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完璧主義を乗り越えて、本当に好きなことと長く付き合う

はじめに

 前々から、好きなことについてもっと知りたいと思うときに、純粋な好奇心からではなく、何もかも網羅したいという欲求から、情報を集めすぎるくせがあった。このくせを直すためにすべきことは何となく分かっていたのに、なかなか実行できなかった。『こうやって、考える』(外山滋比古 PHP文庫)という本を読み、後押ししてもらえたことで、解決することができた。

完璧主義

 趣味でも何でも、広い知識を頭に入れておきたいと思ってしまう。たしかに教養があると、何かを見たときに、多くのことに気がついてより楽しめると思う。でも、完璧主義な性格のせいで、長い年月をかけてそれが行き過ぎてしまったので、自分にとってちょうどいい塩梅を見つける必要が出てきた。

滝のように流れ落ちる情報

 自分が本当に興味を持っているか、持ち続けられるか分からなくても、知っておいた方がいいと思った情報は、あとで繰り返し読んで覚えられるように「保管」しておくことが多かった。本であれば本棚に、データであればクラウドに溜めていった。せっかく出会った重要な情報を逃すのはもったいないと思っていたから、その情報を保管していつでも見られるようにすることで、ある種の満足感を得ていた。しだいに乱暴な蓄積がエスカレートしていって、その場で読まなかった情報でさえも保管するようにもなっていた。こうして保管した情報の多くが、ほとんど見返されることがなかった。たくさん知識を得たいと思って保管しているのに、結局そこから得られるものがない。自分の矛盾した行動に気がつくのに10年くらいかかった。

 そのときの状態は、情報の滝が目の前を流れ落ち、それを残さず手ですくおうとしているイメージ。両手ではカバーしきれず、どんどんがこぼれ落ちてしまう感覚だった。

 これからはもっと興味のあることを選ばないといけない、そうでないことを捨てていかないといけない、とうすうす感じていた。でもやっぱり溜めてきた情報を失うことは怖くて、実行できずにいた。

本を読んで

 本を読んで考えたことは、本当に興味があることとの見つけ方、向き合い方だった。本当に好きなことなら、忘れたりしないし、進んで吸収していく。そもそも知識があるかないかなんてどうでもいいし、人と比べたりする必要もない。自分だけの「好きなこと」なんだから、自分の好奇心のスピードを超えてまで、いろいろ吸収しようとしなくていい。

 今後は、情報としては有益だけど、そこまで興味が湧いてこないものを保管したりしない。本も捨てたり売ったりしていいし、内容を忘れてしまっていい。捨てることを躊躇しない。

 いま描いているイメージは、こぼれ落ちる情報の滝の中から、本当に輝いてみえるものだけを摘むような感覚。むしろ、こぼれ落ちるだなんて喪失感や焦燥感は無くて、ゆっくり滞留する情報の湖から輝いているものを拾う感覚。

今後

 知識があると楽しめるということを完全には否定しないが、今後は、知識を増やすためではなくて、もっと自分の直感に従って、おもしろいと思えたものに飛びついて、長く付き合いたい。知識として興味があるだけのことと、本当に興味があることの間に明確な境界線を引いて、興味をもったという心の変化を、もっと大切にしたい。

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