マガジンのカバー画像

TANKA

70
現代短歌。過去や現在や未来のことを文字にする。漫然とだらだら書きたくなかったので、「素材:キャンバスにアクリル絵具」のような括りを文字の表現にも設けたいと思った。
運営しているクリエイター

2021年12月の記事一覧

2021年現代短歌まとめ③

2021年現代短歌まとめ③

今年の現代短歌まとめ第3弾。

拾い集めた破片をアッシュブルーの空に並べれば寂しい音色
幸せが何かなど探し回るのはダサい突き離して夢を追え
神様に一つお願いをするのならこの私に体力をください
君を逃したのは悪魔の手かそれとも私の心のずっと奥か
お星さまお願い私を照らしてください明るすぎない光で
この青のような青でないような色彩が君みたいそんな気がして
描けども書けども現実はどうにもなってなくて心が

もっとみる
2021年現代短歌まとめ②

2021年現代短歌まとめ②

今年の現代短歌まとめ第2弾。

緩やかに軽い頭痛と雨垂れが過ぎ去って行く日々の言伝
何度でも間違い電話で構わない耳元に咲くミモザの花よ
関係に以上も無ければ以下も無くもどかしさだけが宙に浮かんで
この花を育てた私は愚か者そのまま待つのか枯れてしまうまで
オルゴール回して流れる星の数かぞえて祈るあなたの無事を
推測で生んだ不幸に共感を集めて売れても虚しいだけさ
毛糸玉小さくなるのを目で追って編み込ま

もっとみる
2021年現代短歌まとめ①

2021年現代短歌まとめ①

今年の現代短歌まとめ第1弾。

スコールで地が固まらずどうしようグラスに雨雲うかべた過去よ
太陽が西からのぼるそんな日はメロンソーダを逆立ちで飲み
甘噛みがいつしか夜を突き抜けて明るい日が差す望み持ち続け
アネモネの花々に添えたメッセージ読むな気付くな読んで気付いて
花びらが散る頃にもまだ降り注ぐ紙吹雪のよう気まぐれな言葉
セロハンで止めた口から見えるのは定形外と格闘する君
夜風から浮かび上がった

もっとみる
現代短歌 《私はここで》

現代短歌 《私はここで》

次会えるのはいつでしょうかコップの縁をなぞりながらああ遠いな

空が暗くなり星がこぼれ落ちそうでも私はここであなた待つ

お願いよ夢を消さないで誰かの灯した炎ゆらめくのを眺め

誰だって何にだってなれるさ全ては自分次第風を受けて

書くあての無いいつかの手紙のために綺麗な便箋を手に取る

脳内栽培した野菜をそろそろ収穫君に会える気がして

優しい嘘つかれるくらいなら君の手で壊して捨ててしまえよ

もっとみる
現代短歌 《君と出会ってから》

現代短歌 《君と出会ってから》

違う同士違うまま仲良くなりたいよ僕らの好きな空の下

それが君の決めた道なら止めはしないさ私は私の道を行く

君と出会ってから僕の胸の中は輝く星で溢れているよ

遠くでもこの青空が繋がっていたらいいあなたのところまで

君に好かれたくて君に見合う人になりたくて目を腫らして泣く

私たちもう十分に大人で懲りず夢を追い続ける大人で

呪文は口に出したら消える心の奥で唱えるくらいがいい

願いが叶うキャ

もっとみる
現代短歌 《雪の中》

現代短歌 《雪の中》

SNS次々現る「完璧な」ヴィジュアルにうろたえる朝

知らぬ間に手を引き私を連れて行くあなたは気づいているのでしょうか

果てしない欲望の海に引きずりこまれるのを誰も助けるな

覚えているんだね色々な事を色々な時を君のその目で

君の人生のほんの一部に私はなれますかなってもいいですか

声が枯れるまで叫べばこの想いは届くのかどこまで届くのか

知りたいと思えば思うほど遠くなっていく記憶の片隅で

もっとみる