短ルートなんだよね。

 
11,未解決の御客様ほど接点の回数を増やす、
  
理想で云えばいち早く解決してヤレヤレと思いたいところですね。
「終わったー!!」ってみんなで
「お疲れさん会?」という大義名分を挙げて一杯呑りたいところですね。

でも、クレームの原因が重度で、原因解明が思うように進まず、
例え原因が判明したとしても部材調達に時間が必要になり「未解決」の
時間が長く、ナガーク、永く、
まるで「針の筵」の上に座らせているみたいで心ここに非ずと言う、、、、
 
キミにはとても重い時間がのしかかってきていますね。
でもそんな時にこそ、お客様には連絡を絶やさないことです。
事象の進展状況は勿論のこと、新たな状況の有無を聞きだしたり、
お客様のスケジュールや社内での御立場等々事細やかに連絡を密に取り、
コミュニケーションをいつも以上にとる事です。

「クレームは最大の武器である」なーんて言葉もあります。
皆さんが困っていらっしゃる時に、細やかな対応を差し上げキミ自身や
キミの会社の対応力をアピールできる機会でもあります。
長い目で見れば、後々に利いて来る内容でもあるんですよね。
 
 
12、クレーム対応のノウハウを会社の資産にする。

ヤレヤレ、どうにか問題は解決したようですね。
それにしても、今回のキミは良く頑張ったよね!
お疲れ様でした。

でも、ここで終わりではないんだ、これからが最終仕上げでもあるんだよ。

今回件の、起承転結をキチット、ファイリングしておきましょう。
・最初の連絡受領
・原因の探求・究明の流れ
・対応の手配・・・・製造現場への原因追及要請、
          それに基附いた営業対応構築の工程
・お客様への謝罪内容
・お客様の真意の打診・確認
(ごくまれに輸送上のトラブルでお客様手配業者責の要因が
 含まれることがあったりします。)
・問題解決の為にとった対応方法の考慮及び実行の過程
・問題解決の為の具体的なアクション
(代替部品製造で解決したか?正規品を新たに制作して解決したか?など)
・損金算出

様々なことをこなしてきましたね。改めてご苦労様でした。
これらのことは、解決したから「オシマイ」ではないんです。
解決への道のりをキチット何らかの方法で残しておきましょう。

この資料はクレームが発生したときの対応マニュアルだけではないんだ。
クレームが起きないためのマニュアルでもあるんですよ。
 

13、クレーム対応はトップ(部門長)の最重要任務。

ここまでは、クレームに直面した若いキミ達への応援歌でした。
最後の項では上司の方々への応援歌とさせて頂きます。

上司の方々にとっても、経験はお有りですね?若き日の武勇伝?
体験談?そんなときのあなたの上司の対応は如何でしたか?
親身になってなりふり構わずあなたを助けてくれた上司。
先ず、責任逃れをして逃げてしまった上司。
どちらの上司を尊敬しましたか?
モチロン、前者の上司ですね?

経験を重ねたあなただからこそ、対応でき、助言できることがあるはです。立場的に忙しくて、なかなか余裕も生まれないでしょう。
だからこそ上司であるわけなんですけれども。

若い部下を助けてやりましょうよ。
時には先頭に立ち、時には陰になり助けてやりましょう。
会社のためでもあります。
しかしながら人材が最強の武器である組織の行く末を考えれば
教育の機会でもありますね。
ですからこそ、最重要任務と心得て対応しましょうよ。

会社組織のことはモチロンですけれども、
お客さまの気持ちを忘れずに対応しましょう。
宜しくお願いいたします。
 
PS;あなたのデスクの引き出しの奥に「胃薬」が忍ばせてあることを
 部下は知る由もありません。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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