2年間のイギリス生活を終えて
2年に渡るイギリスでのワーキングホリデー(YMS)を終え、無事実家に帰ってきました。(そして何もしないまま一週間が過ぎました。)
信州の山並みは相変わらず美しく雄大で、初夏の緑と時折の雨の香りも、私の中の記憶を刺激します。
やっぱり、日本は、地元は、実家は良いところだ…!
あまりに静かで平和な周囲の様子に、実は長い夢でも見ていて、自分の時間は2年前から変わっていないのではないかと錯覚します。
私はまだ29歳なんじゃないかと。
ただ残念なことに、現実は31歳。
(アラサーと主張できるのは何歳まで?)
同い年の友人たちはおろか後輩たちもどんどん結婚し、元職場の同期たちも順当に職位を上げています。
親戚や近所の子供たちも知らぬ間に大きくなっており、本当に2年間経ってしまったのだという現実を突きつけられているところです。
イギリス生活で得たもの
では、いつの間にか過ぎていた2年間で、私は一体何を得ることが出来たのでしょうか?
自分自身のためにも少し振り返ってみようと思います。
英語
ほとんど話せない状態からのスタートでしたが、2年間である程度意思の疎通はできるようになり、海外を旅行する分には困らないくらいの英語力に至ったと思います。
しかし、まだまだネイティブの発する英語は聞き取れないことも多く、自分の意見や考え等をスムーズに話すこともできません。
仕事で英語使いたいと考えたときには、まだまだ全然なレベルです。
それでも2年間英語環境にいたわけなので、英語を使う人の感覚というのか文化というのか、「生きた英語力」的な部分は、日本でテキストや動画で英語学習をするよりも、よっぽど成長したと思います。
ただし、ブリティッシュなイングリッシュなので、多少独特な部分はあるかと思います。
考え方の幅
以前にも書いた通り、自分の価値観や考え方の軸は、イギリス渡航前とほとんど変わっていないと思っています。
ただ、さまざまな国籍、人種、宗教、ジェンダー等、一人一人が違うたくさんの人たちに出会え、いろいろな価値観や考え方を吸収できたおかげで、自分の中の価値観や考え方の幅が大きく広がりました。
私の中に「日本人」のみならず「アジア人」というアイデンティティを発見したこと、
大人になっても変わらず仲良のよいイギリス人の家族に、満ち溢れる愛を見たこと、
キリスト教のみならず、イスラム教やヒンドゥー教、シク教などの文化を垣間見たこと、
ゲイやトランスジェンダーの人たちが自分を隠さず堂々としていることに衝撃を受けたこと、
などなど、例を挙げるとキリがありません。
日本(の特に地方では)触れることの少ない、圧倒的多様性に触れて、揉まれて、視野が広くなったのは間違いないです。
友人
語学学校、シェアハウス、職場、それから言語交換グループで出会った友人たち。
チェスターという小さな街にも関わらず、出会えた人の数は2年間で、世界約50の国と地域から200人以上!
当然このうち仲の良い友人はごく少数ではありますが、関りが少なかった人でもインスタグラム等のSNSでつながっており、世界各地で活躍する友人たちの様子をうかがい知ることができます。
また同時に、地元の様子を世界に発信することもできちゃいますね。笑
日本の再発見
海外で過ごしていると、少なからず日本という国や日本の文化について聞かれる機会があります。
質問の内容は多種多様で、様々な角度から、自分の知らないことや、今まで考えもしなかったことを聞かれたりして、面を食らうことがたびたびありました。
「次に同じ質問が来た時には、ちゃんと答えられるようにしよう」
と思って、その都度調べたりしていると、自然と今まで知らなかった日本という国の一面や、日本文化のすばらしさに気付くことが出来ます。
中には、今までの自分の認識が間違っていた、なんてものもありました。笑
イギリスに渡るまで29年間日本で過ごしていたわけですが、自分が住む国について、これっぽっちも知らなかったんだな~と実感させられます。
私は「日本」を学ぶにつれ、日本のことがより好きになりましたし、同時に日本の社会が抱える課題も多く見えてきました。
このことは、私の人生にとって、かなり大きな意味を持つことになりそうです。
イギリス生活で失ったもの
健康
少なくとも、目が悪くなり、虫歯が増え、慢性的な腰痛持ちになりました。笑
私の主なイギリスでの情報収集手段は、スマホによるものだったので、単純にスマホの画面の見過ぎで目が悪くなりました。
歯も、きっとイギリスの甘いお菓子の食べ過ぎによるものでしょう。
腰は、シェアハウスの自分の部屋のベッドのマットレスが合わなかったのと、仕事柄、力仕事をそれなりにしたことも一つの理由だと思われます。
あと、全然運動をしていなかったので、圧倒的な運動不足も挙げられます。
まぁ、これらはただの言い分けであって、もっと自分が節度のある生活をしていれば、ここまで健康を害することはなかったかもしれません…。
日本における社会的信用と将来の金銭的利益
イギリスでは、仕事をしていなくても「日本人」というアイデンティティがありましたし、「Career Break」という言葉を使うこともできました。
が、日本に帰国した私に残されたアイデンティティ、それは…
そう、無職!
地方公務員だった過去と比較すると、確実に社会的信用を失っています。
収入もないため、もっとも身近な部分でいうと、婚活市場で圧倒的不利(!?)
