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TANKA

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現代短歌。過去や現在や未来のことを文字にする。漫然とだらだら書きたくなかったので、「素材:キャンバスにアクリル絵具」のような括りを文字の表現にも設けたいと思った。
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2021年7月の記事一覧

現代短歌 《大空はどこまで》

現代短歌 《大空はどこまで》

避けていたあの空へ続く通り道あなたの瞳の奥底にある

万華鏡記憶くるくる遠ざかり明日を描いた夢うつつでも

雨宿りいつまで続くざあざあと降れども何も流してはくれぬ

虹の橋いつの間にできた庭先にあの一言を今すぐに消せ

少しでも期待した私愚か者君のささやき小鳥のはばたき

理解など他人は到底できぬのだ鏡の前で夢語るとき

好きにしろ綺麗なものだけ見ていれば何も進まぬ止まった時計

閉じ込めた理想の

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現代短歌 《袋の中身》

現代短歌 《袋の中身》

待ち合わせあなたは遅れてくるでしょうそれでも待つのが嫌いじゃなくて

遠い目が琥珀のように輝いて寂しさの色じわり浮き上がる

虚しさとあの場所に流れた空気涙とともに消えずに残る

紙袋ぶっきらぼうに渡されて目の前にきらり星が瞬く

「開けてみて」優しい声で言う君は誰にでもそうするのだろうか

ピンバッジきみの絵に似ていたからと受け取り左胸に落ちたまま

筆圧が高いわたしにくれたのは透かして見えぬこ

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