第10回 某転職エージェント担当者と私_模範編
Rエージェントを利用して担当ガチャで外れを引き、1件も内定を得られずに終了したのは前回の話。次はRエージェントの利用を勧めておきながら、ちゃっかり自分のところから紹介を決めた転職エージェントの話。(いや、神です…)
何で登録しようと思ったかの記憶は定かでない
悲しいかな、何年も前のことで、登録経緯を覚えていない…歳か…歳のせいか…。
たぶん普通にネットで検索して、何となく良さそうだなと思って登録したのだろう。
この転職エージェントは外資系で、有名なのは人材紹介よりも派遣の方だろうか。
登録したところ、経歴を突っ込まれることもなく、直接会っての面談をすると言う。
こちらの転職エージェントに登録する以前に、名古屋(私は中部地方在住ではない)の中小転職エージェントを一瞬だけ利用したのだが、鬼滅の刃みたいな名前の、ぼそぼそ声で話すおじさんと電話面談をし、まさに使えないおじさんで不快な思いをしていた。
会って話を聞いてくれるというのは安心感が強い。
ここで私のスペックを簡単に開示しておこう。
短大卒、当時33歳、当時現職中3社目、正社員経験無し
当時の希望職種:販売、接客
Mエージェントは登録すらさせてくれない、どうしようもないスペックである。
丁寧なヒアリングとアドバイス…そして、匙投げ
面談担当はベテラン風格漂う紳士だった。Rエージェントの転職セミナーの講師のような感じである。
ゴミ経歴を見ても決して貶さず、丁寧に私の希望を聞いてくれた。
そして、希望職種がブラック多めだったりするので、変な企業の求人を案内されたりしないか?という不安を口にしたところ、
「うちは外資なのでクライアントの精査も厳しいんです。だから、いわゆるブラックと呼ばれるような案件を取り扱っていないんです。」
という、質の高いサービスを提供していることを毅然と話してくれた。彼は自分の会社に誇りを持ちながら仕事をしているであろうことが伝わってきた。
そして、面談終盤に言われたことが、
・35歳以上になったら、本当にもう経歴しか見てもらえないので、向こう1年間で何が何でも転職を決めましょう。
・Rエージェント使うと良いですよ。あそこが日本で一番持ってる案件が多いので。
この二つ、とても良いアドバイスに聞こえるが、裏を返すと、
・30歳過ぎて正社員の経歴無いのはヤバい。
・うちでは紹介できないと思うから、転職したいなら他も使って。
ということである。
面談以降、彼から連絡が入ることは無かった。
再度連絡が来たのは半年以上経ってから
_神戸 泣いて どうなるのか
捨てられた我身が みじめになるだけ_
捨てられている間に、Rエージェント担当者とのすったもんだがあったり、現職の仕事が繁忙期だったりで、捨てられたことは割と忘れ去っていたのだが、突然思い出したかのように、この外資系転職エージェントから求人が送られてくるようになった。
しかも求人を送ってくるのは、仙台からである。
私は仙台で面談をした記憶は無いし、東北地方在住でもない。
推測ではあるが、全国いくつかに拠点がある転職エージェントなので、
面談担当の紳士では手に負えなくて仙台(または手の空いているエリア)に私の情報飛ばす
↓
(仙台)手が空いたので「どうせ閑散期で暇だし、しょうがない、相手してやるか。」
この線が濃厚である。
色々調べてみると、面談担当の紳士の取材記事が出てきて、彼の本来の担当分野は建築系だったようで、販売や接客を希望している私のような人材は、そもそも相手にしていない可能性が高かった。
手が空いていて且つ販売や接客の案件に強い担当者に回したということなのかもしれない。
質の高すぎる求人と畏れ多くて応募できない私
「うちは外資なのでクライアントの精査も厳しいんです。だから、いわゆるブラックと呼ばれるような案件を取り扱っていないんです。」の言葉通り、送られてくる求人の質が高い……百貨店のショップの入口にガードマン立ってる系の求人が送られてくるのである。
穴が開くほど求人サイト見てるけど、そんな求人見たことねぇ…というのが送られてくる。
私のような低スペックにそんなハイスペック求人を送ってくれるのはとてもありがたいことなのだが、
…………働ける想像がつかない。受けても絶対落ちるだろうよ、これ。
と、2~3件送られてきた求人をすべてスルーしてしまった。
運命の求人と担当者との出会い
ゴミスペックにやっとの思いで求人をあてがっているのにスルーされたら、それは転職エージェント側も怒り心頭である。人として大変申し訳ないことをした。自分がやられる側になってからというもの、猛省している。
新しい求人と共に、「応募したくないならそれでも構わないので、理由等何でも良いので一言返信いただけませんか?」とメッセージが添えられてきた。
しぶしぶ返信どころか、「応募します!」と、即答の求人だった。
実は面談時に、第二希望として人材系の仕事を挙げていた。
30歳前後くらいで一度転職エージェントの仕事に応募しており、面接まで駒を進めたことがあった。(面接にて落選。)
__新規部署立ち上げによるスタートアップメンバー募集。正社員。経験不問。
全く聞いたこともない会社の求人だったが(笑)正社員で未経験でスタートアップの仕事に就けるなんて、そんな嬉しいことはない。
