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新卒1年目の秋、2週間の休職が今に活きている話。休む勇気を伝えたい

#あの選択をしたから 」と聞くと、何かプラスに動くことが多いように感じるが、私の場合はマイナスに(一時的には)動いた話を書こうと思う。


社会人になってまだ1年目の秋。渋谷のベンチャー企業で働くわたしは、何者でもない何かに追われていた。決して誰かに責められている訳でもない、所謂理不尽なことは一切ない会社(だから選んだ)。それなのに、どんどん追われていくのだ。

そんな私は、とある日曜日の21時に「なんかわからないけど、涙が止まらないんです」とメッセンジャーでマネージャーに送った。これが、私にとって後にプラスへ働く「選択」だった。
「そんなことよく言えるな」と思うかもしれないけど、もちろんすぐには言えなかった。助けを求めたいと思い始めてから4-5ヶ月は経っており、かつ仕事のことを日頃からよく話していた大学時代の親友に「普通じゃないよ、休んだ方がいい」と言われた日曜日の15時から時間はだいぶ経っている。
(文章を打っては削除を繰り返していた)

(泣きながらどことか、泣き過ぎて涙も枯れた頃に、新橋駅のPRONTでメッセージをしたあの頃を、これからもずっと忘れないと思う。)

なぜ言えないかって「辛いのは自分だけではない」「言ったら弱いと思われるかもしれない」「まだやれるかもしれない」という、もう1人の自分が邪魔をしていたからだ。少なくとも、これまでもしんどいことはそれなりにあったけど、やり続けたら乗り越えられたことが多かったし、それが「挫折経験」として美化されていた。

「自分はまだやれる」今思うと恐ろしい悪魔が、わたしの心を占めていた。

そもそも、なぜ追われていたかでいうと「自分の未来像とのギャップ」を受け入れられなかったからだ。そもそも自分に自信がないと入らないであろうベンチャー企業。どこかで自分はポテンシャルのある人間だと思い込み、いつかは開花するだろうと考えていた(入社時点でのスキルのなさは自負していた)。

その”いつか”はすでに過ぎており「なぜ変わらないんだ?」と自分の心の声からの焦りが始まっていた。もともと完璧主義でストレングスファインダーの1番目に「最上志向(既に出来ていることをもっと出来るようにする、既に良いものをもっと良いものにする、既に得意なことをさらに磨くという思考)」が上がるほど、何事にも求めるハードルが高かった。さらには、そのハードルは何者でもない自分自身で決めている高さだから、誰かに褒められても納得できない、そんなへそ曲がりタイプだから厄介だった。

この焦り期に入ると、よくも悪くも周りを気にしてこなかった私が、同期や先輩を気にし始める。同期は少しづつ自分の道を見つけている(ように見えていた)し、なぜ自分は変わらないのか、進んでいないのか、先輩のようになれるのかと、自分の得意ではない「他人比べ」が始まっていたのだ。
つまり、ウルトラネガティブループにハマり出していたわけである。

さらに怖いのは、このループはいきなりくる者ではなく、じっくりと形作っていくから怖い。そしてあたかも、それが元の自分であるように思えてくるから恐怖だ。「わたしはこんなに弱い人間なのか」と、仕事の帰り道や土日に泣いていた日々を思うと、未来の自分からすぐにでも「休めよ」と言ってやりたい。

さて、話は変わるが「休む」ことに対してネガティブな印象がないだろうか。休んだら自分は弱い人間、休んだら仕事ができなくなり余計に置いていかれる、休んだら周りに迷惑をかける、等。言い出すとキリがない。
一方で、休む自分は強い(誰でもできることではないから)、休んだら頭が整理され仕事が効率よくなる、休むことは多少は環境のせい(組織改善につながる)と考えたらどうだろうか(最後のは言い方が悪いけど)。

休む覚悟、しんどい自分を無視しないことは、必要なスキルだと思う。この世の中、自分からみた尊敬している人はみんなスーパーマンに見えるけど、それは氷山の一角にすぎない。それなりに、しんどさを乗り越えており、休む経験をしている人だって実はたくさんいる(これは休んでから知った)。

わたしは2週間ばかりで復帰したが、その後はじめて売上を達成したし、復帰して1年ばかりが経つ今では、売上の連続達成が見えていたり、従来の業務を超え、メンターや他プロジェクトの立案、PMをしているのだ。何よりも"仕事へのやりがい"がうんと強くなった。

入社したての社員が「仕事なんてつらいものでしょ」と諦めるのはあまりにも早いのではないか。それを楽しいものにできないだろうか。今、つらいと感じているなら一度立ち止まってみてはどうか。その黄色信号はもしかしたら、仕事へのやりがいを感じるための近道を教えてくれている可能性だってある。

わたしは少なくともそうだった。2週間のお休みで、心は浄化され、未来の自分像や他人が決めた目標(評価)にとらわれることなく、今の自分に向き合えるようになった。今やりたいことを無視せず発信してみる、今もやもやしていることは相談してみる。昨日の自分にはできなくて今日できたことを見つけてみる。
そうやって、自分をコントロールできるスキルが、コミュニケーション能力やロジカルシンキングより、何よりも大切で意外とできている人が少ない能力だ。

この文章を入社したばかりの方が読んでくれているなら、今すぐ自分を第一に向き合ってほしいと伝えたい。その信号を無視すると、ただの何にでもない人になるから。

私は「転職」の選択肢が当時なく(今もないが)、今でも同じ会社で同じ部署で同じ職種で働いている。それはなんとなく「これからできる自分」が見えていたのと、ある程度、自身の性格上この事態は予想していたからだ。
でも、環境を変える手段があってもいいし、むしろそっちの方が自分を変えやすいかもしれない。第二新卒でとっている会社なんてたくさんあるし、その選択肢を自分から潰してしまうのも勿体無いかもしれない。

仕事はしんどいものだなんて、自分次第でどうにでも変えられる。それは、経験した私から伝えたいメッセージである。それに、しんどさは人によって違うものだし、それは他人と比べたって仕方がない。自分が今どう思っているかを大切にしてほしい。

まだ社会人2年目の新人が偉そうなことを書いてしまったが、きっと同じように悩んでいる人がいると思うので、はっきりと言葉にしたまで。自己啓発本は大抵、社会人経験が豊富な方が書いているから、この文章を通して自分ごと化してくれると嬉しい。

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