見出し画像

【SR03】自分も周りも幸せにできる歌を・ei

山形県南陽市出身のピアノ弾き語りシンガーソングライター、ei(えい)。物心ついたころから歌手を夢見ていた彼女は、高校卒業後に一度は就職するも、音楽への思いを捨てきれず上京。2020年から本格的な活動を開始するに至った物語を聞いた。

https://www.instagram.com/ei0621/

生き甲斐を求めて、音楽の道へ

「姉がピアノを習っていたので、物心ついたころには家にピアノがありました。いつの間にか、私も弾くようになっていたんです」と語るei。

「ピアノ教室に通い始めたのは、4歳くらいでした。母いわく、私がとてもピアノを好きそうな様子だったので、『この子にも習わせた方が良いだろう』と思ったそうです」。

楽譜を読むのは苦手だったが、音を聴いて弾くことは得意だった。「でも、大きくなると遊ぶ方が楽しくなって、全然練習しなくなっちゃいました」。

そんな彼女は、歌うことが好きだった。

「気づいたときには『歌手になりたい』って言ってました」。

一番に憧れた歌手は、安室奈美恵だ。他にも宇多田ヒカルやDREAMS COME TRUEなど、流行のJ-popが好きで、カラオケなどで歌っていた。

中学校ではバレーボール部に所属。

「たしか吹奏楽部にも体験入部して、フルートを吹いたんですけど、しっくりこなくて。性格的に、体育会系が合ってたのかもしれません。今考えると、体も鍛えられたし、よかったです」。

高校は声楽科を選び、歌を専攻するとともに、副科はピアノを履修した。

「歌手になりたいけど、どうしたらいいか分からなくて。周りの大人から『まずは音楽の基礎を身に着けた方が良い』って意見をもらったこともあって、3年間、クラシックを学びました」。

とはいえ、歌手への道は険しかった。

卒業後は、高校生時代からアルバイトをしていた飲食店へ就職。

「就職してまもないころは、ときどき高齢者施設などに呼んでもらって、歌うことがありました。もっとも当時はシンガーソングライターではなく、カラオケ音源を流して、カバー曲を歌っていました。『荒城の月』とか『かもめの歌』とか、昔ながらの歌謡曲が多かったですね」。

だが月日は流れ、仕事が忙しくなるにつれて、歌う機会は減っていった。

転機が訪れたのは約5年前。姉の結婚式に出席したことだった。

「姉はピアノの先生をしています。結婚式の余興として、彼女のピアノに合わせて歌ったら、すごく喜んでもらえたんです」。

働く日々には感じられなかった生き甲斐が、そこにあった。

「仕事だけじゃ身も心も負担ばっかりで、やっぱり、歌ってないと精神が保てないなって。歌って喜んでもらえたら嬉しいし、自分も楽。これからの人生、そういう風に生きていきたいなって、思いました」。

退職して音楽をやろう、と意志を固めた。

同じころ、日本テレビの音楽番組『歌唱王~歌唱力日本一決定戦~』に応募。音源による一次審査を通過し、山形県内で実施された二次審査に参加した。

「知らない人たちの前で、ちゃんとマイクを持って歌ったのは久々でした。すごく緊張しましたが、とても楽しかったです」。

残念ながら、結果は落選。次の審査へ進むことはできなかった。

「悔しかったし、『もっとこうしたい』みたいな欲が出てきました。『東京の音楽学校へ行こう!』と決めました」。

こうして彼女は、アルバイト時代を含めると約10年間勤めた職場を辞め、一から音楽活動を始めるべく、上京した。

ピアノ弾き語りシンガーソングライターとしての成功を夢見る

昔から東京が好きで、しばしば遊びに来ていたei。

「インターネット検索で学校を探して、『この人に習いたい』って先生に出会うことができました」。

2年間、全日制の音楽学校へ通い、ボイストレーニングや作曲、ピアノなど、シンガーソングライターとしての基礎を学んだ。

「ギターにも挑戦しましたが、上達しませんでした。一方でピアノは昔から弾いているし、作曲もしやすいと感じたので、自然とピアノ弾き語りになりました」。

在籍2年目には、学内のオーディションで優勝し、ライブへ出演。

「作曲科の子にメロディを提供してもらって、私が歌詞を書きました。自分にとっては初めてのオリジナル曲でした。実家の両親とか、いろんな人に協力してもらって、YouTubeの再生回数1位をとることができたんです。応援してもらえて、本当にありがたいです」。

徐々に学外でも演奏活動を行うようになり、東新宿にあるライブハウス・真昼の月夜の太陽などへ定期的に出演するようになった。

2020年冬には、作曲も自身で手掛けたオリジナル曲『明日の君へ』が完成。未来へ踏み出そうとする人へ向けた応援歌として、今も大切に歌っている。

「自分の経験をもとに、『人生の選択肢はたくさんある。生き方は人それぞれ違っていい』『自分の未来は自分で作るんだ、好きなことをしよう』ってメッセージを込めた曲です」。

音楽学校の卒業後は、コロナ禍に見舞われながらも、地道に活動を継続。

「あんまり精力的に動けなくて悲しいですが、毎月1回は、真昼さんでライブをしています」。

21年6月と、22年6月には、同会場にてツーマンライブを開催した。

「私のバースデー企画として、尊敬するアーティスト仲間さんと一緒にライブをしました。これからも続けていきたいと思っています」。

オリジナル曲の総数も増え、現在は10曲になっている。

代表曲は『月結び』だ。

「私の地元に、熊野大社っていう、縁結びで有名な神社があります。『月の夜に願うと結ばれる』って言い伝えがあって、毎月、満月の夜に祈願祭が行われています。そのエピソードを知ったとき、想像しただけで景色が浮かんできて、『曲を作りたい』と思いました」。

神社の情景を描写した1番と、愛をテーマにした2番の歌詞が相まって、心洗われる和風バラードである。

「私の楽曲の中で、唯一、ちゃんとした音源を作っている楽曲でもあります。もう少し手直しして、2023年中には完成させたいです」。

初のCDの発売を、新年の抱負として掲げる。

「グッズも作りたいし、インターネットも活用したいです。カバー曲を投稿するYouTubeチャンネルを作ったり。もっとたくさんの人に私を知ってもらって、ファンになってもらえたら嬉しいです」。

5年後、10年後の目標を訊ねると「まずは、歌い続けていたいですね。できれば、音楽で生計を立てられるようになっていたいです」。

人生経験を重ねた人にこそ響く歌を歌いたいと考えている。

「もちろん若い方にも聴いてもらいたいですが、私と同世代の人や、お爺さんお婆さんを喜ばせられるようなアーティストでありたいです」。

夢は、武道館に立つことと、地元で凱旋公演をすることだ。

「やっぱり武道館は憧れます。あと地元に、シェルターなんようホールっていって、世界最大の木造コンサートホールとしてギネスにも登録された会場があるんです。山下達郎さんをはじめ、数々の芸能人が公演をされていて、音がいいって評判の場所です。いつか、そのステージで歌いたいです」。

一度、歩き始めた道を方向転換することは難しい。彼女の勇気に感服するとともに、その夢の行き先を見守りたいと思った。

text:Momiji

INFORMATION

2023.1.17(Tue)/2023.2.23(Thu)

[会場] 真昼の月 夜の太陽(東京都新宿区大久保2-6-16 平安ビルB1)
[出演] Comming soon…

Instagramにカバー曲投稿中!

https://www.instagram.com/ei0621/

関連記事


お読みいただき、ありがとうございます。皆さまからのご支援は、新たな「好き」探しに役立て、各地のアーティストさんへ還元してまいります!