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第5回 ツケが回ってきたおじさんたち

東スポが希望退職者を募集というニュースが入ってきた。
私が大好きだったアーティストの薬物使用をすっぱ抜いたスポーツ紙を発行する会社である。
コロナ禍であらゆる企業がリストラを開始している。おじさんは年功序列で給与が高く、将来性が無いので真っ先に白羽の矢が立つ。
ついに氷河期世代のおじさんも該当する年齢になろうとしている。
同世代のおばさんという年齢域に突入した私も笑えない事態。

大企業から始まるリストラ

不景気になると始まるリストラ劇。
1980年代、国鉄の人員整理に始まり、1990年代のバブル崩壊、2000年代のリーマンショック、2020年代のコロナ…10年~20年周期で大きなリストラの波がやって来ている。
ニュースに上がりやすいのが大企業ということもあり、リストラされるのは大企業の社員という印象だが、中小企業はリストラする前に会社が逝ってしまうので話題に上らないだけである。

私の弟は辞めていなければ(そういえば最近連絡を取っていない)スーパーゼネコンで勤務しているのだが、赤字補填は社員の賞与カットで何とかなってしまうと言っていたのが印象的だった。
高給なので、賞与の額も大きく、賞与を出さないだけで相当額の費用が浮くわけである。
つまり、経営や運営に影響のないおじさんたちを丸っと切ってしまえば…?

肩を叩かれたら最後

会社は「解雇」としてのリストラをしてしまうと、会社都合での退職となり、色々面倒くさいことになるので、あくまで「自主的に退職を決めた」という体にしたい。そのため「希望退職募集」という形を取っている。

今回の東スポを例に挙げると、希望退職者の対象年齢は45歳~59歳、人数は160人。
社員数は約350人、100人切りが目標の様子なので、社員のおよそ1/3をリストラするという中々エグい内容である。

希望退職なんだから希望しなければ残れるんじゃね?と思われがちだが、実はこれ、ほぼ強制なのだ。
希望していないのに、粛々と退職へと導かれていく。

アウトプレースメント

最近覚えたカタカナを早速使ってみた。
希望退職者に該当するおじさんたちは、会社から今後についての案内をされる。
案内と言っても既定路線なので、もらえる退職金と再就職についての話くらいである。

会社はリストラして放置!というわけにはいかないので、再就職の相談窓口として、人材紹介会社や再就職支援を行っている機関に丸投げをする。
そういったリストラ組の再就職支援ビジネスのことをアウトプレースメントと言うそうだ。

年収半分以下の仕事が手ぐすね引いて待っています

リストラ対象のおじさんたちは、重要な役職についているわけでもなく、売上に貢献しているわけでもなく、人材育成に長けてもいないという、毒にも薬にもならない人達である。
勤続年数は長いだろうから、スルースキルが高かったり、忍耐力はあるのかもしれないが、日本はいまだに年功序列による昇給があり、会社への貢献度に対していかんせん給与が高い。(だから切りたい)
40代後半ともなると、健康や体力面の問題が発生している人もいるだろう。
じゃあそんな人達をこぞって採用したい会社が他にあるか?__あるわけがない。

リストラされたおじさんたちが就業できるのは、介護・警備・清掃の3つしかない。とアウトプレースメントに詳しい方が言っていた。
転職エージェントである私から見ると、介護はおじさん不要である施設が多いし(おばあちゃんたちは永遠の乙女なのだ。)介護職に馴染めるおじさんはほぼいない。清掃も若い世代の応募が増えている。清掃会社だって若くて体力のある人達に来てもらえた方が本望だろう。
となると、警備の一択ということになる。
しかもセコムとかアルソック系のかっこいい警備ではなく、交通警備である。
当然、警備も突き詰めれば奥が深い仕事であるし、大事な仕事だ。しかし、誰もが知る大企業に勤めていたおじさんが、その仕事にいきなりやりがいを持てるだろうか?雨が降ったり風が吹いたりの厳しい環境下での立ち仕事に耐えられるだろうか?

リストラされづらい人になる

東スポの話に戻ろう。東スポのリストラ対象者は160人だが、リストラ目標数値としては100人である。60人は切られずに済むかもしれない。その枠に入るには…

人間、若い時は優れていても、老化に抗うことなく努力もせず、いつの間にかできない人に仕上がってしまうことが多い。

昔、とある資格を取得しようと、セミナーを受けたことがある。
その時の講師が私の勤務先を見て「もしかして○○さんっていう方いらっしゃる?」と声をかけてきた。
確かにその○○さんは会社に存在し、まさに使えないおじさんの代表格のような人だった。
しかし講師はこう言う「昔一緒に働いていたことがありまして。○○さんが私の先輩なんですけどね、それはもう大変優秀な営業マンで…」
何の冗談だろうと思った。
昭和の時代、紙に電卓で計算していた頃は、あのおじさんも優秀だったのか。
では、おじさんが凋落していった原因は…?
…彼はPCの導入についていけなかった…いや、ついていく努力をしなかったのである。

東野幸治が岡村隆史の女性蔑視発言の時に「アップデートしないといけない(マストの意)」と言っていた。(幻ラジオ…あっホンモノラジオに昇格してる!)
おじさんだから、おばさんだから、できない、しない。は許されない時代なのだ。

正直アップデートをおじさんやおばさんと呼ばれる年齢になってから取り組むのはかなりきつい。しんどい。どうしていいかわからない。
こればかりは若い頃から意識してアップデート思考を鍛え上げるしかないのである。
若者たちよ!こうならないためにも今からがんばれ!超がんばれ!!

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