速攻返信をしたところ、すぐに新たな担当者から連絡が入った。
新担当Tさん(Rエージェントの担当と同姓)
皮肉なことに、Rエージェントの担当と同姓の方だった。
仙台支社の方なので、電話で再面談することになった。
声の感じ、話し方からしてベテランの方だろう。同じ電話面談でも、名古屋のおじさんやR社のT氏とは印象が全く異なる。
お察しの経歴なので、面談前からどう料理すれば良いだろうと頭を抱えていたとは思うが、Tさんが一言こう言ってくれた。
「直接お話してみて、長谷さんは話し方の雰囲気がとても良いと感じました。必ずどこか良い転職先があると思います。一緒に頑張りましょう。」
転職活動をしている中で、こんな励ましをしてくれる人は誰もいなかったので、泣きそうになった。
そして肝心の求人だが、なんと企業説明会と一次面接(集団面接)が5日後にあるという。
5日後だと…?休み取れないぜ……/(^o^)\オワタ
超人手不足で、ガチガチにシフトを組まれている環境で、いきなり一人休むと、全員のスケジュールが大きく狂うという仕事に就いていたので、100%採用になる保証のない転職活動のために突発休する勇気が無かった。
自分の将来を考えたら、絶対に仮病使ってでも休む一択なのだが。
この思考で転職活動が思うように進まない人は多い。
しかし、ここで一つ目の奇跡が起きる。
企業説明会の日が休みだった。
ここから怒涛の日々が始まる。
「添削したいので、明日までに履歴書と職務経歴書を提出してください。」
企業説明会&一次面接まで5日しかないのでタイトすぎるスケジュールである。
これを乗り越えないことには、どうしようもない。
よりによって遅番シフトから早番シフトの日またぎ。家に帰ってから出勤まで10時間。
寝ないで準備した。一睡もする余裕は無い。
朝、出勤前に提出。
昼過ぎには添削後の書類とメールが送られてきた。
「添削内容をお伝えしたいので、終業後にご連絡ください。」
夕方電話をし、添削内容についての説明を受けた。
目から鱗な添削内容
自分なりに履歴書や職務経歴書の書き方の勉強はしてきたのと、書類選考が通ったことは何度かあるので、添削されるとしたら志望動機や自己PR中心なんだろうなと思っていたが、全く違った。
履歴書が重点的に添削されていたのである。
これは完全に盲点だった。
非正規の経歴しか無い私の経歴を少しでも見栄え良くするための添削だった。
ぶっちゃけ経歴詐称ギリギリのラインを攻めている感じなのだが(笑)詐称にはならないことなので、物は言いようである。さすがだなぁと感心した。
志望動機と自己PRについては、こう言ってもらえた。
「とても文才があるなぁと感じました。直すところはありません。こちらで行きましょう。」
Tさんの的確なアドバイスと褒めて伸ばすスタンスが、私に自信を持たせてくれた。
ちなみに、面接対策については、中途採用で集団面接はレアケースであることから、細かい指導は無く、後はとにかく行ってらっしゃい状態だった(笑)
人生の運を使い果たしたかもしれない面接。そして内定。
企業説明会と一次の集団面接については、あり得ないことの連続だったので、これは別の機会に書こうと思う。
面接終了後に感想戦をするため、Tさんに連絡。
色々あってラッキーだったと言ったら、「そうですね。」と冷静に言われて、やっぱり自分の実力だけでどうにかなる経歴ではないよな…と痛感。
Rエージェントの時のようにダメ出しされることは無く、結果がわかり次第、改めて連絡します。ということで終話した。
翌日、昼休憩に電話が鳴った。
結果が出たという。
「内定です!おめでとうございます!」
あり得ないことの一つが、一次面接が集団面接だった場合、必ず二次面接があるもので、それが無く内定が出たということなのだが、これもまた色々あって、内定だという……マジか………!!!
「良かったですね、正社員ですよ!」
_10年以上に渡る私の氷河期が終わった瞬間。
その場で内定承諾し、Tさんに御礼を言った後、そのまま退職を告げに行った。
安心の後フォロー
内定通知書をもらって、待遇条件に間違いが無いか確認してから、会社に退職することを伝えてください。と、Tさんから言われていたのだが、私は自分を追い込むために、転職活動を始めた時から「決まり次第退職する」と会社に宣言していたので、内定が出た直後に「決まった―――――!!!」と言いに行った。※皆さんは決してマネしないでください
Tさんは入社までのフォローを確実に行ってくれて、不安要素が出るとその度に確認してくれたこともあり、入社に至るまで、大変スムーズに事が運んだ。
Tさんの対応については、求職者である私が対価を払ってもいいくらいだったと思っている。
Tさんと同じ仕事をしたら良い
こうして転職エージェントの仕事に未経験で転職したわけだが、お手本にすべき人を介して入社できたので、業務内容につまづくことが一切無かった。
「Tさんのように仕事をすれば良い」_これだけである。
Tさんという転職エージェントに出会えたことは、本当に大きな資産で、今もTさんのような転職エージェントであることを心掛けている。
「これからは同業ですけど(笑)頑張ってくださいね!」
__はい、頑張っています!!!
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