世の中残酷ですなー
あと、もうひとつ。
日本の雇用制度、特に公務員制度は、終身雇用を前提に作られています。
そのため、勤続が長ければ長いほど、受け取れる報奨(年功序列型の給与、退職金、年金)が多いわけです。
が、私はそれを放棄したうえ、2年間の空白を作ってしまったわけです。
これを損したと考えるか、投資と考えるか…
公務員、社会人としてのスキル
私の場合、イギリスの仕事はオフィスジョブではなかったため、パソコン等に触れる機会が少なく、ワードやエクセル(特に関数)等の使い方を忘れてしまったと思います。笑
あとは、日本の組織の中で2年間順当に働いていれば習得できたであろうスキルも得る機会を失っているわけです。
よく言われるようにワーキングホリデー自体も「ホリデー」と名前が付くとおり、就活市場においては「遊んでいた期間」と捉えられる場合もあるようです。
英語を学んだとは言え、これらを挽回することが出来るのかどうか、この先「不安がない」というと嘘になります。
若い人にワーキングホリデーや海外留学を勧めるかどうか…?
さて、私の経験から、私と同世代又はさらに若い人たちに「ワーキングホリデー」や「海外留学」を勧めるかどうか、という点について、私個人の意見を申し上げたいと思います。
結論から言うと、「是非とも行くべき」だと思います。
"経験"は魅力的な人間をつくる!
若い時の時間というのは大変貴重なもので、かつ、この時期の経験は人間を作ります。
私は大学生くらいの頃から何度も
「何事も経験だよ」
という言葉を聞いてきました。
当初は「ふーん、そうだよなー」くらいにしか思ってませんでしたが、今ならこういうことを言う大人の気持ちがよくわかります。
経験は、言葉に説得力を持たせます。
極端な例ですが、人づてに聞いた話を他人に教えるのと、その人が実際に経験したことを他人に教えるのとでは、どちらの方が説得力があるでしょうか?
私は圧倒的に後者だと思っています。
聞き手にとっては発信者が誰だかわからない情報を教えられるよりも、話し手の人が実際に見て、聞いて、触れて、「本当」だと信じたことを教えられる方が、よっぽど納得しやすいと思います。
さらに、他人と違う経験をもとにした話は、単純に面白さも伴います。
面白い話を説得力のある形で話すことが出来たら、それだけでもちょっと魅力的な人になれると思いませんか?
自分の選択に責任を持つ!
もちろん、上記で挙げたように、ワーキングホリデーへ行くことは良いことばかりではなく、それなりに失うものもあります。
単純にお金がかかるだけでなく、日本でのキャリアや、結婚や出産といった人生の中での大きなイベントに影響が及ぶかもしれません。
それから海外は必ずしも快適だとは限りません。
公共交通機関も日本ほど時間に正確に運行されている国はそうそうありませんし、健康に異常があったときも満足に病院にかかれる保証もありません。
日本語でやりとりするのでさえ面倒な不動産や雇用におけるトラブルも、現地の言語で解決しなければいけないうえ、トラブルの発生頻度も日本と比較すると圧倒的に高いと思っていた方が良いでしょう。
それでも、こうしたリスクを理解したうえで、自分の選択や決断に自分で責任をもてる覚悟であれば、是非とも海外に飛び出してほしいと思います!
海外でのトラブルやアクシデントも、後々になってしまえば笑い話になるかもしれませんし、日本がどれほど快適で素晴らしい国かよくわかるはずです。
リスクをとるからこそ「挽回しなければ!」という気持ちで必死に生き、吸収できるものや得るものもいっぱいあることでしょう。(背水の陣的な。)
自分だけの"宝もの"を手に入れることが出来る!
私自身、この2年間で多くのものを失いましたし、仕事を辞めて海外に出てしまえば、私には「何をすることも出来ない」ということも大いに思い知らされました。
それでも、これを経験したからこそ失ったもの以上に、私の人生において大切なものを得ることが出来ました。
他の誰とも違う、私だけの人生です…!
最初の一歩を踏み出すことはとても勇気がいることかもしれませんが、一歩踏み出した先に素晴らしい経験が待っているはずです!
一度きりの人生です。海外にチャレンジしたいと思った方は、是非とも積極的にチャレンジしてみてほしいと思います!(背中は押すけど責任は負いません。)
おわりに
思うような海外生活を送ることが出来たわけではありませんが、それなりに満足のいく2年間を過ごすことが出来ました。
ひとまず、これで私のワーキングホリデーはおしまい、一端区切りになります。
まずは、ここまで私のnoteを読んでくださった皆さま、応援をしてくださった皆さまに、お礼を申し上げたいと思います。
noteのアクセス数が伸びる様子や、スキをしていただいたり、あたたかいコメントをいただいたりしたことは、イギリス生活の中における私の一つの楽しみであり、どんよりとした気分の時も、大きな励みになりました!
皆さま、ここまで本当にありがとうございました!
ただ、これで終わりかと言うとそうではありません。
私の旅路はまだまだ道半ば。
すでにご存じのみなさんも多いかと思いますが、9月にまたイギリスに戻る予定です。
それまで3か月ちょっと、日本で時間があるわけなので、つかの間の日本を思いっきり楽しみつつ、noteの記事もぼちぼち書いていきたいと思います。
今後とも引き続き、あかざわnoteをよろしくお願いします!!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?