見出し画像

【運動指導①】 そもそも疲れていて運動する気になれない | 理学療法士が解説

こんにちは。
大学院で学んだ公衆衛生・予防医療の知識を元に、健康的な社会を作りたい理学療法士のジローです。

コロナが5類になって以降、様々な院外活動が再開になり、地域の健康フォーラムで講話をしてきました。

その中で、最後にQ & Aのコーナーがありました。

実際に質問された内容に対して、その場で答えた私なりの答えを文章化しました。Q & Aコーナーで出るような生の声が、実際に地域の人が聞きたい内容だと思ったので情報を共有します。

理学療法士=運動のプロとしての視点からお答えしています。


‖  ケース1、疲れていて運動する気になどなれない


私の夫は肥満があり、ついに糖尿病と言われてしまいました。

ストレスが多い仕事で、いつも疲れています。仕事の付き合いの外食も多いです。

私も、夫に対して運動をするように言っているのですが、疲れてそれどころではないと、いつも家でゴロゴロしています。

最近は、お酒も、タバコも増えたように感じます。
運動できるのでしょうか?


‖  ジローの答え



①運動の効果について


まず、会場の皆様と共有しておきたい事があります。

それは、運動の効果についてです。

皆さんは、運動にどのような効果があると認識されているでしょうか?

運動をするということは、このケースでは、短期的・長期的に血糖値のコントロールがよくなることや、肥満が解消され血圧も下がるなどの効果があるでしょう。糖尿病に関連した疾病予防に役立ちます。

もう一つ、運動をすると

「集中力が増す」
「気持ちが晴れやかになる」
「不安やストレスが軽減する」
「記憶力が向上する」

などの、副次的な良い効果が知られています。

この方は、非常にストレスが多い仕事のようなので、運動のカラダへの健康的な側面だけでなく、
脳や精神面に対するメリットにも目を向けてみると良いと思います。

運動自体がストレスを減らしますし、運動の効果が出てくると、次第に運動に害になる、お酒やタバコの量が減ってくる可能性があります。


②疲労について(運動開始前に確認すること)


本題の、疲労の事です。

私たちが、一番最初に確認することは、その人にとって運動を指導して良いのかということです。

運動をすることで余計に体を悪くしないかを確認します。

異常な疲労が、糖尿病によるものかもしれませんし、
診断されていない他の疾患の可能性がないのか、

一度医師の診察を受けて糖尿病以外には、隠れた不整脈や関節の異常が無いかを確認することをお勧めします。

特に指摘がなければ、運動の指導を開始します。


③疲労に対する運動の考え方


疲れて帰ってきて、余計に疲れる運動しましょうと言っても運動をしたくないですよね。

一度、疲労をリセットするために、夜の飲み会を一度断って、早く寝てみてはいかがでしょうか。

身体がスッキリすると、自然に動きたくなるものです。

また、考え方としては、疲れが取れたら運動を開始してみようと思うかもしれませんが、運動は、良質な睡眠を促進する助けとなります。

疲れるから運動をしたくないと言うマインドから、
疲れていても汗をかく程度の運動を思い切って始めることで、その日にしっかり寝られるかもしれません。

長期的には睡眠のリズムが整い、深い眠りを得ることで、疲労やストレスが減るかもしれません。



↓過去記事
飲み会が断れない人へのアサーショントレーニングのすすめ


④健康的な生活にするために何から始める?


お酒、タバコなど、不健康とわかっていても、やめにくいけど楽しい・魅力的な習慣を制御するのには、ものすごく気持ち的な負荷が高いということが知られています。

一度に多くのものを止めさせると、負荷が大きすぎて、反発心が強くなります。そのため、一つずつ、時間をかけて一つずつ問題行動を減らしていくことが重要です。

「完全に健康的な生活」というのは、何となく味気ないものです。どこは譲れないというラインを、医療者側、患者本人、家族などを交えて、よく話し合って目指すゴールを設定しその中に運動を取り入れていくと良いと考えます。

先にも情報共有しましたとおり、運動はストレスを減らす効果もありますので、全体的な行動変容を促すことのファーストチョイスとして使用できる有効な手段と考えています。


‖  まとめと感想


地域の活動では、思いがけない質問が飛んでくることもありますが、できるだけ専門家っぽい答えができるように、日々自己研鑽しています。

スラスラ答えられたわけではありませんが、上記の内容をお答えさせていただきました。

一度答えた内容を、noteで再度文章にしてみることで、学びが深まりました。

様々な人の考えを読んだり、聞いたりすることで、自分なりの答えが醸成されていくと思いましたので、私なりの意見・答えを共有させていただきました!





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?