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糖尿病の生活指導に活かすSDHの知識④「社会的圧力とその対処法(アサーション・トレーニング)」

こんにちは。
健康的な社会を作りたい理学療法士のジローです。
普段はリハビリの現場から、主に3次予防に関わっていますが、「生活を改める」って、とても難しいですよね。

指導の難しさの根本に、「健康の受け取り手は、不平等な状態に置かれている」といったSDHの知識なしには、画一的な指導になりがちで、なかなか効果が得られません。

今回は、糖尿病をモデルに、社会的圧力がどのように糖尿病の指導のコントロールに影響するか、そしてその対処法として、行動療法の一環である「アサーショントレーニング」について記載しました。


SDHのおさらいですが、以下になります。


今回は、社会的圧力についてです。

Aさんは、医師から度々食事習慣を改めるように指導を受けていますが、改善の兆しがありません。

一年前に配属が変わった時からの上司との関係上、外食を断りきれず、昼食は上司の好きな濃い味の外食ばかりになり、仕事終わりにも、ミーティングや打ち上げと称した飲み会が開かれることがしばしばです。まだ、部署が変わったばかりですし、何せ、この上司の機嫌を損なうと大変。昇進に関わります。

このように上下の関係に挟まれているような、圧力を受けている場合は、このケースに関わらず多く存在すると思います。


糖尿病患者Aさんへの従来の指導

Aさんのような方に、単純に「薄味にしましょう」「外食は控えましょう」と言っても、達成が可能でしょうか?

「原因の原因を考えた指導」ということで、話を伺っているうちに、仕事の事、上司の事が浮かび上がってきました。

「あなたの健康のために、上司とは縁を切りましょう」「仕事と健康どちらが大切ですか」「部署を変更してもらっては?」

これも、医療者がここまでを言える立場にはありません。


圧力を上手くかわす、アサーショントレーニングとは

「社会的圧力はあるもの」として、
①それに完全に服従してしまう人
②力強く跳ね返してしまう人
③するっとスルーする人
の3種類が考えられます。特に立場的に弱い人や、口下手で上手く伝えられない人は、圧力を最大にくらってしまいます。

③の考え方に近い、人間関係を壊さずに、言うべきは言う、でも相手に嫌な気持ちにさせないといったコミュニケーションを獲得する、アサーショントレーニングを紹介します。

実際のロールプレイや、このように言われたら、このように切り返すなどを事前に考えておけると良いですね。

もちろん、あまりに圧が酷すぎて、他に健康問題が出過ぎている人は、社会的圧を受けにくい部署、仕事への転職・異動もアリですよーと教えてあげて下さい。ストレスが溜まりすぎて、目先の事(この上司とどのように上手くやっていこうか?怒らせないためにはどうしようか?)しか考えられなくなっている可能性もありますので。


↓目の前の事しか見えない、トンネリングについて

患者さんと、しっかり話し合って背景を知ることで、より良い解決策が見つかると確信しています。


まとめ

社会的圧力があると、健康的な行動をとろうと努力しても阻害されてしまうおそれがある。

社会的圧力を回避したくとも、立場が弱い人や、口下手である人は、特に回避が難しい。

このような場合、相手の立場に配慮しながら、自分の気持ちを伝える練習:アサーショントレーニングが役立つ可能性がある。


今回も、記事に目を通していただきありがとうございました。
今回は、糖尿病シリーズで、この社会的圧力を取り上げましたが、実際に仕事で圧力を受けまくっている人が、たくさん居るのだろうと想像しています(過去に実際の患者さんからたくさん事例を聞きました。大変な職場ばかりです)。

全体の社会が閉塞的で、仕事もキツいところは、とことんキツい、あまり優しくない社会のように思っているので、少しずつでも変わっていけば良いのですが。

産業保健や職場の衛生管理などについても、そのうち記事にしようと思います。引き続き、よろしくお願い致します。




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