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桑田佳祐『ごはん味噌汁海苔お漬物卵焼き feat. 梅干し』からビジネス視点で学ぶヒットの仕掛け

レコチョクはダウンロードやストリーミング(いわゆるサブスク)といった音楽配信サービスが主力事業なので、ヒット曲やバズっている曲の情報がとても身近です◎

元々いま流行っている音楽を知りたくってランキングは小まめにチェックする方だったんですが、音楽に関わる仕事をするようになってからランキングを見る目線がちょっと変わった気がする。。

そんな訳で今回は、レコチョクが運営する音楽配信サービスのランキングから、仕事にも応用できそうなヒットの仕掛けを、ゆるりなりに考察してみました!

2021年9月度ランキングで私が注目したのは、
レコチョク「アルバムダウンロードランキング」1位の桑田佳祐/『ごはん味噌汁海苔お漬物卵焼き feat. 梅干し』です!

※ダウンロードストアの「レコチョク」・定額制音楽配信サービスの「dヒッツ」の2021年9月度ランキングを記事の最後の方に掲載しています~

桑田佳祐なんて呼び捨てできないので、これ以降は敬意と親しみを込めて桑田さんと書かせていただきます✨

仕掛け1.コンセプトがストレートに表現されたアルバムタイトル

『ごはん味噌汁海苔お漬物卵焼き feat. 梅干し』
タイトルだけでよだれが出てきそうです。笑

ぱっと見では桑田さんらしい遊び心が満載だなあって思っちゃいますが、コンセプトを考えてみると「なるほど!」って目からウロコ。

今回は6曲構成のEP(ミニアルバム)なんですが、タイトルも和食の定番6品で構成されています。健康的な献立だなあ。笑
朝食感は強めだけど、お昼のお弁当でも、疲れて帰った日の遅めの夕食でも。“ごはん味噌汁海苔お漬物卵焼き梅干し”のお膳があれば満足感や安らぎを与えてくれる。
そんなチョイスですよね?

梅干しは苦手な人もいるかもだから、“feat. 梅干し”ってところに愛情を感じる。。

そんな日本人なら誰もが懐かしさや親しみを感じるお膳のように、全世代に愛される桑田さん至極のポップスを詰め込みましたというコンセプトが表現されたタイトルになっているんです。

ROCKIN'ON JAPANの記事ではさすがの語彙力でこう表現されていました。

これは桑田佳祐が理想とする日本人の食事のメニューである。このメニューのすごさは、何が好きで何が嫌いといったレベルを超えた究極感というか定番感があるところだ。もはや日本人のDNAがそのまま食事という形になっているといっていいかもしれない。
ROCKIN'ON JAPAN


普段、企画を考える時にコンセプトってめちゃくちゃ重要だなと思っていて・・
自分の頭の中にあるイメージを、他の人も同じようにイメージできるように言語化することがコンセプト には必要だと思うんです。
なので、誰が見ても「あ~あの感じね」ってなる共通項を見つけて、キャッチーで分かりやすい言葉で表現されている『ごはん味噌汁海苔お漬物卵焼き feat. 梅干し』というタイトル・・すごい!
日本人にとって共通理解のある言葉がコンセプトには必要だなと学びました。

仕掛け2.リリース前から耳馴染みのある楽曲の多さ

収録曲6曲のうち4曲がリリース前からTVでも色んな所で流れてました。
放映が開始される度にニュースになっていたり、「SMILE~晴れ渡る空のように~」はこの夏に何度も耳にしましたよね・・
サビが流れると感動も一緒に蘇ります。

[収録曲]
01.Soulコブラツイスト~魂の悶絶
※ユニクロ「ジーンズ」TVCMソング / Netflix映画『浅草キッド』主題歌
02.さすらいのRIDER
03.SMILE~晴れ渡る空のように~

※民放共同企画「一緒にやろう」応援ソング
04.金目鯛の煮つけ
※SOMPOグループ TVCMソング
05.炎の聖歌隊 [Choir(クワイア)]
※SUBARU 新型「フォレスター」TVCMソング
06.鬼灯(ほおずき)
https://special.southernallstars.jp/kuwata2021/

桑田さんの熱心なファンじゃなかったとしても、どこかで必ず耳にしてきた楽曲のオンパレードでまさに究極のポップス。
SNS発のヒットが注目されていたり、若者のテレビ離れと言われ続けている昨今ですが・・やっぱりテレビの力ってまだまだあるよなーと思わされます。

