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わちゃわちゃし続ける組織で防災プラットフォームを作り出す

対談企画としてリープラの投資先の皆さんにお話を伺うシリーズ、「起業家の声」の第二弾として、株式会社ソネリスの飯田直宏さんに、リープラで起業に至るまでの経緯やその中での葛藤、そしてこれからの展望についてお聞きしました。




岡内:今回はお時間をいただきありがとうございます。簡単に自己紹介をお願いしてもよろしいでしょうか?

飯田:株式会社ソネリス、代表取締役の飯田です。弊社はリスクマネジメント、BCPコンサルティング事業を行っております。

💡なぜリープラを選んだのか

対談時の様子

岡内:まずは、なぜリープラを選んだのか教えてもらえますか?

飯田:私のこれまでの経歴をお話しすると、大学卒業後に友人と林業の会社を起業しました。その後、ITベンチャー企業や、再度林業での仕事を経てクラウドワークスで、約5年間過ごしました。最後の1年は出向をしており、その1年が終わるときに、今後の可能性を模索していました。
ちょうど30歳を超え、自分が人生を通して何をしたいのかを考えていました。そうした中で、自分の人生で1番楽しかったのは、「みんなとわちゃわちゃしてる時」だという気づきがありました。また、自分の志を持ってまた事業をやってみたいという想いも強くなり、会社員ではなく起業家としての道を模索するようになりました。
そのような折、知り合いの経営者より、ひょんなことからリープラを知りました。私自身、もともと林業などの、重要だが放置されがちな課題に関心がありました。リープラも似たように、長期で複雑な領域での課題解決にフォーカスしており、一般的なベンチャーキャピタルとは異なる時間軸で、複雑な課題に向き合う長期的なビジョンと取り組み方針が私の考えと近いと思い、リープラとやってみようと思いました。

岡内:大学卒業後の起業と、現在の起業にはどんな違いがありますか?

飯田:最初の起業は友人と林業分野でのチャレンジでした。当時から、重要な社会課題に向き合いたいとの思いがあり、林業は全ての産業の根幹だと考え、その分野を選びました。しかし、当時は、ビジネススキルも未熟で、起業をした仲間の3.11での被災もあり、企業で働く道を選びました。
その後、また林業でのチャレンジを経て、前職で5年程勤めていました。

岡内:これまでの経験を経て、再起業しようと思った理由について教えてください。

飯田:本当に今後何をしていきたいのか?を考えたときに、思いっきり自分責任で”わちゃわちゃ”できるような環境を作って、みんなで成果を出すことをやりたいなっていうところが大きかったですね。
事業内容として再び林業を考えたのですが、林業をビジネスとして成り立たせるには構造上の難易度の高い課題があると感じました。そこで、今後テクノロジーが絡む余地がある領域で、重要だけれど長期に渡って放置されている課題がたくさんあるような場所を探せないかと思いました。色々と調べているうちに、防災という領域に目をつけました。
長期的に関わることができる構造的課題が存在する領域で起業すれば、多くの人とわちゃわちゃできる環境を作り出しながら、長期的にその課題に関われると思いました。

💡何を目指しているのか。現在、何に取り組んでいるのか?

会社ビジョン


岡内:では次に会社および個人の目指す姿と、現在行っていることについて教えてください。

飯田:今の会社のミッションは、災害発生時に、ヒト・モノ・カネ・情報が収集・整理され、簡単かつ、迅速に調達できるプラットフォームを創ることです。現在の防災に関わるシステムを見てみると、部分的な取り組みはありながらも、その複雑さから全体を見据えたソリューションは確立されていません。例えば、実際の有事の際には、全てのリソースが一気に不足しますが、電源やトイレ、重機、専門家、ボランティアスタッフなど、個々のリソースをバラバラで調達しなければならないのが現状です。
全てを簡単に調達できるプラットフォームがあれば理想的だと思います。ただし、それを作るのは容易ではありません。平時において大きな投資をしても、それがすぐに役立つわけではありません。だからこそ、そうしたプラットフォームはなかなか作られにくいのです。
大震災などが起きた際には、その必要性が痛感されるでしょう。政府でも有事に備えて、様々なシステムを作っていますが、まだまだ足りず、民間でも強力なシステムが必要だと思っています。これが私たちの最終的なゴールです。
これらを作るのは世代をまたぐような長い話になると思います。長い時間軸で取り組むことに面白さとやりがいを感じています。

岡内:個人の目指す姿はどのようなもので、会社とどのようにリンクしているんですか?

