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運動に対する考え方とは

トレーナーとして活動し始めて9年目になる。


新米の頃は「足を速くしたいなら〇〇筋を鍛える」とか「バッティングパフォーマンスを向上させるためにスクワットをする」といったような考え方をしていた。


それは「走る動作ではこういう筋肉を使うためそこを鍛えて強くすれば速く走ることができるから」

とか、

「バッティングで遠くに飛ばすためにはお尻の筋肉が必要だからお尻の筋肉を鍛えるスクワットをすればバッティング能力も上がるはず」

と言った考え方からくるものだ。


いつしかこれがどうにも受け入れられなくなっていた。


人間はそんな単純なものではないはず。
最初はそうしたぼんやりとした違和感だった。


これは要素還元的な考えである。


つまりある物事を理解するには、それを構成する要素に分解してそれら個別の要素を分析すれば、元々の全体を理解することが出来るという考え。
トレーニング、運動の世界ではまだこちらの考えが主流である。


だけどトレーニングジムという限定的な空間で、ある一定の時間のなか特殊な動作でもって行われるトレーニングの効果を人間が生来持つ運動能力にそのまま還元させられるわけはないはずだと思うようになった。
そう思うようになってから、僕の考えの中心はいわゆる全体論的。

すなわち「全体は部分の総和以上のものである。」
全体を通して物事を見ていく必要がある。
そしてそのときは人間から離れる必要もある。


運動に関する学問の歴史をたどってみると、案外古くから全体論的な運動学を唱えている人はいる。
けれどもまだ主流とは言えない。
ケン・ウィルバーのスパイラルダイナミクスの観点から考えてみても、もしかしたらそこに到達しないのかもしれない。


最近では要素還元的な考え方と全体論的な考え方、どちらも大切だと思っている。
全体論は科学を排除せず、人間の思考というひとつのプロセスに全体論的考察と科学的考察のふたつの側面が内在している。


それによる独自の人間運動理論を構築していきたいと常々思っている。
それがいつ完成するかは分からないけれど。

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