ここからの学びは・・
マスメディアで一律に一方的に発信するコミュニケーションだけでは成立しにくい時代になっちゃったことは間違いないけど、しっかりとした土台があれば、それをマスメディアが拡張させるという役割は健在だなあと思います。

“しっかりとした土台がある”
まだまだ知られていない商品やサービスにとっては先ずここからだけど💦

仕掛け3.コアファンの探求心に応える

今回、色々と調べる中で知ったのですが、桑田さんは2020年1月から今年4月に「週刊文春」でエッセイを連載されていたんですね。

更に、EPリリース翌月の10月8日には連載のエッセイを書籍化して「ポップス歌手の耐えられない軽さ」を単行本と電子書籍で発売されています。

文春オンラインに掲載されているインタビューでお話しされているように、ミニアルバムに収録された楽曲の制作と並行してエッセイの執筆もされていたそうです。

今回のミニアルバムに収めた曲の多くは連載と並行してつくっていたものになりますけど、原稿の執筆は曲作りにも大きく影響を及ぼしました。
自分はどんな音楽が好きなのか、受け入れられないものは何なのか……。書きながら考えたいろんな事柄が、サウンドや歌詞の土台になっていきましたから。
原稿にしたためたお名前は日本の音楽人なら筒美京平さん、藤圭子さん、浅川マキさん、内山田洋とクール・ファイブなどなど、昔から僕がずっと憧れてきた人たちばかり。そう、オールタイムベストの「日本の三大名曲(ポップス)」を考えたりもしてみましたね。
文春オンライン

桑田さんのコアファンの方々なら、このエッセイを読んでいらっしゃった方々も多いと思います。

連載時はその時々で色々な想いを受け取って読まれていたんじゃないかと思うんですが、EPリリース後に楽曲とエッセイの繋がりが明かされる!
これはもう、エッセイを読み返して、楽曲を何度も何度も聴いて繋がりを紐解きたくなるに違いない。笑
リリースタイミングでこんなにも奥深い種明かしをしてくれる桑田さんファンの方々は幸せだろうなーと思いました◎

私自身に置き換えてみてもそうだな~と思います。
そのアーティストが好きだから、そのアーティストがどんな想いを持ってこの楽曲を生み出したのか、何が影響して作品という形に反映されているのか、そういう事を知りたくなって探求しちゃうのがファン心理じゃないですか?

ビジネス視点で考えるとちょっと堅苦しくなるけど・・
自社のサービスや商品を利用してくれている顧客の気持ちに寄り沿った施策展開や、点ではなく線になっている施策展開みたいな考え方に応用できそう!

こんな感じでなんでも考察しちゃう私ですが・・
ビジネス視点でランキングから学ぶって色んな気づきがあって面白かったです!


最後に2021年9月度ランキングを載せときます!

【レコチョク】2021年9月度ランキング
●シングルダウンロードランキング
1位 「大正浪漫」YOASOBI
2位 「Cry Baby」Official髭男dism
3位 「HADASHi NO STEP」LiSA
4位 「水平線」back number
5位 「Soulコブラツイスト~魂の悶絶」桑田 佳祐

●アルバムダウンロードランキング
1位 『ごはん味噌汁海苔お漬物卵焼き feat. 梅干し』桑田 佳祐
2位 『Editorial』Official髭男dism
3位 『君に叱られた (Special Edition)』乃木坂46
4位 『We Just Go Hard feat. AK-69 / EUPHORIA』KAT-TUN
5位 『THE BOOK』YOASOBI

レコチョクサービスサイト


【dヒッツ】2021年9月度ランキング
●アーティストランキング
1位 YOASOBI
2位 Official髭男dism
3位 BTS
4位 ZARD
5位 back number

●楽曲再生回数ランキング
1位 「Cry Baby」Official髭男dism
2位 「ドライフラワー」優里
3位 「水平線」back number
4位 「Butter」BTS
5位 「Permission to Dance」BTS

●プレイリスト再生回数ランキング
1位 ZARD
2位 YOASOBI
3位 ZARD −ドラマ主題歌・挿入歌編−
4位 BTS
5位 Official髭男dism

ランキング発表プレスリリース
dヒッツサービスサイト

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