パレード
まだ、誰も僕を見つけてはいない。
極彩色の紙吹雪
ステキに陽気な音楽
溢れんばかりの歓声
ここが世界中のどこよりも
醜い闇を映し出す鏡であることを
僕は誰よりも知っている。
まだ、誰も僕を見つけてはいない。
キャンディをねだる子供たち
バルーンを配るピエロ
顔を赤らめた飲んだくれ達
喩え神様が読み飽きたシナリオでも
何も知らない哀れな役者は
台本通りの幸せを演じている。
まだ、誰も僕を見つけてはいない。
ぱぁあんと何かが弾ける音
馴染みのない異様な香り
踏みつけられた古いチケット
唐突に終わってしまったお芝居に
誰もがただただ目を見張り
夢か現か狼狽えている。
もう、誰も僕を見つけてはくれない。
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