飯田:先ほどあった、死ぬまで”わちゃわちゃ”し続けたいというのが、私の願いでありライフミッションです。会社という箱を使いながら、メンバーと一緒に苦楽を共にし、大きな目標を達成して、大きな喜びを味わいたいと思っています。
そう考えると、会社に関連する全てのことも全て自分のわちゃわちゃの一部であり、何が起きても楽しいとすら思えてきます。ただ、自分自身の感情を開放して、皆と”わちゃわちゃ”することは実は苦手であり、自分の癖と日々向き合っています。

岡内:その”わちゃわちゃ”というのは、もう少し具体的にどんなものか、その背景なども教えてもらえますか?

飯田:”わちゃわちゃ”とは、共通の目的に向かって苦楽を共にし、達成感と喜びを味わうことだと考えています。楽しいことだけでなく、苦労も含まれています。これは、私自身の「自分はしっかりとしてなければいけない」という抑圧を感じるような小さい頃の環境だったことが影響していると思います。
本当は皆で楽しく過ごしたいのですが、どうしてもしっかりやるという気持ちが勝ってしまい、十分に楽しめず、苦しく感じてしまうことが多くあります。だからこそ、時々、そのような状況を楽しんで乗り越えられたときに、嬉しい気持ちになりますし、これを追いかけ続けたいと思います。

💡これまでの成長や学びは?

岡内:幼少期の環境から、しっかりとするというのが根付いているんですね。これまでの変化や学び、そしてこれからの目指すものについて教えてください。

飯田:創業してから早3年が経ちましたが、自分の自我が強く事業や組織に影響を与えてしまうことを痛感しています。
例えば、BCP(事業継続計画)の提案をする際、私自身、しっかりするという自我から計画の「実効性」について重視してしまうところがあります。本来はその実効性は様々な観点から考えなければならないはずなのに、私自身の考える「実効性」を信じ込みすぎて進めてしまうことがあります。
自分たちのプロダクトを多くのお客様にご活用いただくことが、ミッションの実現には大事なはずなのに、デリバリーに過剰に重きを置きオーバースペックになってしまう。各ステップを丁寧にやりすぎてしまう。などから、営業面の優先順位が低くなりがちになってしまうなどの問題もあります。自分の癖を認識していないと、無意識に自分が好きなことに時間を使ってしまいます。そういったところを周囲のメンバーや、他のリープラの起業家の方々に気づかせてもらうことが多々あります。

岡内:これまでの経験から何か変化を感じていますか?

飯田:先ほど話したような「実効性」についての許容度や、時間軸で考える力が以前より増したと感じています。
一人でやっていたら過去のやり方や自分の好きなやり方にとらわれていたと思います。リープラで、自己を素直に開示し、事業ダッシュボードに基づいて共に学び合う共同学習を通じて、自分の盲点に触れることができ、結果として自らの視野を広げられています。

岡内:共同学習を通じて、自らを知り意識的に是正しているわけですね。

飯田:そうです。自分のやり方だけを強化すると失敗する可能性が高いです。リープラの良いところは、みんなが自分をさらけだし、切磋琢磨できる環境があることです。これは他のベンチャーキャピタルではあまり見られないかもしれません。

岡内:今後の課題やテーマについて教えてください。

飯田:私のリーダーシップをいかに高めるかが重要なテーマだと感じています。現在、私でないとできないと思い込んでしまっている役割をメンバーに移管し、より長期で見て重要なことに自身のリソースを配分することです。

岡内:貴重なお話し、ありがとうございました。


編集後記

今回、飯田さんのお話で特に印象に残ったのは、”わちゃわちゃ”するという言葉です。これは飯田さん自身の幼少期からの願いが強く反映された表現でした。私が入社当初、なぜ幼少期からの願いを起業において重要視しているのか理解できませんでした。しかし、リープラでは世代を超えて続く社会課題の解決を目指しているため、起業家やメンバーが長期にわたり執着し続けられるテーマを設定する必要があります。そのため、幼少期からの欲求はその人にとって強い執着を持つことができるテーマとなり、このようなテーマが社会課題と結びつけば、長期的に産業を作る動機にもなると考えています。弊社ではこの考えを大切にし、起業家だけでなく、正社員やインターン生も幼少期の願いを振り返り、自分が執着できるテーマを見つけるためのセッションを設けています。この考え方に興味をお持ちの方は、ぜひこちらのフォームからご連絡ください!

文責 杉本奈穂


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