現代文ができない=連想ゲームができない

 このお話は、大学受験を控えた高校生だけでなく、子供を持つ親御さんや学校の先生方にもぜひ読んでいただきたいです。わりと汎用性の高い話だと思います。

 私は予備校でアルバイトをしています。「大学受験で最も重要な科目は何ですか?」という問いに予備校スタッフとして答えると即答で「英語です」になります。今年度から新しくなる大学入学共通テストでも英語は改革の目玉とされ、リスニングの配点はリーディングと同様100点に変わります。各大学も多くの学部、試験方式で配点は英語が最も高い。だから、予備校では英語を最も早く始めるべきだと指導します。それは戦略としては間違っていません。ただ、学力形成の根本においてはどうでしょうか

現代文ができない生徒は英語もできない
なんなら数学もできないし物理や化学、社会科目もできない

 統計をとったわけではありません。が、この傾向は強いように思います。逆に言えば「現代文ができる生徒は英語や数学、その他の科目の伸びが早い」のです。なぜでしょう。皮肉なことですが、おそらく現代文が得意な(だった)方はすでに察しがつくのではないでしょうか。そう、今もし「何言ってんだ全然わからねえよ。」と思っている方がいたら、それがあなたが英語の長文を読むスピードが遅い原因です。この話はまた今度。

 そもそも現代文が苦手な生徒は「英単語の意味は知っていても長文が読めない」し「公式は知っていても問題文の意味がわからない」し更に言えば「なんでポツダム宣言が出されたのか理解できない」のです。最も根本的な問題で言うと、そもそも「教科書が読めない」わけです。そんな生徒が、共通テストをはじめとする大学入試で点数を取れるわけがありません。だから、学力の基礎は現代文なのです。

じゃあ、現代文を解けるようになるにはどうしたらいいんだよ。

 ええ、私もよくこのような質問を生徒から受けます。正直なところ、現代文を解く能力が最も身につくのはおそらく幼少期からの読書習慣だと思います。つまり、「本を読む力」ですね。よく「読解力」とか言いますよね。あれです。
でもせんせー、もう時間がないよ。」という受験生。そうですね。今もしあなたが高校3年生なら、共通テスト本番まで100日を切っています。そんな状況で今から「本を読め。」なんて言われても困ってしまいますよね。大丈夫とは言いませんが、最近見つけたいい方法があります。そしてこれは、学力をつけるために必要な”基盤”のようなものを成長させられるかもしれないものです。それは、

連想ゲーム です。

「せんせー、ふざけないでくださーい。」なんて言われそうですが、これはマジです。例えば現代文の評論で出てきそう(あくまで”きそう”)な次の文章を見てください。
「テクノロジーがもたらしたのは、単に便利で文化的な営みだけでなく、不可逆的な進歩も同様であった。」
(ちょっと文章がおかしいのには目を瞑ってください。。)
上の文章を見て、どんな情景を思い浮かべますか?先ほども言いましたが、大事なのは「連想」です。一つ単語を例に見てみましょう。「テクノロジー」から連想される具体的なイメージは例えば「自動車」とか「原子力」「パソコン」などですよね。「え?そういうこと?」と思った方、そういうことです。では、同じように他の単語も連想してみてください。私が連想の結果、頭の中で描いた情景を文章にするとこうです。
「自動車がもたらしたのは、単に遠くへ楽に行けるとかレースというスポーツとかそういうことだけでなく、もう車なしの生活には戻れないという新たな感覚もだった。」
どうでしょうか?そんなに外れたことを言っているわけではないと思います。この「連想して自分の頭の中で文章を咀嚼できる能力」があれば、文章をそのまま頭に入れようとして「は?」となったり「頭に入ってこねえ」となることが少なくなります。そして結果的に「教科書が理解できる」「問題が解けるようになる」「点数が取れるようになる」というステップを踏めます。土俵に立てるわけです。

 ここまで偉そうに話してきましたが、私はただの予備校バイトスタッフでありただの大学生です。しかし、実感としてこう思う、ということを書いています。実際先述した「現代文ができるようになるにはどうしたらいいですか?」という質問をしてくれる生徒というのは、そもそも「問題が解けない」のではなく「文章が読めていない」ことが多いです。そして「読んでて頭に入ってこない」という生徒もその多くを占めます。そういった生徒にこの「連想ゲーム式」で文章を読ませると、時間はかかりますがその文章の問題の正答率はグンと上がります。所詮書いてあることから問題が出るわけですから、読めれば(理解できれば)解けるようにできています
 そしてこの能力を得られれば、問題の”意図”が掴めるようになります。この「連想して自分の頭の中で文章を咀嚼できる能力」の上位互換である「意図を掴む能力」が身につくと、数学の問題文がわからないなんてことはなくなり、世界史で因果が整理できないなんてこともなくなり、物理で概念が理解できないこともなくなります。全ての学力の礎です。ぜひ、試していただければと思います。

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