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いちじくいち2018を終えて。クラファンと退場有料というチャレンジ。

 今年も怒涛の二日間が終わった。台風24号が過ぎ去って安心していたら、まさか秋田に進路をむけた25号が発生。なんだか不意打ちのような台風にどぎまぎしたけれど、そんな心配をよそに初日は見事な快晴。二日目は直撃をおそれていた台風が温帯低気圧に変化してくれて、結果今年も5000人を超えるお客さんが来てくれた。本当に有難い。

 今年は開催前にいろんなところで話していたんだけれど、動員を減らすというのが目標だった。それを言う度に「こいつは何を言ってるんだ?」という顔をされたけど、僕は初回の動員5000人が、昨年6000人に増えたときに感じた、「次は7000人だ!」みたいな、本質とは違う無闇な増加思考にNOと言いたかったのだ。

 なので、結果的に昨年より1000人ほど動員が減ったのは、無事何事もなかったから言えることではあるけれど、台風接近のおかげだったなぁなんて思ったりもする。これでひとまず「目指せ一万人!」みたいな、無闇な右肩上がり圧を抑えることができるかな〜と。まあそれでも言われちゃうと思うけど。

 いちじくいちが、補助金を使わず、自分たちの出せる範囲の資本と、クラファンを活用した民間ベースなあらたな資金源にこだわっているのは、まさにこのためで、僕は、自治体主催イベントなどにありがちな本質とは違う、5,000とか10,000とかっていう動員数評価から、距離を置きたい。

 数値ってものすごく便利だけれど、基本的に数値を求める相手は、現場にいなかった人だ。自ら体感していたらそれが2000人でも5000人でもたいして関係はない。また、それ以前に僕は、来てくれたお客さん一人一人を来場者数5000人と括って表現することに、いつも後ろめたさを感じる。お腹に子供を抱えてやってきてくれたあの子や、飛行機の欠航にめげず仙台経由でギリギリの時間にやってきてくれたあの子。たった二時間の滞在のために長距離バスに乗ってやってきてくれたあの子や、クラウドファンディングはよくわからないからと現金書留で12,900円(きっとイチジクという語呂合わせだ)送ってきてくれたあの子。それら一人一人が僕にとってあまりに尊くありがたい。

 公的な予算を使うということは、=そんな一人一人の思いや熱量を差し置いて、動員数や売上高といった数値に向き合わなきゃいけないということ。僕はそれが悪いと言っているのではなく、それはそれでとても自然で当たり前なことだから、自治体から予算をもらっておきながら、数値以外を見てくれと主張するのには無理がある。ということが言いたい。だからこそ、僕は僕なりのやり方であたらしいイベントづくりにチャレンジしている。
 そういう意味で今年面白かったのは、退場料だ。

 投資だと言い聞かせながらも、一年目に結構な赤字を抱えちゃった僕たち(のんびり合同会社)は、二年目は入場料を取らなきゃやれないぞと思ったけれど、地域活性のためとは言うものの、廃校になった小学校を無償でお借りしている立場から、入場料を設定するのも難しく、「入場料自由」という妙な言い方で、お客さんに委ねる方式をとった。結果、入場時にドネーションボックスへお金を入れてくれた人はほんのわずかだった。しかしこれはオペレーションに大きな問題があった。そもそも退場時に徴収すべきだったのだ。そこで3年目は「入場無料、退場有料」という過去最高に奇妙なシステムを作った。結果、去年とは比べ物にならない金額が集まった。それでもまだまだ運営資金確保には程遠いけれど、去年よりは明らかに進歩した。このやり方は流行るんじゃないか? とすら思う。

 そしてもう一つの大きなチャレンジがクラウドファンディングだ。予想外な出費が次々とやってくるイベント運営において、その資金を募るためというのが目的の一つではあるけれど、実のところそれは1番の目的ではない。僕が今年クラウドファンディングを使おうと思ったのは、ある誤解を解くためだ。

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