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c/w: 宇多田ヒカル time will tell (1998)

c/wと聞いて、coupling withとわかる人は、90年代をリアルタイムに過ごした方かと思います。略語のみならず、「カップリング曲」という概念自体がすでになくなってしまった現在ですが、あえて、そのc/w曲にフィーチャーした記事を書いてみたいと思います。

初回で取り上げたい曲は、宇多田ヒカルの「time will tell」で、デビュー曲「Automatic」のカップリング曲です。もちろん、Automaticも最高に良かったのですが、カップリングのこの曲の良さに気づいたのは、まさかの今年、2022年でした…

やはり、かなりインパクトのある曲だったようで、宇多田ヒカルのデビューに携わったとされる、プロデューサーの松尾潔氏も以下に述べています。

僕が最初に彼女の歌声に触れたのは、デビューの数ヶ月前です。当時の東芝EMIのプロデューサーから「ちょっと聞いてみて」と渡されたのは、後に『Automatic』のカップリングとなる『time will tell』という曲でした。僕は、その曲を聞いた瞬間に驚きました。日本人の声なのに、R&B、黒人音楽、洋楽っぽい雰囲気を色濃く持っている。それまでも黒人っぽく歌うシンガーは、日本にもたくさんいました。でも彼女の歌から感じたのは、それを学んで身につけたのではなくネイティブとして生まれつき肉体に備わっているということでした。
「誰なんですか? 本当に日本人ですか? どんな顔をしているんですか?」
 たった1曲で僕は、彼女に魅了され、その後オフィシャルライター業務を中心としたブレーンのひとりとしてプロジェクトチームに参加することになりました。彼女がまだ15歳であること、そして藤圭子さんの娘であることは、あとから知らされ、ふたたび驚きました。

引用:文藝春秋 2016年1月号 https://bunshun.jp/articles/-/2097

改めて聴いてみますと、メロディや歌唱力もそうなんですが、何といっても、歌詞の凄さに驚かされます。

Time will tell 時間がたてばわかる
Cry だからそんなあせらなくったっていい
Time will tell 時間がたてばわかる
Cry 明日へのずるい近道はないよ

宇多田ヒカル "time will tell" (1998)

時間が経てばわかるけど、「ずるい」近道はないー
15歳とは思えない洗練されたフレーズのあとに、「ずるい」という3文字で15歳らしさをちらつかせる…
ぜひ、一度は聴いてみていただきたい曲です。

東京生まれ、J-POP育ち|カイト


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